表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑧天使の楽園:シフリール編  作者: 邑 紫貴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/9

三章:誘惑(イズフィールside)

『キューピッドの矢』

神器の一つ。地に住む人々の心を思いの儘に操る。


昔、キューピッドと呼ばれる美しい羽を持った御使いがおりました。

その麗しい羽のキューピッドは、神からの寵愛を受け「弓」と「矢」を受け取ります。

『地に愛を満たせ。キューピッド、お前の役目は見守ること。しかし、時にその矢を使うことを認めよう』

神はキューピッドに、自由と重荷を同時に授けたのでした……




……大きな羽……君は、嫌いなんじゃないの?どうして?

そいつは、誰なんだ!

そんな笑顔……ここ何年も俺に、見せていない。

追い詰めたのは、この大きな羽……

分かっている。

どう伝えようかと選んで言葉にするけど、伝わらない想い……


殺してやりたい……消してやりたい……憎い……

候補生に相応しくない?知ったことか!!

教科書なんて、ただの文字。意味は、在って無いようなもの。

結局は、自分の心次第……羽は、それを現す。

嫉妬を宿すな?

宿るんじゃない……生まれるんだ……



「くすくすくす……美味しい空気♪ふふ……くくくくっ……」

お気に入りの秘密の場所……小道を抜けないと来れない、こんな場所に!?

「誰だ?」

普段、光も届かない薄暗い場所に珍しく光が差し込んだ。

それは、ありえない黒い……羽。

「はじめまして、イズフィール。君は、どんな情報が欲しい?願って……なんでも、あ・げ・る……」

中性的な、何処か記憶にかする存在。

そいつは、俺の腕に手を触れ……俺の羽に噛み付いた。

「……っ!!何をする!」

大きく羽を広げ、振り払う。

「くくっ……挨拶だよ?ふふふ……知ってるんだ。ワタシ……あなたの願い。そして、叶える方法を……」

羽を器用に立て、羽ばたかずに宙に浮く。

少しの風で、出来るのだと聞いた事があるだけの技術……こいつ……

「ね?知っていてもおかしくないよ……でしょう?くすくすくす……イズフィー。オイデよ……教えてあげる。手に入れたいでしょう?シフリールの愛……彼女の、美しい大きな羽に触れること……」

「だ、黙れ!!」

苛立ちに、羽を荒げて風を送る。

「キャンッ……もう、乱暴ぅ~~。ふふ……」

羽でバランスを取り、宙の位置を保つ。

候補生の記憶にない……あいつもだ。

何だ?俺の周りで何が起こっている?

睨む俺に、満足そうな微笑……

【ゾクッ】

身体の体温が、急に奪われるような……そんな、感覚。

かかわってはいけない。そう思うのに……

「ね?手に入れたい……よね。奪われるのを見るのも楽しいけど?どうする?……迷ってるんだ……くすくすくす……ね、神器は知ってる?」

神器?大昔の何か……伝説じゃないのか?

「それって、願いを叶えるんだよ♪何でも……ね。ワタシは手に入れた……」

「名を教えろ。」

違和感がずっと、引っかかる……

「ルシフェル。これで満足?イズフィー」

「その呼び方は、止めろ!!」

「くすくす……いいんじゃないの~?だって、彼は……リルと呼んでいたよ。君は、特別ではない。」

「……っ!!あいつのこと、知っているのか?」

さっきから気になる瞳の色……それも、黒……?いや、深い藍色なのか?

見つめる視線に寒気が治まらない。

「知っている。ふふ……理事長室に、情報があるよ?君は、知ったほうがいいだろうね……くすっ……後悔するよ?」

「ミカエル様に逢えるのは、限られた……」

「この羽……」

??

俺の言葉を遮り、俺の両羽に触れる。

素早い動きに、まとう空気が冷たくて……振り払うのを躊躇する。

「認証の機械は、大きな羽に甘い……登録のない大きな羽を、素通りさせるんだ。彼は、特別……リルの想いは手に入らないかもしれないね……」

ずっと、そばにいた……手に入らない?

違う!!ものじゃない……リルの心は……

けれど、欲しいんだ。望みは……貪欲な……

「ふっ……美味しい……大好きだよ♪……くすくすくす……」

「……ルシフェル……君は、何を手に入れた?」

「自由だよ♪君の大好きな……ね。同じ……匂い。時間が無いよ……イズフィー?くすくすくす……」

ルシフェルは、器用に木々を抜けて飛んだ。


……自由……?

その色で……


「リル。急いで!!」

「え?うん!今すぐ……行きます!」

その声に、俺の感情はルシフェルと同じ……黒。

俺は、理事長室へと向かう。

聞いていたように、認証の機械は俺を通す。理事長室のドアを開く。


「くすくすくす……ふふっ。くくくく……ミカ、時は来たよ。神器も、また……“俺”の手中だ。追いかけっこは、どれくらいぶりかな……くすくすくす……」


後ろからの声と同時。俺の記憶は途絶える。

冷たい……触れた何かは、急激な痛みへ変わる。

激痛に、目を開けた俺は、白い大きな羽の天使を見た。

「……少し、我慢しなさい。傷は、癒えます……イズフィール。ここは、時間の狭間。行きなさい……守るべきものが待っています。神器が奪われました……役目の始まり。話は、ここまで……祝福と加護を願います……」


強い光に、目を閉じる。

ここは……学園?なのか……?あの方は、もしかして……

『神器が奪われました……』

アイツの仕業か!アイツ……

とにかく、さっきの場所に戻って……何だ、あれ……

しかも、木々が整備されている……光も、こんなに注がれて。ここは……??


犯した罪は大きく、補う役目も対応するに相応しい……俺の役目の始まり……






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ