情報を整理しましょう 3
情報整理は今回で最後です。
自分で書いてて涙が止まりそうない。
もう、なんでこんな、こんな酷いことを...うぅ。
ダメだ!違うこと考えなきゃ耐えられそうにない!
よし次だ!つぎつぎ!次の攻略対象いこう!
え~お次の攻略対象は、デデンッ、マティアス・ロード~。
えー、この方は宰相の息子で所謂放浪息子。
のらりくらりとヒロインの前に現れては「可愛いね~」とか「面白いよね君って」とか言ってくる奴である。しかしながらその裏では「ホント馬鹿でかわいい~」とか「君らがそれを選ぶなら僕は捨てるね」とか思ってる捻くれた奴なのである。
そしてそんな行動も脳も捻くれてるにもかかわらず嫌われないのが紛れもない美形だからである。
亜麻色の髪に琥珀色の瞳は見る者を魅了し、耳に掛けた髪やら目元の泣き黒子が色気を誘い男女問わず魅了してしまうのである。
4人目の攻略対象は、ディーク。
平民出身のマリージュアの従者である。
榛色の髪と黒い瞳の美青年。
現在私に従者は一人もいやしないが、これから2年後辺りに私がディークを拾うのである。
ゲームでの私は、ただ単に美少年を傍に置いておきたいが為に自分の従者にし、拾ってくれた恩のあるディークが逆らえないことを知っていながら扱き使うのである。
憂さ晴らしに暴力を振るうのはまだいい方で、時には婚約者ルークに近づく令嬢たちを排除させる道具としてディークの手を汚させることだって何回もあったのである。そん中、自分は何故こんなことをしているのかと思い始めたころヒロインに出会い、自分の犯してきた罪に苦しみ、ヒロインに癒されるのである。
5人目の攻略対象は、シリル・アーノルド。
別名、傀儡王子。ハニーブロンドの髪に碧の瞳をもつアーノルド王国の第二王子である。
シリルは側妃の子で、幼いころから呪いのように劣等感を抱かされ、操りやすく育てられてきたのである。女性には優しく紳士的に振舞うものの自室に入れば癇癪を起こし周りに当たり散らす最悪な奴だった。それでもSっ気のあるお姉さま方には人気のキャラで、人気投票でも2位にランクインするほどの人気っぷりだった。お姉さまら曰く、デレたときが死ぬほど可愛いのだとか。
はぁ、私には分からないわね、どうしてあんななよなよした奴が人気なのよ。
と文句を言っているのは、私の推しが3位だからである。キィィィィィッ!
っとハンカチを加えながら血涙を流し始めた私は(心の中で)途中で書くのをやめ次に移ったのだった。
これで最後、6人目の攻略対象である。
このキャラは特殊で、全キャラを攻略しないと解放されないキャラなのである。
また、登場するにしても特殊なルートに進まない限り登場せずに必ずバッドエンドになるという鬼畜っぷり、いったい私がこの隠しキャラを攻略するのにどれだけの時間を使ったことか、私のようにこのゲームの沼にハマってしまった古参プレイヤー達も苦戦したようで、掲示板では数々の愚痴が書き込まれていた。それもこれもすべてが美形のせいである。
なんと、この隠しキャラ様は堂々の1位!
エメラルドグリーンの髪に水色の瞳、その名もメル。
光と水の混精である。
光の精霊と水の精霊のハーフで、それ故に、一辺倒の力しか使えないメルは精霊界から追放され精霊力のあまりない人間界で暮らし始めるのである。
しかし、そんな暮らしがいつまでも続くことはなく、メルは力を徐々に消えかけていく。
ゲームではそんなメルを助けようとヒロインはメルを精霊召喚し、使役することでその命を繋ぎ止めた。
そんなヒロインとメルはいつしか互いに好意を持つようになり、エンディングでは無事にハッピーエンドを迎えるというなんとも王道ストーリーであった。
ここまでが攻略対象の情報、そしてこれから書くのがそう、対抗策である。
何のって?そんなのノア様の死亡エンド回避一択だろうがよぉ、あぁん?
っとっと、メンチを切っている場合ではないのでどんどん書いていこう。
まず初めに、ゲームスタートが16歳の王立学院の入学式から始まるため、今から6年後になる。
そのため、今から死亡フラグを摘み取るとしてもゲーム開始の6年前の情報なんて持っていないためここは慎重に行動するべきである。
既に私というイレギュラーが存在している以上、私が何か後々のシナリオに影響を及ぼしてしまうことも考えられなくはない為、本当に慎重に行動しなければ、しなければ...ノア様が死んでしまうかもしれない。
それだけは、それだけは絶対に、ぜーーーーったいに嫌だあぁぁぁぁぁぁぁ!!
こちとら死亡フラグ折ろうと奮闘するってのに、自分がフラグ立ててちゃ始末におけない!
兎に角!兎に角だ!!
ゲームにちらっと出てきた情報によれば、ルークは11歳の誕生日パーティーで何者かに襲われ、それを庇ったノア様が背中に傷を負ってしまうという事件が起きる。
とりあえずの目標は、私もそのパーティーに参加し、何とかノア様のその逞しくも麗しいお背中を守るのだ!
丁度私もルークと同い年の10歳、私はそこでノア様のお背中を絶対守って見せる!
傷一つ付けづに私が守ってみせますわ!!
待っててくださいましノア様~!!
シナリオに影響が~とか言っておきながらノアの背中を守ることに必死なマリージュアは知らない、これが歴史に名を遺す珍事件になろうとは、マリージュアは知る由もなかった。
次回からは死亡フラグ回避のためマリージュアの修行期間に入ります。
お読みいただきありがとうございました。