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74.薬師、塩顔イケメンに憧れる

 目の前にいる塩顔イケメンに注目が集まる。


「カインはこんなところでどうしたんだ?」

「そうよ。私達よりあなたがいる方が珍しいじゃないの」


 セリオスとエレンドラはカインと呼ばれる塩顔イケメンに話しかける。

 本当にこの世界はイケメンばかりで、もう少しメディスンにもキラキラオーラが欲しかった。

 笑ったら物理的に人が遠ざかっていくし、建物も壊れていくからな……。


「俺は今帰ってきたところだ。馬車から珍しく二人が平民街にいるのが目に入ってね」


 どうやらカインは偶然二人の姿を見つけたらしい。

 チラチラと視線が合うが、すぐに二人が遮断する。

 まるでカインを警戒しているようだ。


「後ろの人達は知り合いか?」

「私達が招待したのよ。少し事情があってね!」

「事情……?」


 どこか違和感を覚えたのか、ノクスとステラがべったりとくっついてくる。

 その行動に嬉しさのあまり笑わないように、俺は無表情を貫く。


「同じ学園に通っていたから流石にわかるでしょ?」

「あー、俺はあまり目立たないやつを記憶するのが苦手だからな」


 エレンドラの言葉通りだと、カインは同じ学園に通う生徒だった(・・・)

 そんなカインを俺はよく知っている。

 それは彼も勇者パーティーの一員だからだ。

 これで勇者パーティーのメンバーが、勢揃いしたことになる。


 勇者の王子、騎士のセリオス、賢者のエレンドラ、聖女のリアナ、薬師のルーカス、錬金術師のリシア。

 そして、最後の一名は斥候のカインだ。

 全員で七人のうち、リシアを除く六名から四人をパーティーメンバーとして選び、ゲームが進んでいく。

 まだ会っていないのは勇者になる王子だけだ。


「メディスンです。お久しぶりです」

「俺はカインだ! 覚えていなくてすまない」


 さすがに同じ学園に通っていたのに、挨拶をしないのも印象が悪いだろうと思い、サラッと自己紹介のみした。

 彼も勇者パーティーのメンバーなら、面倒ごとに巻き込まれないように、関わらない方が良さそうだ。


「ほら、馬車を待たせているぞ」

「ああ、そうだな。ではここで失礼する」


 それに気づいたセリオスは、他の人達も気になっていたカインをすぐに追い払った。

 派手な馬車で帰っていく姿に、カインが本当に斥候なのかと疑問に思ってしまう。


「「はぁー」」


 カインがいなくなると、セリオスとエレンドラは大きくため息を吐いた。

 そんなに緊張する相手だったのだろうか。


「メディスン、彼を覚えているか?」

「カインは……ノクスフォード公爵家だったよな?」


 必死にメディスンの記憶とゲームの記憶を思い出す。

 だが、知っている情報はこれぐらいだ。


「ノクスフォード公爵家こそが、薬師ギルドと錬金術師ギルドを管轄している公爵家よ」

「はぁん!?」


 セリオスとエレンドラが、カインを警戒していた理由がわかった。

 俺の顔は学園の同級生として覚えられていたが、ルーカスとリシアは大丈夫だろうか。

 今のところルーカスの家を襲撃したのも、どちらかのギルドが関わっていると予想している。

 もし、カインに気づかれていたら、二人が生きていたのがバレた可能性がある。


「早く手を打たないといけないな」

「中々話が進まないのよね」

「国王に謁見をするにも手続きが必要だからな」


 二人の会話に俺は驚きを隠せなかった。


「えっ……本当に国王を味方につけるの?」

「「えっ? 今頃?」」


 そんな俺に二人は驚いていた。

 商会等で回復タブレットを売り込んで、様々な貴族達の繋がりを強くするぐらいだと思っていた。

 それなのに、本当にエレンドラの提案通りに王家と繋がりを作る予定だとは思いもしなかった。

 ただ、王家と繋がりを作るなら、勇者になる王子を通した方が早いような気がする。

 セリオスは特に騎士として、関わりがあったはずだ。


「国王への謁見じゃなくても、王子じゃ――」

「「絶対ダメ!」」


 なぜか王子に関しては否定的だった。

 キラキラオーラ全開の王子には、何か問題があるのだろうか。

 セリオスやエレンドラ、ルーカス達ですらゲームの時と性格が違う。

 それを踏まえると王子も性格に難ありって感じか……。

 しばらくは国王に謁見できるように待つしかないようだ。

 串焼きを食べ終わると、俺達はすぐに屋敷へ帰ることにした。



 屋敷に戻ると、部屋には大量のポーションが置かれていた。


「これは一種の嫌がらせ――」

「なわけないでしょ! この間、貴族街にある薬師ギルド直営のポーション専門店に行ったって言ってたわよね?」

「あの不良品ばかり置いていたところか」


 すぐに追い出されてしまったが、効能は俺やルーカスが作った回復薬よりも悪く、不良品ばかり置いていた。


「そこのポーションを集めたんだ。これはその中でも最高級って言っていたかな」

「それってかなり高いんじゃ……」

「ああ、このポーション一つでルクシード辺境地の家が買える値段はするかな」


 呆れて言葉が出なかった。

 家の価値はわからないが、大きさとしては日本の一軒家を少し小さくした程度はある。

 辺境地だとしても、安いものではない。


「私の家にあったポーションも持ってきたわ。ポーションって貴族にとっては大事なものだけど、どれだけ効能があるか知りたいからね」

「それなら俺も気になるから協力するよ」


 俺はセリオスが買ったポーションを成分鑑定をする。


【鑑定結果】


 不純物が混ざったライフポーション

 成分:エーテルエキス+魔力水

 詳細:魔力を筋骨格に働きかけ、体力を回復させる。純水な魔力水ではなく、水で薄めてあるため、回復量は少ない。


 成分鑑定した結果、粗雑なポーションではなく、不純物が混ざったライフポーションだった。


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