四十八譚 "火魔"
【人物紹介・ボス】
〇チート=ヲ=カコウ 森羅万象
……悪魔の器。悪魔は三魔官の一つ。全ての技を操る。
悪魔の周りに氷の礫を乗せた風が舞う。
「『火魔・不知火』氷は俺が溶かしてやる」
その氷は消え去った。
全力で走り悪魔に向かって蹴りかける。しかし、当てる前に波動攻撃を受け吹き飛ばされてしまった。
横から金色の棘鉄球が飛んできて悪魔にぶつかる。
悪魔が放たれる螺旋状の斬撃。その斬撃がゼットの腹部を穿いた。
私と愛溜の連続攻撃で攻めていく。
悪魔の繰り出す突風によって吹き飛ばされてしまった。
私達に向かって用意される黒い弾。その攻撃が私達を狙って放たれた。当たりはしなかったものの爆風で飛んだ瓦礫が皮膚に刺さっていった。さらに黒い弾が用意される。直撃すればただではすまないだろう。
悪魔に向かって走っていく一つの人影。
『互角 : 植物戦闘騎士』
横から殴り、弾の起動が変わる。何も無いところに弾が放たれた。
彼は植物のグローブをつけた手で何度も殴っていく。
悪魔は翔の目の前で爆発する攻撃を行った。彼は爆風によって遠くへと飛ばされた。
悪魔は天空へと飛ぶ。
地面から黒い植物が悪魔を追い、その植物が化け物のように変わっていく。黒い植物のモンスター的なものが現れる。
植物が操られ周りの仲間達向かって攻撃していく。
立ち上がったリスタに強烈な安打で飛ばされ、凛は地面に打ち付けられた攻撃でできた爆風に飛ばされる。
翔の繰り出す蔓と真っ黒な植物が拮抗していく。
炎が横から放たれ黒い植物を燃やし消していく。
炎が燃え移っていき巨大な植物を全て消した。その中に隠れていた悪魔が真っ黒な炎を繰り出した。偉は赤い炎を繰り出し対抗する。赤と黒の炎がぶつかりあった。
しかし、黒い炎が上回り周りは黒い炎に覆われた。
戦場が黒い炎のフィールドと化した。傷口に塩を塗るような、それよりもさらに苦痛なダメージを受けていく。体の中が熱い。恐怖を感じていく。
私は何で戦っているんだろう。
あの日偶然マスクを手にして愛溜の陰謀に巻き込まれた。ただ、それだけだった。わざわざ戦うこともなく、黒や澪と一緒に逃げる道もあった。
あの時に一緒に逃げていれば良かった。
何で私はこんなことを考えているのか。今黒い炎が心に押し寄せて私に絶望と後悔を感じさせようとする。このままでは戦意を失ってしまう。私は何もしないで見ている傍観者に成り代わってしまって良いのだろうか。私はみんなと一緒に──
早く目覚めて欲しい。目覚めようとしても本能が邪魔して再び混沌の中に引き摺り込まれていく。起きなきゃ。目覚めなきゃ。悪い夢から脱却するんだ。
私は自分に勝つんだ。
みんなが頑張っているのに私だけやらない自分が許せなくなる。結局、やらずに辛いのは自分自身なんだ。
目を開けられないなら体を動かせ。
身体を無理矢理でも動かせ。爪で抓っても引っ掻いても何でもいいから醒めさせる。少しでも自分に負けたら夢からは醒めない。
自分に打ち勝て──
降り頻る大雨が黒い炎を消していく。
倒れていた仲間達を襲っていた黒炎が消え、仲間達は解放される。
私が無意識的に咄嗟に降らした雨がしたしたと降り頻る。
「よくやった。奈路。お陰で悪い夢から醒めることができたよ」
悪魔に向かって跳び立つ偉。彼は雨に打たれながらも炎を全身に纏っていく。赤い炎が青い炎に変わっていった。
「『火魔・蒼焔鬼火』終わりにしようか」
青い炎が悪魔に直撃した。
青い炎に包まれた悪魔はその痛みに耐えかね地面に墜落し、地面の上を転がり藻掻く。
「急激に冷えると弱まる特性を克服した俺はさらなる境地に。これでアンタを撃てる」
悪魔は炎を薙ぎ払い立ち上がった。
他にも仲間達が立ち上がっていく。
「よくもやってくれたな。悪の権化」
刺股の先の槍で悪魔を斬る。
「ボクもそれに続く」
蔓で連続で殴っていく。
「ウチらもいくよ」
「そうだね」
私と愛溜で悪魔を切り裂く。
「俺様を忘れるなよ」
回転する牙が悪魔を穿つ。
「私、も、攻撃、する」
金色の槍が飛ばされるが悪魔が空へと逃げたため攻撃は外れていた。
「はーい。お仕置するよー」
空中に現れる水のベール。そのベールに繋がれる水のチューブ。そのチューブに向かってスタンガンが触れた。悪魔に感電させる攻撃が与えられた。
悪魔はベールを破壊し、さらに空へと逃げる。
全ての黒雲を溜めていく。
雲を凝縮し出す。放たれる黒い雲が雷を纏いながらウェーブ上に進む。
「『火魔・蒼焔鬼火』これでトドメだ」
渾身の青い炎が放たれる。
黒雲と青い炎がぶつかり合う。
その衝撃の果てに、衝撃が周りへと放たれた。
黒雲を払い抜けて青い炎が進んでいく。
「s2ekひつvのveこsねき)ngむ5つこ5なkそゆijむnしsk」
炎が悪魔を貫通した。
悪魔の翼を燃え消え地面に落ちる。そして、地面に落ちた。
黒雲は消え、水色の空が広がっていく。
明るい日差しが悪魔を包み込む。
爽やかな風が吹き抜けた。その風が塵になって消えていく悪魔を飛ばしていった。澄んだ空気の中、おぞましい悪魔は跡形もなく消え去っていた。
終わったのだ。悪魔との戦いは──
「よくやってくれたよ。これで悪魔は消えた。これで邪魔者はいなくなったみたいだ」
愛溜との戦いが残っていた。
他の仲間達は満身創痍で戦えなさそうだった。
「何、企んでるの……」
「何にも。ただ、全ての支配者になるための企みぐらいかな」
「それはまた人を傷つけるの? 多くの人を殺してしまうの?」
「うーん。そうなるかもね。だって、こんな無茶な企みには犠牲は付き物だからね」
「させない。そんなことさせない」
ナイフとナイフがぶつかり合った。お互いに相手の刀を払うような戦い方だ。私達はお互いに相手に刃を届けることができなかった。
そして、この時には分からなかった。
極限なる戦いはパンドラの箱をこじ開け、封印されし現象を引き起こすことに。