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episode.05



ベルティーナは午前と午後で工房と自宅を行ったり来たりの生活をしている。ロップの教育は両親に任せてしまっても良いのだが、ここまで育ててきたからには最後まで自分でやりたい。


「キャーッハハハハハハッ!!」


広い敷地内にはベルティーナの笑い声が響いているが、決してただ遊んでいるわけでは無い。


ベルティーナは体を芝だらけにしながら、ロップとシシィの2匹の従獣との戯れに勤しんでいた。2匹は体も大きくなってきたし、ロップは既にイレイナとの契約が決まっている為、いずれどこかの討伐隊に同行して、怪獣に慣らし始めなければならない。


慣らしにはベルティーナも同行するわけだが、あくまで従獣達が自分達より遥かに大きな怪獣を前にしてもパニックにならないように慣れさせるのが目的のため、積極的に狩りには行かない。


一応護身用に武器を持参するが、ベルティーナは遠巻きで見ているだけなので、ほとんど使わない。たまに小型の怪獣を殺る程度だ。


ちなみに隊士達は大半が攻撃力の大きい大剣や双剣を扱うことが多いのだが、ベルティーナはその辺はビビリなので対象にあまり近づかなくて良い猟銃を使う。


「イヤーーーーッ!アハハハハハハッ!!!」


2匹の従獣に頬をべろべろと舐められて、ベルティーナはくすぐったさに悶えていた。もう一度言っておくが、ただ遊んでいるわけでは無い。


暫く2匹と戯れたベルティーナは、今日のところはこれくらいにして帰ろうかと顔を拭いながら立ち上がった。


「さてと。………ん?」


シシィに跨ったベルティーナは数メートル先の自宅の前に人影を見つけて、誰かお客人が来ていたのだろうかと首を傾げたのだが、ゆっくりと近づくにつれて血の気が引いていくのが分かった。


「楽しそうだな」

「ア…アルミロ様!?どうしてここに…」

「依頼だ。近く正式にと言っただろう」


言ってたー、そう言えば言ってましたー!

今!?今日!?このタイミングで!?え!?み、見られていた!?見られたよね!?


おーまいがー…。


「あの、ただ遊んでた訳じゃなくて…人間が味方だって教えるのも仕事のうちって言うか…ですね」

「そうか」

「………はい」


興味ないかー、無いよねーですよねー。そうなると今度は無駄に言い訳をしたのが恥ずかしい。折角会えたのに…。


「イレイナの依頼を受けてくれたそうだな」


ドキンと心臓が高鳴ったベルティーナだったが、何とか「はい」と返事をした。


「勝手に紹介してしまってすまない」

「い、いえ!むしろありがとうございます、と言うか」

「随分喜んでいた」

「それは何よりです。ちなみにこの子が予定の子で」

「育手は?」

「…私です」


ロップを紹介すると、アルミロは何の抵抗もなく頭を撫でていた。しかもちょっと微笑んでいるように見える。


従獣を愛でているアルミロ様…素敵…尊い。


「良く人に慣れているな。いい子だ」

「…あ、ありがとうございます」


褒められた!最高!!


喜びを隠しきれないベルティーナは頬を赤らめニマニマと口角が上がるのをどうしても堪える事が出来なかった。


悔しいけれどこんな展開を用意してくれたイレイナには感謝しなくては。


「近々、どこかの討伐隊に同伴して慣らしを始めようかと。目的は戦闘では無いですし、イレイナさんも早く使いたいでしょうから」

「同伴か。なら、うちで出来る様に話をつけておこう」

「えっ!?」


そういう意味で言ったつもりは無かったベルティーナだったが、同伴できる隊を探すのもちょっと大変だったから、ありがたい話だ。


「よろしいのですか?」

「ああ。イレイナの依頼だしな」

「あ、あー………」


なるほど。俺の大事なイレイナの依頼だから手を貸そう、と。なるほどなるほど。いちいち落ち込むなベルティーナ。


「他に予定があったか?」


微妙な反応をしたベルティーナをアルミロは気にかけるように声をかけた。


「いえ、ないです!助かります」

「そうか。では話をつけておく。いつでも来るといい」

「ありがとうございます」


恋愛と仕事は全くの別物だ。私情を仕事に持ち込んではいけないし、イレイナに半端な状態で従獣を受け渡すなんてもってのほかだ。ベルティーナにだって守り抜かなければならない誇りがある。


それに、イレイナと結ばれるのは良い事だと納得したばかりだ。


何より、憧れのアルミロが手を貸してくれると言っているのに断る理由がない。


しがない街娘Aにも手を差し伸べてくれるアルミロの優しさはやはりどう考えても素敵以外の何物でもなく、ベルティーナはまだしばらくこの恋心と共存しなければいけないようだった。






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