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第1葉 トラック、女神、マンドラゴラ

主人公がマンドラゴラに転生するお話です。

お手軽転生装置トラック。


「これ、明日までにお願いね。じゃ、お先に。」

「あ…はい。」

普段の日常、変わらない毎日。

嫌な上司からの無茶振りな仕事、終わらない残業。

栄養ドリンクを片手にひたすらパソコンで文字を打ち込むだけの作業を繰り返し、気が付けば外は闇に包まれ、オフィスには誰も居ない。

「終わるわけないだろこんなの…。」

はぁ、と大きくため息をつき窓の外を見る。

社会人になってまともに日の光を浴びたのは一体いつだっただろうか………なんてぼうっと考えているとギュルルと大きくお腹が鳴った。

「はぁ、夜食でも買いに行くか…」

と、途中のデータを一旦保存して椅子から立ち上がり大きく背伸びをして一歩、また一歩と歩きだし、重い足取りで会社を後にし、近くのコンビニへと向かった。

が、結論から言うとコンビニへは辿り着けなかった。というより、もう一生たどり着けそうには無い。

何故ならコンビニに向かう途中、俺は信号を無視して来たトラックに跳ねられそのまま死んでしまったからだ。

…って何故自分が死んだ事を客観視できるんだ!?


「それについてはわたくしがお答えいたしましょう。」

パッと視界が明るくなる。というよりも真っ白で何もない空間がどこまでも広がってる空間に居た。それにこの声は誰のものだ?

「わたくしは女神、女神ヒスノトリア…。不幸な死を遂げた貴方を導く者です。」

目の前に煌々と光が差し目を細めるとうっすらと人の形が見える。

光に目が慣れてくると、この世の者とは思えない美しい金色の髪と海のような瞳と純白の羽を纏った女神と名乗る女性が目の前に現れた。

これは…あれか、夢か、もしくは死後の世界なのか。

「いいえ、ここは生と死の境目。そして貴方は選ばれし転生者。」

サラッと思考読んでくるな女神様よ。

そして展開が読めたぞ。これはあれだ、最近良くあるトラックに轢かれて転生してチート無双するタイプのやつだ!なんかのゼミで習ったぞ!

「……ふふ、よくおわかりで。お話が早くて助かります。それでは貴方を新しい世界へお連れしましょう。」

女神ヒスノトリアはそう言うと俺へと右手を伸ばした。

「え、目的とか何に転生するとか教えて貰えないんですか」

そう女神ヒスノトリアに訪ねると彼女はふふっと笑って手を掲げる。すると俺の体は目映い光に包まれ、徐々に消えていった。

「ちょ、ちょっと!?笑って誤魔化しました!?って体!体消えていくんですけど!?せめて!せめて何に転生するかだけ教えて下さい!」

体が半分ほど消えた辺りで女神ヒスノトリアは目を細め小さく呟いた。

「……ドラゴ………。」

「え!?ドラゴン!?すいません良く聞こえなくて!もういっか…」

全てを言い終える前に俺の体は消え、意識だけが暗くて冷たい場所に移ったのを感じた。

転生だなんて小説かおとぎ話の中の絵空事だと思っていたけど、ドラゴンになって第2の人生を歩めるなんて、悪くない話だよな………。

代わり映えのしない、仕事と家を往復するだけの退屈な毎日だったが今度は……今度こそは!ハッピーなライフを送るんだ!そう、俺の新たな人生が今、始まる…!




「キエェェェエエ!!!!」

は????????

なんだ、この叫び声は。何処からだ?

いや待て、これは、まさか、もしかして。

俺じゃね?え?俺?マジで?いやいや…。

ペタペタと手で顔や体を触る。ツルツルの白い肌、土にまみれた両足、そして俺が埋まっていたであろう地面の窪み。後は髪(であってくれと願いたい)を捕まれている状況を踏まえると、これは……。

「ドラゴ」は「ドラゴン」じゃなくて「マン"ドラゴ"ラ」って事か!!!!????

女神!?女神様!?女神ヒスノトリア様!?一体どういう事なんですかーーーっ!?

という心の叫び声は

「キエェェェエエ!!!!」

という耳障りな鳴き声に変わり虚しく空へと消えていったのであった…。


転生したらマンドラゴラって、マジ…?


俺達の冒険はこれからだ―――!

ということで壮大に(悲鳴が響き渡っただけで)何も始まってないです。


(※需要があるのかわからないのでとりあえず気になって頂ける方が居ましたら続きを更新していきたいと考えております。)

キエェェェエエ!!!!

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