役所小景
◎親心
「早く気づいてくんねーかな」
「課長、この1年同じこと言ってますよ」
「わかってるよ、もう無駄って」
「冷蔵庫のプラグ抜くとか細かい努力も水疱です」
「3発目もずらしてんのにな」
「2月までに意識改革て無理っす」
「見殺しにはできん。そうだ!電気止めちゃおう」
「もっと死んじゃいますって」
◎花見対策
「どうしよーかな。花見対策」
「課長、まだどー転ぶかわかんないスよ」
「オミの脅威とか煽ってんじゃん」
「北京五輪もまだだし」
「早めに手を打てば安心だろ」
「直前ジタバタよりは」
「そうだ!桜の枝みんな切っちゃおう」
「抗議来ますよ」
「枝が密だから換気のためって言うんだ。バレないよ」
◎伐採中
「桜の枝の伐採、クレーム来ないですね」
「な。それどころかあっちも切れこっちも切れだぜ」
「文化人とか自然派とかがもっと切れって」
「オミクロンの脅威って聞いて震えてる奴らだもん」
「浅はかですね」
「ふん。さあどんどん切りまくろう」
「桜が泣いてますよ」
「桜の文化はもう終わるのさ」
◎オミクロン朗報
「課長、へんな噂が」
「オミクロンに感染すりゃコロナも風邪も一発で治る、だろ」
「ええ」
「それ本当なんだ。治っちゃう」
「朗報じゃないスか」
「うん。でも」
「ああ。製薬とか医者は困りますね」
「あんな連中はいいんだ屑だから」
「え。じゃあ」
「霊薬てことでオミ狩りが心配なんだ。匿ってるから」
「え?」
「フガ」
◎接種率
「うちが九割未接種てデマですよね」
「デマだよ」
「数字は出てるんでしょ」
「うん。おおよそは」
「公表しましょう。いい加減な噂は払拭しないと」
「うん。そうしたいんだけど」
「何か不都合でも」
「他の省庁の手前もあるし」
「じゃみんな一緒に」
「どこもほぼ十割未接なんだ。公表できねえよ」
◎希望の大脱走
「課長こんなことしてヤバくないすか」
「バレたら住居侵入、器物損壊だろうね」
「いやそっちじゃなくて」
「うん?」
「オミクロン陽性者、濃厚接触者、全員脱走させるなんて」
「ああ。岸田が発狂するかもね」
「マズいすよ」
「最弱株で集団免疫、インフルも駆逐できるんだ」
「そりゃそうかもですが」
「し。いまだ。行くぞ!」