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マシックガールズ  作者: まーだ
第六章 愛と希望の物語
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第64話 それぞれの戦い

6章までのあらすじ


メルメルの暴走、ミコトの裏切り。

度重なる戦闘にロロたちは心を休める時間がなかった。


一方、魔法水の供給を絶たれ、後に引けなくなった魔法結社は政府に攻勢をかける。

一触即発の状況。ロロはテレビを見つめ、リオンたちの無事を祈っていた。


エリアAの町を魔法少女が歩く。

魔法結社のリーダーが手を掲げると、後ろに続く魔法少女たちが一斉に破壊活動を始めた。

住民たちは逃げまどい叫喚した。


中継用のドローンはその悲惨な現場を映し出していた。

それはまるで神災。押し寄せる津波のように街を崩壊に飲み込んでいった。


やがて獄炎と煙の中から魔法少女たちが陽炎と共に現れる。

目の前に見えるのは政府複合施設。いわば最終防衛目標。

ここに自分たちの復讐する相手がいると思い、魔法少女たちは怒号を上げた。


対し、施設の門から現れたのは政府の魔法少女、魔法少女軍。

魔法結社と異なり、統一された制服と隊列は堅牢な雰囲気を醸し出していた。


お互い、一人の魔法少女が前に出る。


魔法結社のリーダー、リオン。

エリアCからの脱出の時とは違い、その顔には覚悟が現れていた。

リオンは口を開いた。


「今日でこの国は終わりだ」


対面には魔法少女軍の兵士、ジャッジメント。

重厚な鎧と巨大な剣は他の魔法少女を圧倒していた。

ジャッジメントの兜の隙間から怪しく目が光る。


「おとなしく投稿すれば命までは奪わない」


「はは、面白い冗談だな」


「残念だ……」


ジャッジメントが大剣を天に掲げた。

そして兵士たちに告げる。


「殺せ」


魔法少女軍が一斉に動き出す。


「突撃ぃぃぃ!!」


それと同時にリオンも号令を放った。


剣と剣がぶつかる音。

炎が飛び、水が駆ける。


魔法少女同士の幻想的で優美な戦闘は長くは続かなかった。


一滴の血が垂れ、それを皮切りに血は水となり、雨となり、海となった。

それでも魔法少女は戦い続ける。守りたいもののため、復讐のため。

どちらが正しいかはもはや誰にもわからないだろう。

ただ、唯一言えること。それは最後に立っていたものが勝者だ。


ジャッジメントが冷静に戦況を見極めた。

単独の戦闘能力に特化した自軍の兵士にとって、予測不可能な攻撃を繰り出す魔力結社は相手にしづらく、やや不利な状況だった。


ジャッジメントは前線を少し下げる命令を出した。

正門付近に敵を集め、周りを囲む作戦だ。


その瞬間、空中に一人の魔法少女が飛び上がった。

ジャッジメントは剣を構えた。


その魔法少女は光と共に地面に着地し、周りの魔法少女を消し飛ばした。


「よう、お前がリーダーだな……」


「大将自ら最前線に来るとはな、殺す手間が省けたよ」


ジャッジメントの周りに、無数の光の玉が出現する。


「何!?」


それらは全てジャッジメントにゆっくりと向かい、そして爆発した。


「やったか?」


当然やっていない。しかし、ジャッジメントの装甲はボロボロに崩れ落ちた。

ジャッジメントは吐血し、かなりのダメージを受けている。


「なら、たたみかけるのみ!」


リオンは再び光の弾を放った。

ジャッジメントは剣を構え、呼吸を整え、動きを止めた。


「お前の魔法は……光か!」


ジャッジメントの真上に巨大な渦が現れた。

それは周りの空気、物体、さらに光の弾さえも吸い込んだ。

そして、リオン自身も吸い込まれる。


「くッ……」


「これが、私の魔法、ジャッジメントエクスカリバーだ!」


リオンは自身の放った光の弾で自爆し、さらにジャッジメントの剣で追撃を受けた。


「ぐわあああああああああああああ!!!」


ボロボロになったリオンが地面に倒れる。


「勝負あったな」


「まだだ……」


リオンはふらふらと立ち上がる。


「僕は……負けるわけには……行かないんだぁぁぁぁ!!!」


リオンは再度光の弾を放った。

それと同時に自身も走り出す。


「馬鹿が、お前の魔法はもう、私には通用しないだろ……!」


ジャッジメントの上に渦が現れる。

リオンの放つ光の弾は全て渦に吸い込まれる。


「うおおおおおおお!!!」


それでもリオンは光の弾を放つのを止めない。

己の魔力が尽きそうであっても、何度も、何度も、放った。


「無駄だと言っている!!」


ついに、リオン自身もジャッジメントの魔法の射程距離に入った。

リオンの体がふわりと浮く。


「終わりだぁぁぁぁぁぁ!!!」


ジャッジメントが叫び、リオンが吸い込まれるのに合わせて、剣を振るい始めた。


「うわあああああああああ!!!!」


その瞬間、リオンは自身の右手をもう片方の手でもぎ取った。

そして、ジャッジメントの渦に向かってもぎ取った右手を投げる。


「なっ……」


右手は光の弾と接触し、大きな爆発を起こす。

その爆発はリオンの全魔力とも言えるだろう。

ジャッジメントの想定をはるかに超えていたのだ。


言葉を発する暇もなく、ジャッジメントは爆風によって消し飛ばされた。


リオンも爆風によって吹き飛ばされた。

地面に直撃する直前で仲間の魔法少女たちがやさしく受け止める。


「やりましたよ!リオンさん!」


「私たちの勝利です!」


リオンは仲間たちの歓喜する様子を見る。

戦闘は終わっていた。


決して犠牲が少ないわけではない。

戦闘に参加した魔法少女の8割は死屍累々の死体の山と同化していた。


それでもつかんだ勝利。

リオンの目から涙があふれ出していた。


「……ロロさん、見ていてくれましたか、僕たちの雄姿」


勝利に歓喜する一同。



ズン……


と地面を揺らす音が鳴る。


魔法少女たちは静まり返り、音の鳴った方を見る。

それは大きさ4m~5mぐらいのロボットだった。


「……」


異様な光景だった。

魔法少女が絶対的な力を持つ、新時代の戦争において、

機械兵器は全くと言っていいほど役に立たない。

一応破壊能力で優れている場合があるため、戦車と魔法少女のハイブリッドな構成は多々見かける。

しかし、魔法少女軍の兵士が全滅してから、たった一体のロボット。

武装は片手に機関銃のみ。


「悪あがきか、それとも何も知らず戦火にやってきた無謀なやつか……」


リオンは一人でその兵器に向かっていった。


「どうでもいいか、運が悪かったな」


リオンは光の弾を発射した。

先ほどジャッジメントを倒したおかげで、攻撃する魔力は十分にあった。


光の弾はロボットに向かって一直線で進んでいった。


しかし


そのロボットに当たる直前、光の弾は突如消滅した。


「軌道が逸れたか?」


ロボットは一切動かない。

リオンはゆっくりとロボットに近づく。


「今度は確実に……」


リオンは光の弾を左手に集め、光の剣を生成した。

そして、ロボットの機関銃の射角に入らないよう、後ろへ回り込み、一瞬で距離を詰めた。


誰もが勝負あったと思った。

しかし、リオンが剣を振るおうとすると、剣は先ほど光の弾が消失したように消え去った。


「なん……で……」


「リオンさん!逃げて!」


リオンの仲間の一人が叫ぶ。

ロボットの背中からピンク色の煙が噴き出した。

ロボットがゆっくりとリオンの方向を向く。


底知れない恐怖がリオンを襲う。


「……!」


恐怖によって足がすくんだわけではない。

リオンは後ろに下がろうとして、バランスを崩し、その場に倒れた。


ロボットは大きな手でリオンを掴む。


「クソッ……離せ……!」


リオンは必死でもがく。

それと同時に、謎の力が自分に作用していることを感じた。


普通の機械なら、魔法少女の力を使えば簡単に抜け出せる。

しかし、いくら力を入れても全く抜け出せない。


その理由は何か。

このロボットは魔法少女か、いや違う。

リオンは魔法少女としての力を一切使うことができなくなっていたのだ。


「な……なんだよ、こいつ……まさか……」


バキ、バキ、バキ、と骨が砕ける音が響く。

機械の手から赤い液体が滴る。


魔法少女たちはその様子をただ茫然と見ていることしかできなかった。


リオンだったものを投げ捨てた。

そして、残りの魔法少女の方を向く。


ロボットは機関銃を構える。


「そんな豆鉄砲……!」


その弾は防御を行った魔法少女の盾もろとも蜂の巣にした。

あまりに一瞬の出来事で、魔法少女は一切の言葉を発することなく肉塊になった。


その様子を見た後方の魔法少女たちは一斉に逃げ出した。


悲鳴を上げ、泣き叫び、敗北を悟った。


背水の陣、玉砕覚悟で特攻した魔法少女でさえも、絶対に勝てない。

そう思わせるだけの力をそのロボットは持っていた。


辺りの魔法少女たちを一掃し、ロボットはその場に静止した。


映像はここで止まる。



------------



トワはモニターを切り、シルビアに聞いた。


「どうだ?」


「……」


「珍しいな、お前がそんな表情を見せるなんて」


シルビアは映像を見終えた後も、驚きの表情を隠せないでいた。


「あれは、一体……」


トワは別のモニターを起動した。

そのモニターには先ほど映像のロボットとその設計図が映し出された。


「このロボットの名前は魔消兵mist.1、対魔法少女兵器だ」


シルビアは設計図を読み、声を出した。


「周囲約15mに存在する魔法少女の能力を無効にする……」


トワはそれに付け足すように答えた。


「背中に取り付けられた魔法妨害装置でな。魔法少女を衰弱させるという言い方が正しいか。」


「どうしてこれを最初に使わなかった、ジャッジメントたちは……」


シルビアはトワに聞いた。


「彼女たちは十分に戦ってくれたよ、このロボットの強さを証明するためにね。では私はこれで失礼するよ、これから重要な会見があるのでな」


そう言い残し、トワは去っていった。


「こんな兵器……いったいどうするつもりなんだ……」


シルビアは残された設計図を茫然と眺めた。



------------



会見場にトワが姿を現した。

カメラのフラッシュが鳴った。


トワが右手を上げると、記者たちはカメラのフラッシュを止め、一斉にメモ用紙を取り出した。

トワはマイクを握り、話を始める。


「今回の魔法少女の反乱につきまして、会見させていただきます」


「この度、多くの市民、勇敢に戦った兵士たち、それら多くの命が失われたこと、まことに残念なことだと思います」


「しかし、我々は勝利しました。反乱軍のリーダーである魔法少女の抹殺に成功しました」


トワが指を鳴らすと、空中にモニターが出現した。

そのモニターには魔消兵のデータが映し出された。


「魔消兵、これはあらゆる魔法少女の力を無力化します」


「すでに量産もされています、この魔消兵が必ず市民の平和を守ると約束します」


「そして、反乱を企てる魔法少女を殲滅することを誓います」


その一言で、会場は会場が湧き上がる。

エリアAの市民がどれだけ魔法少女の脅威に怯えていたか、

まるで救世主いでも会ったかのように感嘆の声を上げた。


トワが右手を上げると、会場は再び静まり返った。


「以上です、何か質問ある方は」


1人の記者が手を上げて発言した。


「現在、デミ化手術により魔法少女にならざるを得なくなった人はどうするのですか?」


トワは答えた。


「反乱の意志が無ければ問題ありません。ただ、そういった方は政府の相談センターにお越しください。保護という形で政府が管理いたします……」


-------------


ロロはテレビの電源を切った。

そして絶望し、地面に倒れた。


「ロロ……!」


心配したエフィがロロに駆け寄る。


「魔法少女だけを殺す機械……そんなのアリかよ……」


テレビの映像では魔法少女が惨殺される様子だけ映し出されていた。

あのリオンが全く歯が立たず、魔消兵に握りつぶされ殺されていた。


他の魔法少女と同様、ロロでさえ勝てる未来が見えなかった。


残された選択はカイザーが提案したようにエリア1から逃亡するか、それとも政府に保護されるか。


「いや……」


ロロはメイからデミの惨状について聞いていた。

保護というのは、間違いなく嘘だろう。

魔結晶にされて売られるか、奴隷として扱われるか。


どちらにせよそんな選択はない。


「いったいどうすれば……」


ロロが魔消兵攻略に悩んでいると、教会の扉が開いた。


「ここが彼女の言っていた教会?やけに静かだ……」


ロロは侵入者の制服を見て表情を変えた、そして彼女に言った。


「政府の人間がこんな場所に何の用だ?」


「あなたがロロ?」


その人はロロの質問を無視して言った。


「誰だ、お前」


ロロも質問を無視して聞いた。

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