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滅びの国の神変奇譚  作者: UDG
8/12

プロローグ

 この世界は、やがて滅びの時を迎える。





 世界には、べる者とべられる者たちがいる。

 わずか五十の魂は、億の人類の上に立つ。

 どんな幼い子どもでも、生まれれば教わるたった一つの真実。



 永劫の彼方から続くかのようなそのことわりは、三千年前に始まったという。

 幾多の星のように、生命が誕生したこの地平で、悠久の時はその姿を少しずつ変化させていった。知能をもつ生物は数を増やし、とうとう村を立て、歴史を刻み始める。どこにでもありそうな過程。しかし、突然その均衡は破れた。

 「上位種」。人類を凌駕する能力、さらにあり得ない魔術。前触れもなく登場した者たちは、世界の支配者となった。


 人類はいつしか、彼らをジンミと呼んだ。

 彼らは外見上は人類に似ており、交尾も可能。ただし、生まれる子はジンミではなく、その能力が子孫に受け継がれることはない。

 その代わりに、彼らが死ねば、どこかにその魂を継ぐ者が現れる。ジンミの肉体は容易く失われるが、魂は不滅。三千年経った現在も、魂は基本的には失われていない。

 基本的には。


 五十ほどのジンミは、知能も身体能力も人類を上回る。しかし、それほどの知能であっても、時に相互に争うことがあった。ジンミ同士の争いは、人類が介入できないほど苛烈であったと、歴史は伝えている。

 そうして……、幾つかの魂は失われたという。

 現在、人類が把握しているジンミは、三十人足らず。残る二十が失われたのか、身を隠しているのかは定かでない。


 人々は恐れ始めている。

 ジンミの魂に限りがあり、いずれすべては失われ、そして人類は取り残されるのだと。


 それは、一面では正しい。




 「私」は知っている。

 墓場まで持って行く予定の、ジンミの真実の一部を。

 「私」に墓場があるかは知らないけれど。


 この世界には、統べる者と統べられる者たちと、「私」と。そして……。


※ようやく本編に入ります。

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