表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/52

十七譚 激突

【主要人物紹介】

鵜久森(うくもり)奈路(なろ)  主人公

……雨を降らす異能。マスクの争いに巻き込まれる。

塩谷(えんや)(ある)  メインキャラ

……炎を繰り出す異能。高身長イケメンで巷で人気。

小森(こもり)(かく)  メイン2

……蔓を出し操る異能。奈路に片想いの幼なじみ。

根室(ねむろ)(りん)  ヒロイン

……水を操り敵を操る異能。趣味は人間観察。

宇垣(うがき)リスタ  ライバル

……何でも喰らう牙を持つ異能。ライバル。ヤクザ。

 車に乗り込み移動すること数時間。

 海沿いならではの潮の香りがする穏やかに時間の過ぎる町。さらに、そこから歩道されていない山道を登っていく。

 辿り着いた先は立派に建つ豪壮だった。

 潮風にも負けず轟轟しく知らしめる。

 近くには黒服の人々が見張っていた。

「ここだよ。マスターさんのいる所は……。とりあえず、詳しい場所は分からないから、バレないように侵入して手探りで見つけるしかないよね」

 ここからは作戦が全てを左右する。黒の命も、私達の命運も。

 ここから見える護衛は十名程。ここは裏口であり、正面ではない。きっと、正面にはさらに多くの護衛がいると予想される。

「俺様が真正面から暴れてやるよ。その間に裏口から侵入しりゃいい。牙狼会の復讐だ。てめぇらのボスとは関係ねぇからな、ここは俺が適任だ」

 彼一人が囮となるようだ。マスク所持者だからといって油断は禁物だが、適任者はリスタしかいないように思えた。

「アンタだけじゃ不安だ。俺も行く」

「おいおい。人質がいるんじゃねぇのかよ」

「大丈夫だ。アイツらの目的は魔力石の在り処を知ること。それもできずに人質を殺すことなんてできねぇ。怖いのは逃げられることだ」

 偉の言うことも一理ある。目的を見れば、殺されることはないと踏んでいるのだ。

「なら、四方八方を囲むように攻めた方が良いのでしょうか」

「そうなるな」

「なら、真正面から攻める。裏口から侵入する。上から攻める。逃げる敵を待ち伏せる。で敵を追い詰めるというのはどうでしょう」

「ああ。いいんじゃないか」

 私達は四つに分けられた。

 偉とリスタが真正面から攻めていく。椎奈が裏口から侵入していく。翔とレイが蔓で屋上へと向かい上から攻めていく。そして、私と凛が外で待機となった。

「これを持っていってくれ。無線だ。連絡に使う」

 私達は無線機を貰って各地の場所に向かい散らばった。


 館の真正面には護衛が多くいた。

「俺らの出番だな」

「いや、ここは私らの番ね。いくよ、奈路さん」

 真正面の護衛は私達が担当することになった。私はその場に雨を降らした。

「夕立なら分かるが朝立ちは聞いたことねぇな」

 雨が降りしきる。しかし、雨なんてものに対してビクともしない。それだけ鍛えられているのだろう。

「しかし、それだけじゃなんもできねぇだろ」

「まだ私の技……使ってないよ。さあ、踊り狂いなさい」

 護衛達を包む水のベール。

 いきなり護衛達が仲間割れし始めた。何名かは殴られ気絶し、何名かは溺死で倒れた。

「えげつねぇな。何つーか、味方で良かったぜ」

「さあ、行ってきて。ここから先は通さないから、ね」

「お、おう。軽く手間が省けたぜ」

 偉とリスタは先へと向かった。

 水溜まりを踏みつけ、死体などを横切って建物の中へと入っていく。



 二人は敵を軽々と倒していったようだ。

 三階まで続く大階段を登りながら敵を倒していく。転げ落ちていく護衛達。二人が三階へと着くと、一人の男が待ち構えていた。

「来たか。侵入者。……連絡する。侵入者発見した。以上」

 刀を懐に二本つけている。

 オリジナリティ重視の刈り上げた坊主頭。着物をはだけさせ、上半身裸となった。印象的な傷跡。背中には肉食恐竜の刺青が掘られていた。

(わし)は任侠。極道の道を歩む者。生半可な気持ちじゃ死ぬだけ。殺り合う前にお引き取り願おうか」

 炎によって大気が揺らめく。

「無理な相談だな。俺は警察で、元々、組織犯罪対策部の人間だった。アンタら極道の人間を幾つも滅ぼしてる。逃げるなら今なんじゃないか」

警察(サツ)か。相手にすると後々面倒だが、これは全て雇われ事業。躊躇いなく殺してやるよ。そこの子分もな」

 怒りを知らせる野獣の唸り。

「俺は子分じゃねぇ。それに、警察でもねぇ。俺様もてめぇと同じ極道の人間だ。俺ら牙狼会のシマで勝手に動いた挙句、子分に手を出したてめぇらに殴り込みに来たんだよ。覚悟しとけよ。生半可な気持ちじゃ死ぬぜ」

「同じ種の人間か。なら不足なし。たたっ斬るまで」

 任侠の男と偉、リスタとの戦いが始まった。


 裏側にいた椎奈は颯爽と裏口の護衛を全滅させていた。

 そのまま裏口から屋敷に入っていく。ほとんどの護衛は正面での騒動に駆けつけたため、少数の護衛しかいなく、彼らは元暗殺者の手で全滅させられた。

 屋敷の一階から三階までは殆どを階段で占めている。そのせいか、それ以外の部分はとても忘れさられやすくなっていた。

 何故か存在している非常階段。そこから二階へと出た。四面壁の廊下を通る。護衛もいないただ単なる道。無駄道を通ったと思いながら反対側へと向かっている時に、誰かが後ろから切りつけようとしていた。

 振り向き際に懐に隠したナイフを取り出し、振り下ろされる短刀をいなした。

 ターバンを巻いた謎の男。

 二つの短刀を持っている。

「あらら、暗殺失敗ってとこかしら」

「不甲斐ない。私は暗殺者。名前はない。呼ぶとするなら暗殺者(アサシン)と呼べばいい」

 彼女は独特なステップで消えるように動き、彼の背後を取るが、短刀でいなされた。

「あら、暗殺者だけあって反応速度もはやいのね」

「その動き、ただ者じゃないな」

「あら、そうかな。私もあなたと同じ単なる暗殺者。ただそれだけだよ」

 独特なステップとそれに追いつく脚力。

 静かなそこで暗殺者(アサシン)と椎奈の暗殺者対決が行われるのであった。



 一方、裏側にいた翔は天井に向けて蔓を放っていた。

 蔓に引っ張って貰って屋上へと登っていく。

「高ぇ。怖ぇ。高いの怖っ」

「せっかくそんな能力あるのに高所恐怖症なんてもったいないなー」

 どうやって登っているのかは分からない。蔓を蹴って屋上へと向かっていっていた。

「いや、高所恐怖症じゃなくても一般人ならこの状況は怖いって。ってか、どうやって登ってんの?」

 屋上に着く二人。

 ただ、翔はその場でゲロを吐き、その場で倒れた。「気持ち悪ぃ」と呪文のように呟きながら起き上がる気配はない。

 リタイア。この作戦が行われて最初のリタイア者が出てしまった。

 レイは誰もいない屋上で、彼を物陰に移動させ、その場に置いていった。


 屋上から下の階へと降りる。

 四階。そこは幾つかの部屋のある場所。そして、明らかに豪華な扉がある。その部屋の中へと入ると一人の男が待っていた。

 黒も黒を連れ去った女もそこにはいない。

 年老いた様相の執事服の男。

「残念ながらお嬢様はこの階にはおられません。ここにはわたくしお嬢様の執事を務める者のみが待ち伏せていたのみでございます」

 執事は近くの銃を手に取った。

 垂れ下がった銃弾の束が服の下に隠されていた。その束から一束手に取り銃に装着する。

「わー、マシンガンだ」

「喜んでいる(いとま)などありませんよ。貴方様は蜂の巣になるのですから」

 放たれる銃弾の雨。

 レイは何かに引っ張られるように進み攻撃を避け、近くのベッドの下へと逃げた。

 銃弾の嵐はまだ続く。ベッドを貫通していく弾。レイはベッドの上に立ち、そこから高く跳んだ。シャンデリアに乗っかる。その後、扉の方へと移動していく。

 放たれる銃弾を掻い潜り、扉の外へと出た。

 彼を追いかける執事。

 見つけるといなやマシンガンをぶっぱなす。弾切れする気配はない。単なる数の暴力がレイを襲うが、不思議な動きで全て(かわ)していく。

 レイと執事の生死を賭けた鬼ごっこが始まった。



 それぞれが強者との戦いが始まった頃、私達にも一人強者と戦うこととなった。

 正面玄関から出てくる一人の大男。その男は普通の男性の二倍の身長がある。

「ねぇ、一人でも多く倒した方がいいよね」

 凛は彼を倒すため能力を使うことを決めた。

 私は雨を降らして凛が水のベールで包ませるが、大男は持ち前のパワーでそのベールを破壊した。

「何あれ。パワーで無理やり解除しちゃったよ」

 どう戦えばいいんだろう。

 私は頭を悩ませていると、隣では楽しそうな吐息を吐いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ