表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑧天使の楽園:シフリール編  作者: 邑 紫貴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

オマケ:甘楽園(あまパラ)

視点:イズフィール。


ミカエル様から任務を受けた。

心配そうなリルに微笑んでみせる。

「リル、家に戻ろう?ごめん……焦った。まだ俺達には時間がある。大切にしたい……君が育てるサラカ。幼い時……俺の記憶がない程の時に、任務に向かうのだろう。天使には、卒業しないとなれないから。」

向けた視線は真っ直ぐ、未来を信じて語る。

「ええ。地上……イズフィーのおじいちゃんに、会えるかな?」

天使長のじいちゃんは地上の任務を受け、戻らない。

『任務で、お前に出逢えるのはいつになるだろう?』

じいちゃんも知っていたのかもしれない……

“開かずの記憶”を俺に語った。ミカエル様とルシフェルの過去。

とにかく弓矢の情報が足りない。

ミカエル様は、俺に任務を与えた……期間をも……

その意味は。


「リル……地上より、この天界で……今は時間を大切に用いよう?この学園で学ぶのは、知識じゃない……感情の伴う成長。俺……あれがしてみたいんだ。」

「ふふ。あれって?」

羽を広げ、リルに手を差し伸べる。

リルも美しいピンク色の羽を広げ、俺の手をとる。

共に飛びながら……

「ルシフェルの技術……」

少しの風で、出来ると聞いただけの技術……

「イズフィー、こんな話を聞いたことがあるわ。知識・技術・感情……三位一体。」

「俺たちに足りないのは、技術……。シフリールは、知る努力を惜しまない。好きだよ……尊敬する。」

俺の言葉にリルは頬を染め、微笑んだ。

懐かしい……幼いころの純粋な微笑。

俺だけの……

【グイッ】

つないだ手を引き寄せ、抱きしめる。

「君の笑顔は、俺だけのものだ!」




視点:シフリール。


朝の身支度を済ませ、ドアを開けた。

「おはよう?」

そこには準備万端のイズフィー。

私の反応を理解したような、疑問形で挨拶。

悔しぃ~~~~!!!!

いつも遅刻ギリギリだったのは……

「ふふ。リルとの朝の時間が、大切だったんだよ?」

満足そうな笑顔で抱き着いてくるイズフィーを押し退け、顔を逸らす。

「機嫌を直して?」

ずるいぃ~~~~

頬を膨らませ、無視し続けた。

「ね、可愛い。羽に触れても良い?キスをしても……」

「うわぁ~~ん!!ダメ!風紀問題ですぅ~~……ぅ?」

抵抗しながら、イズフィーの身なりに目が留まる。

胸元は、きちんとボタンが止まりネクタイもピシリ。着崩しのない……

くっはあぁ~~??

「ん?何、惚れ直した?」

「……駄目……今まで以上に、イズフィーを好きになる……」

「嬉しい♪」

また懲りずに抱き着こうとするイズフィーを、更に押し退ける。

「私もだけど、違うくて……その……」

他の候補生が群がったら、少ない時間は……

更に奪われるのではないかと不安になる。

「ふふ……くすす。シフリール……俺のコを産むのは君だよ?嫉妬なの?……かな。へへっ。嬉し過ぎるよ。」

「はっ!!遅刻する!」

私は、イズフィーの手を取って羽を広げた。

イズフィーも羽を広げる。

微かに触れた羽は、熱を伝え……ドキドキした。

身体が熱い……試練の時とは違う熱……

「はぁ~。もっとイチャイチャしたい……」

小さな呟きが、更に私を苦しくさせる。

必死で、誤魔化すように羽を動かした。

羽は小さなころと違い、スピードを調節できる。

動かす回数より、スピードは遅くて……

伝わるかな?

心は急かすようにドキドキしていて……

共にいたい時間は、出来るだけ多くを望む。

「……シフリール……愛しいね。くすす……我慢できなくなるよ?」

優位に立ったようなセリフが、心地よく感じるなんて……

「ふ、風紀を乱すのはダメだからね?ミカエル様に怒られちゃうんだから!!」

可愛げのない言葉……


私は忘れていた。試練で、色々な事を……

イズフィーの人気は、姿や羽ではなかったこと……

取り巻く状況は二人の時間を赦さない。

もっと、時間を味わいたい……

削られるのは、時間なの?

心も比例する……嫉妬や自分の存在意義に……

また闇を落とす。

ミカエル様は、それも……知っていた。

『あなたの羽は、存在意義……手に入れたでしょうか?』


学園に到着。

すると、そこにいたすべての候補生が群がって来て質問攻めだった。

「イズフィール!追放ではなく、任務って?凄いじゃないか!!」

「信じていたよ!」

そう……イズフィールには、追放のうわさがあった。

多分この状況もミカエル様の加護。

すべての候補生への伝達……

私は遠巻きに、イズフィーを見守る。

孤独……今まで味わっていたモノ……

縮まったと思った距離は……広がる……

私の羽に注目はない。変わった変化に、周りは興味を示さない……

それでもいい。イズフィーが私を必要としてくれるなら……

対……だよね?手に入れたんだよね?

任務で、離れる時が来ても……コがいるなら、頑張れる……

コが欲しい。サラカ……私のコ。イズフィーとのコ。

幸せな時間は、どれほどある?

サラカの小さな羽……原因は……


「……ルッ!」

声に、反応して視線を移す。

「シフリール!授業中だ。珍しい……羽の大きさに、現を抜かしては卒業できないぞ。付き人として……~~」

延々と続く講師の嫌味……

天使のくせに長い。気が遠くなる……

自分の手に入れたモノは……永遠だろうか?

不変にも耐えられない想いがある。私は……


講師に注意を受け、更に罰掃除……

資料館は大きく、自分の望む本が舞い降りる。

私の疑問への答えは、沢山の本を誘導するが……私の上で戸惑うように飛び交う。

「リル……迷っているの?」

【びくっ】

低い声が、私を抱きしめた耳元で囁かれる。

気配がなかった??それとも、集中していて気が付かなかった?

「イズフィー……もう、いいの?先に帰る?」

抱きしめた手を、力を入れ押し退けようとした。

【サワッ】

「ひゃっ!?」

背中に、うずめる顔……触れる羽に、舌の感覚??

「やだ……舐めてるの?H!!やぁっ……駄目だって!」

腕は、身体を締め付ける強さはないのに、びくともしない。

イズフィーの息の熱さが、羽にかかる。

「ね、リル?君は、この時間を無駄だと思う?」

卑怯だ……そんな質問。

「無駄じゃない。欲しい……願うほどだよ?だけど、駄目……お願い。止めて……イズフィー……っ……」

自然と頬を伝う涙。

涙もろくなった感情の不安定さ。自分に嫌気がする。

「泣かないで。ごめん……意地悪な事を言った。シフリール……分かっているんだよ。でも、俺……我慢が出来ないんだ。どんなに願ったか知って……この、大きな羽に触れることを……」

大きな羽に……?

「嫌っ!!」

頭がグルグル……思考がまとまらない。

「……リル?」

「……イズフィー……追い詰めるのは、いつも……」

言ってはいけない言葉が出そうになる。

「俺だ。リル……俺の中には、君だけ。君の心に、どんな形でも俺がいれば良い……貪欲な醜さ。追い詰めた?知っている……苦しみながら、君を解放しないんだ。知りつつ、俺だけで染める。すべてが欲しい……」

イズフィーの熱が、私に伝わるかのように身体が熱い……

「イズフィー……イズフィール。私は……」

【ゴッ】

イズフィーの頭に、分厚い本が落ちた。

「……痛い。」

痛みでゆるんだ腕から、逃げる。

落ちた本を拾い、距離をとった。

「イズフィー……言葉が出ない。この想いの正体を……この本が教えてくれる。思考が私を促す……ごめんね?」

感情も落ち着かない……思考も混濁……

羽が大きくなっても、学ぶことは多く……愛情は、常に一定ではない。

永遠の中で変化し続ける。

変わることのない対象への愛は、愛情を増し加え……

増えるコは、更にコを増やす……連鎖……

未来が見えるのに、ほんの一寸先も見えないの。

苦しい……私たちの愛情は、まだ……






いつか、続きが掲載されるはず(遠い目)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ