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10年前の記憶  作者: i
3/4

春:動き出した関係


               西野: みんなー!!


              元気?近々会おうよ!



木並: おひさー。いいじゃん。



松本: やっほー!私はいつでも空いてる!



佐々木: ぼくも空いてる!



戸賀: みんなで集まるのいいね!


  わたしは再来週なら!



                 西野: おっけ!

         

         じゃあ再来週の土曜日にしよう!




 ほぼ反射で大切な仲間たちに連絡を取る。



  木並梨花、松本湊、佐々木絵麻、戸賀あゆみ


       そして私、西野七海。


しょっちゅう会うことはないが定期的に会っている当時の仲間たち。


思ったよりも早く会う日程が決まり久しぶりの再会を心待ちに次の現場に向かった。




 4月の終わり、GW前の休日のショッピングセンターを何を見るでもなくわいわい雑談をしながら歩き回っている。

皆で集まるのは結局、高校生の時の溜まり場になっていた都市のショッピングセンターとなった。


「いやー、それにしてもここも変わんないね!」


「確かに。わたし七海とあゆみと幼児用のおもちゃの前で写真とった記憶ある」


「あったね〜」


「湊は何をやってんだよ」


「そんなところもみなちゃんらしいね!」


「絵麻は湊甘やかしすぎ!」


「まあまあ、思い出話をしたくもなるじゃん!」



 昼過ぎの家族連れや友人同士、カップルなどで賑わっている中思い出話に花を咲かせながら歩いていく。


 そんな時、すれ違う人から懐かしい匂いがふわっと漂ってきた。

 ハッとした時にはもうその匂いは流れて消えてしまったが心臓をキュッとつままれるような記憶が呼び起こされる。



「ん?西野どうした?」


「あ、いや、なんでもない!」


「そー?ならいいけど。」




 宮くんが私の意識に入り始めたのも匂いからだった。


 なんとなくふわっと私の好きな柔軟剤の匂い。いい匂いだなーいいなーと思うが特に会話をする間柄ではないし、同じドイツ語講座をとっていても話すことはなかった。


 同じ空間にいても決して交わらない平行線。

それが崩されたのは授業内でペアを作ることになった時だった。


 いつもは梨花と講座で仲良くなった女の子達と4人で座っているのでペアも自然と決まっていたがその日はたまたま1人が休んでおり3人で座っていた。



「出さなきゃ負けよーじゃんけんぽい」 



「ん!?!?!?」




 …なんてこった。ペア決めのじゃんけんでまさか自分があぶれるとは。


 周りには知らない先輩しかおらずどうしようかと狼狽えていた。

先生に助けの目を向ければ、余っているグループがいないか探してくれる。


「じゃあ西野さんあそこ同学年でしょ、余ってるみたい」


 そう言われて先生の指した先を見れば同学年の話したことない男の子、宮くん、そして同じ部活のヤマがいた。


「おう、西野じゃん、こっちも余ってるんだわ。おいでー」


 ヤマが気付き声をかけてくれる。

 しょんぼり顔を梨花に見せ、「行ってこい」と気合を入れてもらい席を移動した。


「そいえばヤマも受けてるんだっけね」

「そそそ、こっちの2人知ってる?」


「あー、、っと宮くんは最初にちょっと挨拶したよね?あと…」


「あ、俺舘野。よろしく」


「舘野くんね!よろしく、西野です」


「じゃあ自己紹介も済んだし始めますかー」


 ヤマのなんともいえない脱力した言葉によってワークがスタートする。



 ほぼ初対面のグループで不安を感じていたワークは結局すごく順調に進んだ。

もっとも、順調に進んだのはコミュニケーションの方だったが。


 それも陽気なヤマがふざけてくれたおかげで。


 授業が終わり梨花が迎えに来ると、にやっと笑い後ろから私にもたれかかる。


「あれ、どうなることかもと思ったけど仲良くなってんじゃん、楽しそーにして」


「梨花!もー、ちょっと楽しんでるよね???」


「あは、ばれた?」


 私たちが会話していると宮くん達も集まってきた。


「そーだよ、俺らのんちゃんと仲良くなったもんなー?」


「は?のんちゃん?…ああヤマがいってるやつか」


 たまにふざけて言われるあだ名を梨花は思い出したようにつぶやく。



 そこがおそらくターニングポイント、彼らのグループと私たちが仲良くなったきっかけだだった。



 基本的にドイツ語の席は定まっていない。

 毎回好きな席に座るシステムだ。


 次の週からはなぜか彼らと座るところが近くなり雑談をするくらいの仲になった。


 どうやら3人は理系クラスで一緒だということ、宮くんはバレー部で舘野くんは帰宅部、とっつきにくそうに見えてなかなか面白い人たちであること。


 今まで、ろくに会話をしなかった時間が悔やまれるほど話していると楽しかった。



 そこからはより一層ドイツ語の授業が楽しみになった。



 廊下ですれ違う時もなぜか、のんちゃーんとあだ名で声をかけられる。満更でもなかった。



 今まではほぼ部活のことしか考えず朝から晩までどうすれば上手くなれるか、何が足りないのか、授業中もぼーっと考えている始末だったが


 たった1時間ほどの講座に行き始めた途端自分の狭くなっていた視野が広がったように思えた。


 

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