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プロローグ

拙いながらも頑張って書きました!

早速のシリアス回ですが是非見て行ってください!



思えば私の前世なんてとてもつまらないものだった。


男児が出来なかった柊家は、必要以上に私を利用してきた。勝手に婚約者を決められ、勝手に責任を押し付け、将来夫を支えるのだからと厳しい教育と花嫁修業を叩き込まれ、上辺だけの友達を紹介され、付きまとわれたりと、一見大変な人生のように思えるだろうが、私にとってそれは当たり前のことであり、自分が他の家と違う育ち方をしていることさえ知らなかった。

そうして積み重なっていった将来への期待は、じわじわと私の心を蝕んでいった。


そんな時だった。


高校に入学と同時に携帯を買い与えられた私は、クラスの子たちがスマホアプリというもので遊んでいて、是非美琴様もやってみてはいかがですか?と勧められたのだ。

勉強以外に特にやることがなっかった私は、興味本位で面白そうなアプリを探し始めたのだった。


それはまさしく転機。


私は、このつまらない人生で唯一の趣味という名の娯楽をみつけたのだった。

『王宮帝華‐君に出会って恋を知る‐』というアプリは、恋愛というものを知らない私に沢山の衝撃をもたらした。

最初は「なによこのアプリ...」と思いはしたものの、数々の豪華声優と攻略対象という美形集団を前にしてあえなく墜落した。


それからの私は潔いくらいに早かった。


普段からお小遣いとして大金をもらっていた私は毎日毎日寝る暇も惜しんで課金と言う名の廃プレイヤーとして僅か2週間で数々のイベントの上位を占め始めたのだった。

年齢制限もあり日に五千円しか課金できなかった私は、私付きの侍女に名義を借り、見事日に一万円の課金ができるようになったのである。2週間たったそれだけの期間で日に諭吉さん一枚分を消費し続けた結果、

――――14万円。少々子供が使うには大きい値段だが私は課金に対して一切の妥協をしなかった。


アプリをやり続けること早1年。


私は、推しと言う名の恋人を見つけた。


その名もノア・マグレガン様、耳より長いくらいの黒髪に琥珀色の瞳、普段はクールでキリリとしてるのに笑うと垂れ目になっちゃうノア様。


そんなギャップキャラにハマるのも時間の問題で私はどんどんノア様に貢ぎに貢ぎまくっていっ

た。



でも、そんな私にもようやく春が来た。


17歳になると同時に養子として一人の女の子が我が柊家にやってきたからだ。

妹は14歳で、人見知りばかりする女の子だった。

今まで一人だった私は、すぐに妹を溺愛し始めた。それとともに私の推しの良さについて(一方的にともいえる)語って、楽しい毎日を送っていた。


けれど、そんな毎日は残念ながら続くことはなかった。


養子に入った妹のことを良く思わない人たちはたくさんいて、陰で嫌味を言ってくる人たちがたくさんいた。その度に私が妹を庇うも、周囲はそんな私の行動を哀れんだ。


優秀な姉と、何の才覚も持たない義妹。


「美琴様はお優しいのですね」「そのような義妹をもって美琴様は大変ですのね」

そんな言葉ばかりを言われ始めるようになってしまった。


私が義妹を庇っても、周囲の反応はそんな私の行動を哀れみ、代わりに義妹に嫌味を言って帰っていく。そんな毎日に耐えきれるほどまだ14歳の義妹は強くはなかった。


いつしか私を避けるようになり、会話もしなくなった。


私が高校を卒業してもそれは変わらず、益々私たち姉妹の溝は深くなっていった。

それでも誕生日にはプレゼントを贈り、昔書き留めた授業のノートを義妹の部屋に置いてきてもあったりと、私なりにできることはしていた。


そうやって私なりの愛情を送ってみても、義妹は耐えられなかったのだと私は知った。


大学の帰り道、ふと車の中から交差点を見た時義妹を見つけたのだ。

背を丸めて下を向く義妹は信号が変わっても進もうとせず周りの通行人の邪魔をしていた。

私は運転手の田中さんに下ろしてもらうようにお願いして、近くの駐車場に車をとめに行ってもらい、私は義妹もとへと向かった。


だけど、近づけば近づくほど何かがおかしいと思い始める。

なにか、取り返しのつかないことを義妹はしようとしているのではないか。


そんな嫌な予感が背筋につたう悪寒とともに私を襲った。


間に合えっ、間に合えっ!と心の中で願いながら、私は必死に走る。



人にぶつかっても普段なら「すみません」と言えていたのに、謝ることも忘れて必死に走る。


そのおかげもあって無事に義妹のもとについたものの、義妹は私に気づきもせずに前に行こうとする。

だから私は義妹の肩を掴んで、碌に握力もない手で後ろに押しやった。


義妹は驚いた表情で私を見つめる。


あぁやっと私を見た。

大きくなったわね結衣。

5㎝くらいは伸びたんじゃないかしら?

いつか言っていた、私のようにスレンダーになると言っていた義妹を思い出し、顔が綻ぶ。


―――私今死にかけてるのに。


なんて暢気なの、と思いながらも走馬灯のように義妹との思い出が流れ込んでくる。


それでもたったの2秒弱、そんなに長いこと続くはずはない。



頭に、肩に、腕に、身体中に激痛が走る。


車の勢いにより、私の身体は吹き飛んだ。何回かバウンドして顔に、頭に激痛が走った。


赤く染まる視界の中、必死に義妹を探して、視線を彷徨わせる、だけれど頭が揺れてどうにも終点が合わなかった。それに、身体もすごく痛かったから義妹が駆けつけて手を握ってくれたことも分からなかった。それでも、五月蠅いくらいに心音が聞こえるのに、義妹の声だけはしっかりと聞き取ることができた。たとえこれが幻聴であったとしても、これで私の肩の荷が下りた気がした。


あぁこれで煩わしいあの家に縛られなくていい。自由になれる。

最後にノア様の顔が見たいなぁ、なんて。

そんなことを思いながら私は小さく息を引き取ったのだった。






お読みいただきありがとうございました!

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