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マシックガールズ  作者: まーだ
第五章 アンチマギカ炎症
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第63話 焔の光

第五章最終回です

ミコトは力を振り絞り、ロロから逃走していた。

先ほどの一撃で殺せたシスターたちは5人。


既にロロの攻撃によって3回殺されている。


残りの命は自身のものも併せて3つ。


突如降り注ぐ無数の光線。

ロロの攻撃だ。

ミコトはそれに焼き殺された。


「もっと、遠くへ………逃げなければ……」


ミコトは立ち上がり、ライフサーキュレートの能力を発動した。

自身の命のみを残し覚醒する。


「遠くへ……」


覚醒したミコトの速度は凄まじく、ロロでさえ追いつくのは困難だった。


しかし、ミコトが逃げた先。

そこは断崖絶壁だった。


「……っ」


ライフサーキュレートの効果が切れ、ミコトは地面に倒れる。


「あと、少しで……」


「終わりです。ミコト。」


ミコトが立ち上がると目の前にロロが立っていた。


「もう死んでください」


ロロの慈悲はもうない。

命乞いも通用しない。


ミコトは大きくため息をはいた。


「わかったよ。お前の勝ちだ」


ミコトはそう言うと、ゆっくりと自身の重心を後ろにずらした。


「ミコト……!」


ロロは手を伸ばしたが、間に合わず、ミコトは崖下へ真っ逆さまに落ちて行った。


「……」


ロロ自身もミコトの残りの命を計算していた。

そして、崖下に落ちて行った命が最後の命であることも知っていた。


しかし、心残りはミコトの最後のセリフ。そして、ミコトの表情。

どこか笑っているようにも見えた。


ロロが崖下を茫然と眺めていると、突如ロロの頭の中に声が響いた。


「ロロ……ミコトを倒したみたいね」


メイの糸電話だ。


「メイ、無事だったのか」


「私は大丈夫、だけどアルカの方が……」


アルカは決死の覚悟でミコトに決定打を浴びせた。

その際に致命傷を受けていた。


「アルカ……!」


ロロは急いで元の場所に戻った。



------------------------------


「アルカ……!」


ロロがそこへたどり着いたとき、アルカは既に死にかけていた。

体中から光を放ち、今にも消えてしまいそうなほどだ。


「自己回復は……」


「もう、意味がない……よ」


「そんなことはない……!」


ロロは必死でアルカに魔力を送り込んだ。

しかし、もう手遅れだった。

アルカは自己回復能力を失っていた。


「ロロ……、これを……」


ロロはアルカからメモ帳を受け取った。

とりあえず中身を確認する。

それはアルカが今まで調査してきたことが記述されているメモ用紙だ。


政府の魔法少女軍、レイスとアビス、新兵器、そしてアンチマギカ。


「君に、託す……」


そう言い、アルカは目を閉じた。


「いや、まだだ……!」


ロロはアルカのメモを見て思い出した。

魔法少女の能力を消し去るナイフを。


ロロは地面に転がっていたナイフを握り、アルカに突き刺した。


「一か八か……それでも、もう目の前で大切な人が死ぬのは見たくない!」


アルカの発光は止まった。

魔法少女としての死は免れた。となれば今度近づくのは人間としての死。


死ななければ、可能性はある。


「私の夢幻魔法で……!」


ロロは残りの魔力を全て使い果たす勢いでアルカの手術を開始した。


-------------------------



ミコトとの戦いからしばらくの時が経過した。


結論から言うと、アルカは無事だった。


無理矢理蘇生したからかロロたちとの記憶と共に魔法少女としての能力を完全に失った。

そして、幼児退行してしまい。まともに話すことはできなかった。


それでもロロは命が助かってよかったと思っている。

今は近くの病院で安静にしている。



ロロはミコトの教会に足を踏み入れた。

残った数人のシスターたちが部屋の掃除をしている。


にぎやかだったあのころとは違い、閑散としていた。

バーは当然休業。おそらく再開することはない。


「よう、ロロ」


「カイザー」


カウボーイハットをかぶった古臭い男がロロに気さくに挨拶をした。


「まあ、座っていろいろ話そうや」


「そうだね」


ロロとカイザーは近くの席に座った。


「ミコトが居なくなって随分と寂しくなったなぁ、ここも」


「あなたは寂しくないんですか?」


「まあ、寂しくないと言えば嘘になるな、だけど俺はもともと、監視役のつもりでこの教会に転がり込んだんだ」


「監視。ミコトを、ですか?」


「ああ、あいつは殺人鬼の目をしていたからな」


「……」


「予想通り、あいつは凶悪な殺人鬼だったよ。だけど、同時に必死で自分の幸せを作り上げようとしていた。そんな姿に俺は絆されてしまった」


「幸せ……」


「教会のシスターたちやガブリエラ、それにお前たちのことだ」


「ミコトは救えたのかもしれない……」


「気に病むことはない。あいつが作り上げた幸せはあいつの心の平穏を保つための手段に過ぎなかったんだから」


「うん……」


「ところでロロはこれからどうするんだ?」


「どうしようかな……」


「……ロロ。悪いことは言わない。この都市から離れた方がいい」


カイザーの声色が変わった。


「どうして?」


「近々、戦争が始まる。そうすればここは間違いなく巻き込まれる」


「そうだね」


ロロは知っていた。

リオン率いる魔法結社が蜂起を起こす。数日前にリオンから相談を受けていた。

魔法水の工場が爆破され、魔法水を手に入れる手段を失くしたからだ。

魔力切れで干からびて死ぬより、一矢報いる方を選んだのだ。


ロロは彼らを止めなかった。彼らの覚悟を無下にすることなどできなかった。


「そこで提案なんだが、俺と共に来ないか?」


カイザーがロロに聞いた。


「え?」


「ここから遠く離れた土地を買ったんだ。このバーで儲けたお金でな。しばらくの間はそこで平穏に暮らす予定だ」


「せっかくのお誘いだけど、断るわ。私にはまだこの場所でやることがあるから」


「はぁ~やっぱりお前もか~」


「どういうこと?」


「この話、みんなにしたんだけどよ。ガブリエラとシスターたちはこの場所から離れたくないって言うし、ユイは政府と戦争する気満々だ」


「はは……ならアルカ連れて行けばいいじゃない」


「ああ、一応そのつもりだ」


「変なことしないでくださいね?」


「んなことするわけねぇだろ!!」


カイザーはそう言うと、荷物をまとめて教会から出た。


「じゃあな、またいつか会おうぜロロ」


「またね、カイザー」


カイザーは振り向かず、右手を振って去って行った。


--------------------


「行ってしまわれましたね、カイザーさん」


ロロの隣でエフィも見送っていた。


「正直、ガールズバーはいろいろ楽しかったのですが……」


「だったらついていけばよかったじゃん」


「ミコトさんが死んでも、私はミコトさんの娘です。ここを離れるわけにはいきません。シスターたちも同じで、決死の覚悟を持っています」


ロロはシスターたちの様子を眺めた。

ミコトを失って活気を失っていたが、目から光は消えていなかった。


「戦地へ赴く際、声をかけてください。必ず私たちがあなたの力になります。ガブちゃんはわかりませんが……」


「そう、でも無理はしないでね。そういえば、メイはどこに行ったの?」


「あの人は政府に戻りました。ですが、志は同じです。打倒政府に向けて支援をしてくれるでしょう」


「そっか……」


『ここで、緊急ニュースが入ってきました。緊急ニュースです。』


カウンターの横に置いてあるテレビが騒がしかったのでロロたちはそれに目を向けた。


『謎の集団がエリア1の政府複合施設に迫っています!』


その様子は中継のカメラによって映されていた。

魔法結社の魔法少女たちが住居を破壊しながら行進している。


『家が燃やされ、住民が襲われています!』



「リオン……」



戦いの火ぶたが切って落とされた。

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