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75.薬師、ポーションの常識を変える

 俺は全てのポーションを成分鑑定して、不純物が混ざったものと粗雑なものを分けていく。


「ポーションは基本的に水で薄めているのかもしれないな」

「「へっ!?」」

「以前成分鑑定したものと違うが、高いポーションは飲む量が少ないのと回復量が少し増した程度だね」


 基本的に成分は同じだったため、使われている材料は変わらない。


「ここまできたら益々ギルドが怪しいわね」

「私達だけでは解決できない案件だな」


 もうここまできたら俺達だけではどうしようもできないだろう。

 ただ、新しい回復薬ができたという話だけであれば良かったが、今は薬師ギルドおよそ錬金術師ギルドの不正まで可能性としてはある。


「しばらくは気をつけないといけないな」

「町に出ないように屋敷で新薬でも作っておくよ」


 ポーションの中にはポイズンポーションやパラライズポーションと言った異世界っぽいものも存在していた。

 成分はその毒にポーション素材を混ぜるような作り方をしていた。

 イメージとしては、ワクチンのようにウイルスを使っているような感じに近い。

 しばらくの間は状態異常を回復するタブレットを作るのも良さそうだ。


「そんなに新薬が作れるものなのか……」

「やっぱり私の婚約者はメディスンだけね」


 セレオスとエレンドラからは別の視線を向けられるが、俺としては家にこもれるなら問題はない。

 元々部屋にずっといたからな。


「兄貴、僕がこれと同じポーションを作ってみましょうか?」

「あー、水を入れたらできるんだったよな」


 すぐにその辺にある雑草と水を用意すると、早速ポーションを作り始める。


「まずはいつも通りにポーションを作ってくれるか?」


 リシアが雑草を粉末に変えると、大きな容器の中に入れる。

 その隣ではルーカスが水に魔力をを加えている。


「これが魔力水か」


 ルーカスがポーションを作っている隣で、ジーッと作業を見つめる。

 次第に水が光を放ち出した。


「はぁ……はぁ……兄貴が見てる」

「ルーカス?」

「あっ!? はい!」


 ポーションの原料はエッセンスと魔力水でできている。


「兄貴、できました!」


 ルーカスは雑草の粉末を魔力水で溶かしながら混ぜ合わせるとポーションが完成した。


【鑑定結果】


 ライフポーション

 成分:エーテルエキス+魔力水

 詳細:魔力を筋骨格に働きかけ、体力を回復させる。


 すぐに成分鑑定をしたが、この間も見せてもらったルーカスの作るポーションのようだ。

 やはりポーション専門店で買うポーションよりは効能がよかった。

 粗雑なポーションであれば大きな容器が必要だが、ルーカスのポーションはコップ一杯の量でその何倍かの効能がある。

 それに簡単にできて、量も多く生産されている。


「これは赤だからライフポーションか」

「兄貴みたいにどっちができるかわからないんだ」


 完成するポーションの種類はランダムで、ライフポーションかマナポーションかは色によって判断しているらしい。

 ランダムなのはエリクサーエッセンスが関係しているのだろう。


「じゃあ、普通の水を入れてみるよ」


 できたポーションを別の容器に移して、原液として水を加えていく。

 まるでカルピスを作っている感覚に近かった。


「少し色が薄くなるね」

「おいちいのかな?」


 ノクスとステラも興味津々に見ていた。

 ルーカスが作ったポーションは輝きを放っていたが、次第に輝きが減っていく。

 セリオスが用意したポーションの色に近づくまで、水を入れていくと完全に輝きは失われた


【鑑定結果】


 不純物が混ざったライフポーション

 成分:エーテルエキス+魔力水

 詳細:魔力を筋骨格に働きかけ、体力を回復させる。純水な魔力水ではなく、水で薄めてあるため、回復量は少ない。


「本当に同じポーションができたな……」


 成分鑑定で確認をすると、不純物が混ざったライフポーションができていた。


「このまま水を足してもいい?」

「メディスンの好きにしたらいい。材料も簡単に手に入るってわかったしな」


 基本的な材料は雑草と水だもんな……。

 そのまま追加で水を足していく。

 今度作るのは粗雑なポーションだ。

 成分鑑定ではポーション、不純物が混ざったポーション、粗雑なポーションの順で効能が悪くなる。

 液体の色が半透明になる頃には、成分鑑定の表記は変化していた。


【鑑定結果】


 粗雑なライフポーション

 成分:エーテルエキス+魔力水

 効果:魔力を筋骨格に働きかけ、体力を回復させる。粗雑な出来のため、回復量は少なくたくさん飲まないといけない。


 どうやらポーションを原液として、水を加えていくとポーション専門店で売っているものが作れるらしい。


「わざとポーションを薄めて売っていたのかな?」

「それが本当ならこの国のポーション事情は全く変わるな」

「さすが私の婚約者ね」

「ああ、メディスンを連れてきてよかったな」


 セリオスとエレンドラは二人で盛り上がっているが、さらに俺の生存が危うくなりそうな気がする。

 ただ、俺がポーションの問題に気づけたのは良かったと思っている。


「ポーションが格安で手に入れば、平民も病気で苦しむことは減りそうだね」


 ポーションは希少性が高く、値段は高いもの。

 これがポーションの世間一般的な感覚だ。

 平民が飲めても必要量はほど遠く、病気になっても自身の力で治療するしかなかった。

 実際に雪の病魔が流行っている時に、ルクシード辺境地は壊滅する一歩手前まで来ていた。

 少なからずポーションが高くて、領民にまで手を回せなかった貧乏領地が助かるだろう。

 孤児になる子も減って、幸せな子どもが増えるなら俺も嬉しい。


「ぐへへ……」


 急いで表情を戻す。

 これからポーションの常識が少しずつ覆るのかもしれない。

 それにまだまだ現代の薬があるからな。


「兄貴カッコいいです! 僕、一生兄貴について行きます!」


 さらにルーカスに好かれた気がする。

 その後も俺とルーカスで色々と実験をしながら、国王に謁見する日まで屋敷にこもることになった。

他の作品の書籍化作業に合わせて、これから少しずつ更新頻度が減っていきます。

二日一回更新ですが、最後までお付き合いしていただけると嬉しいです。


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