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マシックガールズ  作者: まーだ
第七章 黄昏の魔法少女たち
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第80話 圧倒

トーナメント二日目。

イブキの竜化魔法などの理由に寄り会場の大きさが見直され、会場は一つの大きなフィードになった。

二回戦からはシード枠が出てくることもあり、会場は昨日より盛り上がっていた。


そんな1試合目。グローリアの試合だ。


「え、グローリア?」


控室で、魔法少女の姿に変身したグローリアを見てイブキは驚いていた。


「昨日、少し疑問に思ったんだ。なんでみんな魔法少女なのに変身しないのかって」


「魔法少女はある時を境に覚醒する。昨日のイブキのように別の姿になる。ここに集まっているのはまだ覚醒前の連中だらけだからな」


バレットが扉の前でグローリアの返信する様子を見ていた。


「バレット、こんなところにまで偵察か?」


「まあね、君は既に覚醒していると思ったよ」


「へぇ、やっぱりグローリアはすごいんだ」


バレットはグローリアの近くまで寄ってきてじろじろとグローリアの衣装を観察し始めた。


「あんまり煌びやかな衣装ではないね。所々ボロボロだし、でも逆にお洒落かも。それに尻尾とネコミミ、猫が好きなのかな」


バレットは笑いをこらえながら、グローリアの頭の上についている装飾を突っついた。


「触らないでよ」


「おっと恥ずかしかったかい?ごめんよ」


バレットはそう煽ると、部屋を後にした。


「やっぱりアイツとは気が合わない」


「そうかなぁ?向こうはグローリアのこと気に入ってそうだけど」


「私はごめんだね!」



-----------


モニター室。

ハルシオンと黒い服の少女は第一試合が始まるのを待っていた。


「さて、今日は昨日と違って盛り上がっているみたいだよ」


「ハルシオン、どうしてあの子を第1シードに?」


「見ればわかるさ、グローリアの実力は君すらも超えているかもしれない」


「それは、楽しみだね……」



-----------


グローリアと対戦相手の魔法少女は位置についた。


「よろしくお願いします」


相手の魔法少女は第1シード相手でも物おじせず、礼儀正しく挨拶をした。


「ああ、よろしく」


グローリアも返事をしたが、頭の中は別のことを考えていた。


周りで見ているのはイブキだけではない。バレットとこれから対戦するかもしれない魔法少女。

果たして手の内を明かしていいのか。という疑問。


(答えはNOだ。一瞬で決着をつけ、周りに考察の時間を与えない。自分の能力や弱点を悟らせない)


「悪いけど、手加減しないから」


そして、試合が始まった。


刹那。


グローリアの相手の魔法少女は地面に倒れ、動かなくなった。


会場から声援が消えた。何が起こったのかすらわかっていない。圧倒的な実力差。


「な、何をしたの……グローリア」


イブキは驚いたまま固まっている。


「……」


余裕を見せていたバレットでさえ、言葉を失った。


「しょ、勝者グローリア!」


審判の判決を聞くと、グローリアは颯爽と会場を歩いた。

そしてバレットの前で止まる。


「どうだった、私の試合を見て何か分かったか?次はお前の番だな、バレット」


「こいつ……」


バレットは顔を引きつった。

そして、ゆっくりとリングに歩き出した。


「あいつの魔法、まるで分らなかった。瞬間移動したように見えたが……」


「対戦よろしくな、第2シードだろうが、調子乗ってんじゃねぇぞ?」


バレットは対戦相手を無視し、独り言をつづけた。


「まあ実力を隠すのは当然か……」


「おい、聞いているのか?」


「悪いな、お前は眼中にないんだよ」


試合が始まると同時に、会場に爆音が響き、バレットの対戦相手が血を流しその場に倒れた。

二連続で瞬殺、会場の魔法少女たちに緊張が走る。


「……」


バレットとグローリアは無言のまますれ違った。


「やっぱりあの人、かなり強いよ」


イブキがグローリアに言った。

グローリアは軽く笑い、バレットに聞こえるぐらい大きな声で言った。


「大丈夫、種がわかった手品なんて大した魔法じゃない」


バレットは足を止め、グローリアに言った。


「虚勢だな」


「そう思うなら、勝手にどうぞ?」


実際、グローリアはバレットの魔法を見抜いていた。

爆音が鳴った瞬間、グローリアは時を止めて、魔法の正体を確かめていたのだ。

その瞬間バレットの手の指が、銃口に変わっていた。


(こいつは、体が銃になるのか……)


「でも、がっかりだよ」


グローリアはここぞとばかりにバレットを挑発した。


「何?」


「あまり大した魔法じゃないんだね」


「勝手に言ってろ」


バレットはそう言うとどこかへ行ってしまった。


「第3試合は見なくていいのかね?」


「もう終わってるけどな」


「え?」


グローリアがリングの方を振り向くと、第3試合の決着は既についていた。

一人の魔法少女が血まみれで立っており、もう一人の魔法少女は体が半分になり地面に倒れていた。


「みんな、一瞬だね……」


「油断も隙もねぇ……」


---------------------


モニター室。

ハルシオンと黒い服の少女はこれまでの試合を見返していた。


「どう?」


「やっぱりグローリアの魔法だけ意味不明だね。攻撃した後が全く見られない。」


ふいに、黒い服の少女は戦闘態勢になる。

近づいてくる足音に警戒した。


「誰……?」


「ああ、私だよ」


そう言い、モニター室に入ってきたのは先ほど試合を終えたバレットだった。


「こんなところで暇をつぶしていていいのかい?」


「ああ、問題ない、今日はもう、以降の試合は不戦勝だろうしね」


「まったく、何が目的だ?」


バレットはモニターを勝手に操作し、グローリアの試合の映像に切り替えた。


「あ、おい勝手に触るな」


「まあ、気にするなハルシオン。盛り上げてやるからよ、決勝戦」


バレットは静止を無視して、グローリアの試合を何度も流した。


(なるほど……これは瞬間移動ではない)


「ハルシオンさん。止めた方がよいのでは?」


黒い服の少女はハルシオンに聞いた。


「構わない、どうせトーナメントはグローリア一強だったからな、ここでバレットが何かつかめれば面白いことになるぞ」


バレットはグローリアの魔法が発動する瞬間と、その後の映像を見比べた。


(ここで消えて、次に現れたのはインパクトの瞬間、元々グローリアのいた地面がえぐれたのも同じタイミング……まさか)


バレットは何も言わずモニター室を立ち去った。

そして一人でつぶやいた。


「ふふ……わかった、やつの魔法の正体が……」




-----------------



バレットが会場に戻ると、会場は騒然としていた。


「……」


近くでイブキが頭を押さえて震えていた。

バレットはイブキに近寄り話しかけた。


「イブキ?どうしたんだ」


「バレットさん……私……戦いたくない……!」


「おいおい……」


イブキはバレットに抱き着き、泣き出してしまった。

バレットがリングに目をやると、一人の魔法少女が取り押さえられていた。


「あいつは確か……第4シードの」


「あれは試合じゃない……ただの虐殺だ」


イブキの隣にいたグローリアがバレットに言った。


「何が起きた、グローリア」


「試合が始まって数秒。決着はすぐについた。だが、それで終わりではなかった。奴は倒れた相手を執拗に攻撃し続け、殺した。審判も巻き添えだ」


「なんであんな奴が……」


「私が聞きたいよ」


その後、ほとんどの魔法少女が棄権を選択した。

そして、図らずも魔法少女たちのベスト8が出揃った。


明日はいよいよ最強の魔法少女が決まる。

しかし、魔法少女たちの表情は浮かないものだった。




-----------------


3人は昨日と同じカフェで落ち合った。


「……どうしよう、次の私の相手、あの魔法少女だよ」


イブキは不安を口にした。


「イブキ、逃げることは恥じゃない、あいつは異常なんだ。」


「……」


グローリアは黙っているバレットに援助を求めた。


「バレット……お前も言ってあげてよ」


「イブキ、なぜ棄権しなかった?」


「バレット」


予想と違うことを言いだしそうだったので、グローリアはバレットに視線を送り合図をした。

しかし、当然のようにバレットはグローリアを無視し、話を始めた。


「戦う、つもりなんだろ?」


「やめろよ、イブキは怖がっている」


「甘いぞグローリア、言っただろう、強くなるには勇気が必要だ」


「やっぱりお前とはウマが合わない、バレット」


「グローリアも、バレットさんも仲良くして……!」


結局いつもの通り、グローリアとバレットが喧嘩しそうになったのでイブキが割り込んで静止した。


「決めるのはイブキ自身だ」


「……」


バレットは選択をイブキ自身に託したのに対し、グローリアは黙ったまま外の景色を眺めた。


「私、ちょっと外の空気吸ってくる」


そう言い、イブキはカフェの外へ出て行った。


グローリアとバレットは自分の飲み物を飲み干し、互いに言った。


「奴が暴走したときは私たちが止める」


「当然だ」

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