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マシックガールズ  作者: まーだ
第五章 アンチマギカ炎症
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第60話 脱出!

再び工場に戻ってきたアルカとディアナ。

騒音と煙に阻まれ、辺りを彷徨っていた。


「ったく、出口はどこなんだよ……」


楽園から逃げ出した少女たちによって。工場は大きな騒ぎが起こっていた。

銃声と爆発音が鳴り響く。

不思議なことに少女たちは工場の兵士と戦っていた。

家畜同然だった少女たちは本能が目覚めさせたのか、記憶が戻ったのかは不明だ。

しかし、彼女らは魔法少女。本気を出せば兵士など相手ではない。


楽園で発生した戦火は工場の中枢へ引火した。


大きなタンクが爆発する。


「こっちだ、アルカ!」


その時、アルカを呼ぶメイの声。


「メイ!?」


メイはアルカに向かって紐のようなものを伸ばした。

アルカはメイを信じ、ディアナを抱えてその紐に掴まった。


アルカたちは最下層から引き上げられた。

薄暗い通路に入り、騒音はやや小さくなった。


「ありがとうメイ。だけど、私は……」


「いや、もうそのことはいいんだ。」


「え?」


「私の目的はミコトを殺すこと。協力が得られればなんでもいい。だから今だけは脱出に協力してあげる。」


「助かるよ、メイ。」


メイは出口に向かって走り出し、アルカとディアナもメイの後に続いた。


-----------


階段を駆け上がり、より上へ。

ひと際大きな通路に差し掛かった。


地下街のようにいくつもの店舗が立ち並ぶ。

どうやらここの兵士や従業員が利用している購買施設のようだ。

シャッターは下ろされておらず、商品が並んでいるが、店員の姿は見えない。

そして、通路の奥にようやく朝日の光が見えた。


「出口だ……」


「おいおい、待てよ。このまま帰すと思ったか?」


出口の前に誰かいる。


「そんな……死んだはずじゃ……」


魔法少女軍の制服を着た黒い箱を持った少女が立っていた。

エニグマ。数分前アルカが直接焼き殺した相手だ。


「そんな簡単に死ぬようじゃ、魔法少女軍の兵士は務まらねぇよ。」


「でも……」


エニグマはやれやれといった表情を見せて言った。


「冥土の土産に教えてやる。私の魔法『BlackBox』は相手の魔法少女としての能力をコピーする能力。火炎魔法を扱う魔法少女をコピーすれば焼け死ぬなんてことはまずない。」


アルカは一歩下がった。


絶体絶命というほどではない。

エニグマはアルカの真の能力「神の眼」に気づいていない。

直接見たものしかコピーできないのであろう。

だとすれば、不完全なコピーに負ける筋合いはない。


しかし、アルカは連戦に次ぐ連戦。

体力や魔力の消耗は激しく、とても戦えるような状態ではない。


「先に行って、アルカ。」


メイがアルカにつぶやいた。


「え?」


「私たちは生き延びて、真実を伝えなければならない。必ず追いつく……」


メイはアルカを真剣な瞳で見つめた。

アルカはメイの顔を見て頷くと、ディアナを連れて出口に向かって走り出した。


「逃がすかよ!」


エニグマの火炎攻撃。ディアナを守る形でアルカが全てを受け止めた。

しかし、アルカにはまるで効いていない。


「バカめ、炎の魔法少女に炎の攻撃が効くかよ。」


「クソ……ならば……」


エニグマはBlackBoxに手をかざした。


その瞬間。

メイがエニグマに切りかかる。


「行け!アルカ!」


エニグマはメイの攻撃を間一髪で防いだ。

その隙をつき、アルカたちはエニグマの横を抜けた。


「裏切ったか!クリフォート!」


「ま、あんたは前々からムカついてたからね。」


「このことが本部に知られたら、お前は生きてはいけないぞ……」


「あんたを殺せばいいだけ……」


メイの衣装から無数の糸がエニグマに向かって伸び始めた。

数本がエニグマの体に突き刺さる。


「お前の魔法は……糸か!」


エニグマはメイと一旦距離を取ったが、腕にはメイの衣装から出た糸が突き刺さっていた。


「一度本気を出して戦ってみたかったんだ。」


「上等だよ……上等だよぉぉぉ!!!」


エニグマの発生させた炎によって、メイの糸は焼け落ちた。

二人の魔法少女が再度激突する。


--------------


アルカたちはとにかく走った。

幸いなことに追手は来ていない。


「……」


ディアナがアルカの袖を引っ張った。

どうやらしばらく走り続けたことで疲れているようだった。

いくらデミとはいえ、普通の魔法少女であるアルカとは回復速度に差がある。


アルカたちは近くの木陰で休むことにした。

そして、これからのことについて考えた。


まず、ミコトの暴虐を止めなければならない。

ミコトはディアナを殺し、アルカの記憶を奪った張本人。

本来ならば殺すべき存在だが、アルカには心の迷いがあった。

それは普段のミコトを見ている期間の方が長いからだ。

ロロたちと協力するミコトは決して悪い人には見えなかった。


そして、アンチマギカと政府。

工場は壊滅状態になったが、無限のエネルギーを得られる施設を易々と見捨てるはずがない。

いずれどこかで再建されるだろう。

アンチマギカの謎も解けたわけではない。魔法少女を殺すためのナイフ。その正体も未だに掴めない。

加えて、魔法少女を超える兵器。レイスとアビスもいずれ助け出さなければならない。


「休む暇もないな。」


休憩を経て、二人は再び歩き出した。

その時だった。


「アルカ……」


アルカを呼ぶ声。


「あ……」


あまりにも偶然のことだ。

アルカは言葉を失った。


「大丈夫?何があったの?」


やさしく、アルカに手を伸ばした人物。

それはミコトだった。


----------------


炎上する工場。

そんな中、谷底のヘリポートに向かう工場長。

彼はたった一つのカバンを抱えていた。


「ちぃ……やっぱりあの魔法少女。即刻排除しておくべきだった。」


工場長が合図を送ると、崖上からヘリコプターが降りてきた。

その間、工場長はカバンを開け、中身を確認した。

中には魔結晶がぎっしりと詰まっている。


「しかし、もう大丈夫だ。これだけの魔結晶があれば、生涯金に困ることはない。安息な暮らしが待っている。」


ヘリコプターが着地する。工場長はそれに乗り込もうとした。

そのとき、ヘリコプターから降りてきた男が銃を放った。


「な……」


工場長は心臓を貫かれ地面に倒れる。


「なんですかこれは。」


男が工場長に言った。


「ま、まさか、おまえは……」


「魔法少女を捕らえてエネルギーを生成。教祖に黙ってこんなことしていたのですね。」


「い、いや。しっかり、魔法少女は殺してい……」


工場長が言い訳を言い終わる前に何発もの銃弾が放たれた。


男は地面に散らばった魔結晶を踏みつけた。

魔結晶は飴のように砕けた。


「魔法少女は、この世の中に存在してはいけないのですよ。ほんの一かけらも、ね。」


男は再びヘリコプターに乗り込み、その場を去って行った。


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