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その3

うん。ちょっと高級なレストランに連れてこられた。

壁際では着飾った人がピアノを弾いたりヴァイオリンを引いているよ。

極上の音楽に寝てしまいそうだ。


どうしよう。バイト代節約してもふもふ枕ゲットしたいのに~。


メニュー表を見て汗がだらだらしていたらマリアさんはにこやかに私にこう言った。


「お誘いしたのは私ですからお代はお気になさらず」

「え?で、でも。ありがとうございます!」

「ど、どうぞ」

マリアさんは多分、遠慮からの決断が早くて苦笑したのだろう。

分かるまい。貧乏平民の私の気持ちなんて。もらえる時はもらっとけってね。そしてこの恩は忘れない。



いつかマリアさんが困った時に返す。なんて調子の良いことを考える。

しかし、私一人が食べてもいいのだろうか?


お父さんやお母さんにも食べさせてあげたい。

私がそんなことを考えていると「どうしました?」とマリアさんに尋ねられた。


恥ずかしいと思いつつも、パックに詰めて持って帰れないかと尋ねるといいよと言われた。


「ふふ。家族思いなんですね。好きなメニューを詰めてもらいましょう」

「あ、あざーす」

「ふふ。あなたはホントに他の貴族の方と違って馴染みやすいですね」

まあ平民だから。褒めらているのか、けなされているのか分からないけどまあいいや。





「ご馳走さまです」

まじうまうまでした。パックに包んでもらったし。

食後のデザートも堪能したし。


「いえいえ、どういたしまして」

「そうだ。あの、なにかお話しがあったのではないですか?」

「ええ。あ、敬語はいいですよ。クラスメイトじゃないですか」

「え、でも」

後で無礼者とか言われて市中引きずり回しとかされないかな。

まあ、そうなってもだら~んと力を抜いて引きずられてやるわ。


「でももへちまもありませんわ。あなたが更にみすぼらしくなるでしょう?」

「ま、そう言うことなら。マリアさん」

「マリアでいいですわ」

「じゃあマリア。私のこともシアルカでいいです……いいよ」

「分かりましたわ。それで話しと言うのはですね」




………………………………………。






「と言うわけでマリアとパーティーを組むことになりました」

私は教室の自分の席の前にロフトとセフティを集めると説明する。


「ええ!?マリアさんがですか!」

「でも侯爵家の方が冒険者なんて」

二人は言葉を失っている。まあ身分も違うしね。


「まあ、同じ人間なんだから緊張しなさんな~」

「お前が気にしなさすぎなんだよ!」

「そうよ!いくらクラスメイトと言っても相手は貴族ですよ!」

パタパタ手を振って私が言うとあれ?何故か私責められている。


「ふふ。ホントに気にしなくていいですよ、ロフトさんにセフティさん。

あなた方がタメ口を叩こうが私の貴族としての偉さは変わりません」

本人がそう言うならと二人も顔を見合わせて頷く。

そして、マリアさんはクエストを受けてみたいと話してくれた。

共にクエストを受けることがマリアさんの頼みだ。


「でもそれなら自分家の私兵でもつかえばいいんじゃん?」

ロフトはちょっと納得行かないような感じ。

平民としては貴族に対してあまりいいイメージがない人も多いからな。

マリアさんは奢ってくれたからいい人だと思いたい。


「まあ、ロフトさんは連れないわ」

「なんだと!?」

「やはり、どうせなら同じクラスメイトとクエストを受けた方が良い思い出にもなると思います」

「いいな。金持ち様は。平民は仲間を探すのも大変だぜ」

「え?そう?それはロフトがぼっちだったからでしょ?」

「あう」

セフティの言葉に撃沈したロフト。

そうだね。初めてセフティとクエスト受けようとした時、ロフトはなんかぽつんと一人だったよね。

だからと言う訳じゃあないけど声をかけたんだけどね。



「と、ともかく週末にギルドに行くってことでいいかな?」

空気を変えるように私はまあまあとロフトを宥めた。


「ふん。それでいいぜ」

「それではよろしくお願いしますみなさん」

ロフトの不機嫌など歯牙にも欠けずにこやかなマリアさん。

この子どこかズレてるのかな。


それにしてもロフトはマリアのこと好きそうだったのに、ツンツンしてたな~。


帰る前にチョコレートでも買って帰るかな~。

糖分摂取してごろごろしよう。





ボロアパートに帰るとお気に入りのベッドにダイブ。

これこそが至福の時。チョコを齧りつつあっちにごろりん。こっちにごろりん。

お水飲みたい。お水。ごろりんと転がりながらベッドの端に到着。

テーブルに置いてあるコップを取りつつどうしよう?

外の井戸まで水を組みに行くのもめんどいので意識を集中。


「ウォーター!」

水がコップにたまる。魔法は便利だ。

だらけるためにあるようなものだ。

決して魔王を倒すためではない。

人が人としてだらけるためなあるのだ。


ライトで部屋に明かりをつけて。ウォーターで水を飲んだり、風呂場に水を溜めて火魔法で沸かして入ることまで出来る。


でもそれもめんどい時はクリーンと言う服や身体を綺麗にする魔法がある。


なので魔法に関して頑張った。剣術に関しても生活する上で頑張った。


だって店番のバイトはレジでだらけすぎてクビになるし力仕事はしたくないし。


ウェイトレスをしようものなら活発に動けないので、怒られてばかりだし。


私はどうやらそこそこ可愛いので、貴族の愛人と言うことも考えなくもなかったけど、変態多そうだから止めた。


まあ、生きるために剣術も学びギルドで目立たないようにそこそこの魔物を仕留めて、日々の生活費を稼いでいる。




大きく伸びをしてう~んとする。

転生前の実家の猫を思い出すな~。

あの気持ち良さそうな寝顔はたまらん。



つづく

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