町づくり開始
世界のどこかにある、なんにもない、なんにもない、全くなんにもない更地。
そこを走る、一台の赤い車があった。女性が2人、乗っている。ある男性に、ここに呼ばれたようだ。
織部「こんなところに町をつくるなんて、まったくあいつは、何考えているのよ。」
赤い車は目的地に到着した。目の前には男性が立っていた。
神部「ようこそ。実は僕も、ある時突然、この場所に飛ばされてきて、訳もわからないまま、さまよっていたんだ。
ああよかった、安心した。僕以外、人間は誰もいないのではないかなんて思っていたけど、安心したよ。」
男性の名前は、神部鶏三。
女性たちの名前は、1人目の背の高い、ロングヘアーの、赤い服を着ているのは、織部美琴。
その後ろの、2人目の背の低い、ツインテールの、黄色い服を着ているのは、武部楓という。
実は、この3人はプレイヤー仲間。SNS上だけのやり取りから、この時初めて、リアルで顔を合わせることになった。
『パラレルワールドシティ』という、古代から現代、さらには未来の町まで、プレイヤー自らが市長となり、町づくりを疑似体験できるという内容のゲームだ。
武部「いったいなんだって、こんなところに飛ばされたんだろうね。」
町づくりゲーム『パラレルワールドシティ』の、フリーシナリオの現代編ステージに似ている、この更地に、いきなり飛ばされたのだという。
数本の木が立っている以外は、本当になんにもない更地。
神部「ここに、有名建造物だけが立ち並ぶ町を、つくりたいと思いまして。」
神部の頭の中に、『東京タワー』が思い浮かんだ。
神部「東京タワー。」
そうつぶやき、コマンドを操作しただけで、目の前には東京タワーが出現していた。高さ333mの東京タワー以外、何も建っていない更地。
すぐ近くに、縄文時代の縦穴式住居などを建設すれば、縄文時代の風景の中に、一つだけ、現代文明の象徴である東京タワーがそびえ立つという、なんとも不思議な光景になる。
土器で料理など作りながら、東京タワーを見上げるというのは、実はフリーシナリオの縄文時代編で、一度やっていた。
神部「東京タワーに登ろう。」
あとの2人は、黙って神部に付いていくだけ。
実際には当然のことながら、受付で入場料を支払うことになるのだが、受付にも誰もいない。
エレベーターに乗る。3人以外は誰もいない中で、東京タワーのエレベーターに乗る。ここでなければ体験できないことだ。
そして、展望台まで登ると、辺り一面何も無い更地が広がるだけの光景。これからここに、世界中の様々な有名建造物を建てていくことになるのだ。
まずは、せっせと区画を整えることから。