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マシックガールズ  作者: まーだ
第七章 黄昏の魔法少女たち
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第78話 新たな戦いの幕開け

炎で燃える町。逃げまどう民。


一人の魔法少女が笑いながら虐殺を楽しんでいた。


「悪の魔法少女め、そこまでだ!」


そこに現れるもう一人の魔法少女。


「誰だ貴様は!」


「言う必要はない。TimeDive!」


少女がそう言うと、世界の時間は止まった。

止まった時間の中、少女だけが動き、そして敵に触れる。


「爆ぜろ……!」


その瞬間、止まっていた時間は動き出し、敵の魔法少女はバラバラに砕け散った。


称賛の声が上がる。

正義の魔法少女は人々に胴上げされた。


「わっしょいわっしょい」


最強の魔法少女、その名は……


---------------


「グローリアさん!グローリアさん!」


「むにゃむにゃ……」


「起きてください!今日は私たちの歓迎式ですよ!」


「はっ……!!」


グローリアは目を覚まし、ベッドから飛び起きた。


「わっ……」


その勢いでグローリアを起こそうとしていたイブキは吹き飛んだ。


「あー!イブキ!ごめんっ!」


「い、いえ……大丈夫です!それより、急がないと……」


グローリアとイブキは急いで制服に着替えると、会場へ向かった。


--------------


会場の入り口にはハルシオンが待っていた。


「遅いぞ」


「すみません」


「怒られるのは私だからな、すぐに中に入れ」


グローリアが扉を開けると、同じ制服を着た少女たちが整列していた。

その数、およそ100人。


「ここにいるみんな、魔法少女なのか……」


「感心している場合じゃないよグローリアさん。私たちも並ばなきゃ。」


イブキに手を引かれ、グローリアも同じように等間隔で並んだ。


ちょうど、今、式が始まるところだった。


壇上に立ったのは、無知なグローリアでも見たことのある人物だった。


「初めまして、魔法少女のみなさん。私はこのテュポーンの最高管理人にして、DUSKの総司令官、レイス・アタラクシアです。あなたたちを直接指揮することは少ないでしょうが、以後よろしくお願いします。」


レイス博士。

その名前を知らない人はいない。

かつて存在していた大都市エリア1の研究員であり、魔法を利用した人類の新たな生活様式を確立し、世界に広めた第一人者である。


「そんな人が、私たちの総司令官なんだ」


「でもなんか……雰囲気変わった気がするなぁ」


グローリアは違和感を感じていた。

かつてテレビで見たことのあるレイスとは違う何かを。

彼女の最初の発明であるデミ化手術のインタビューでは笑顔を見せ、どことなく初々しさがあったのだが。

今は違う、彼女の瞳からは光が感じられなかった。それだけ時がたったということだろうか。


「まあ、5年もすれば多少は老けるか。私たち魔法少女と違って」


「グローリアさん……失礼ですよ……!」


「聞こえるわけないって……」


当然、グローリアたちの声は壇上のレイスには聞こえないはず。

しかし、レイスはグローリアを睨んだ、ように見えた。


「ひぇ~おっかねぇ」


レイスは挨拶をつづけた。


「我々、いえ、私の目標はただ一つです。世界中から凶悪な魔法少女による犯罪を撲滅し、認められる存在になること。

魔法少女が人類にとって強力な味方であり、共存すべき……だと」


レイスは以上です。と話を絞めると壇上から去って行った。


「これだけ?朝6時に起きて?」


グローリアが疑問に思ったのも束の間、続いて壇上にハルシオンが上がっていた。


「私の名前はハルシオン・ソーディア。まあ君たちを直接指揮をするのは私だ。早速だが、明日から三日間、君たちには戦ってもらう」


「戦う?」


魔法少女たちは困惑した。

当然だ。いきなり戦うと言われても相手がいない。


不安に思う者。批判を口にする者。


ハルシオンはそのまま続けた。


「戦うのは君たち同士だ」


「え」


グローリアとイブキは顔を見合わせた。


「私たちが……」


「戦う……?」


静まり返った空気の中。

一人の魔法少女が声を上げた。


「私たちが戦う理由なんてないじゃないか!」


ハルシオンはすぐに答えた。


「理由はある。君たちがどれだけの力を隠し持っているか、正確に把握する必要があるのだ。大丈夫だ安心しろ。魔法少女はそう簡単には死なない。

君たちがこれから経験する、本気の殺し合いと比べれば、遊びみたいなものさ。」


「……!」


「試合はトーナメントで行われる。トーナメント表は今日中に発表される。今日はこれで解散だ。明日に備えて心の準備をするか、他の魔法少女でも偵察して作戦でも立てるか、自由だ。以上」


ハルシオンはそう言うと、その場を去って行った。


周りにいた司令官のような人たちは歓迎会が終わるとすぐに会場を立ち去り、残されたのは魔法少女たちだけだった。


「グローリアさん……行こ」


イブキはグローリアの服の裾を引っ張った。


「わかった……」


二人は一旦自分たちの部屋に戻った。


---------------


「ど、どうしよう……いきなり戦うなんて……」


「おちついてイブキ、いわゆる実技試験のようなもの」


「で、でも……」


魔法少女同士の戦いを経験したことのあるグローリアは知っていた。

命と命の奪い合い。とどめこそ刺されないだろうが、勝っても負けても致命傷は免れない。


それに、あの会場の中で、数人。明らかに殺意をむき出しにしている者がいた。

明日行われるのは遊びの試合ではない。


「本気の……殺し合い……」


イブキはそうつぶやいた。


「イブキも……気づいているんだね」


「うん……わかってる……。やらなきゃ、やられる……」


「気分転換しよう、イブキ。こんな空気耐えられない」


グローリアはそう言い、部屋の扉を開けた。

すると、ハルシオンが焦った顔で廊下を走っていた。


「ハルシオンさん!どうしたんですか!」


「ああ、グローリアか。ちょっと問題発生、いや、ちょうど収まったかな」


廊下の奥から、複数人に拘束された少女が歩いてきた。

その少女は血まみれで笑っていた。


「クク……」


その少女はグローリアを睨み、笑いながら連れていかれた。


グローリアはハルシオンに聞いた。


「何ですか、あれ」


ハルシオンはため息を吐きながら答えた。


「あれも魔法少女だ。そうとうやばいタイプの」


「まさか、あの血って……」


「試合は明日だってのに、抑えられなかったんだろうな、衝動が」


「殺したのか?ほかの魔法少女を」


「機密事項だ、君たちが気にすることではない」


「ハルシオンさん。なんかちょっと隠していることあるよね」


「信じたいなら信じ続けろ。すべてを疑う姿勢は間違っていないぞ」


ハルシオンはそう言うとどこかへ行ってしまった。


「はぁ、まったく。とんでもない魔法少女がいたもんだ」


「……」


イブキはすっかり恐れて、部屋の隅で丸くなっていた。

グローリアはイブキの横に座り、話しかけた。


「イブキは戦うのが怖いの?」


「……痛い思いをするのが怖い」


「じゃあ、どうしてDUSKに加わろうと思ったの」


イブキは目を瞑りながら言った。


「……強くなりたかったから、強くなって、守りたいもの守れるようになりたいから……」


「……なんだ、強いじゃんイブキ」


「えっ……」


イブキは顔を見上げ、グローリアはイブキの顔を見て言った。


「痛い思いをするのが怖いのに、みんなを守りたいという思いが勝ったんだよ。強いじゃん、ね?」


「ふふ……ありがと、グローリアさん」


「呼び捨てでいいよ」


「でも、たぶん年上ですし……」


「魔法少女に年齢なんて関係がないんだよ!わかったイブキ?」


「……うん、グローリア!」



そして、一日が過ぎた。

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