第50話 メルメルストライクバック
☆登場人物☆
『ロロ』
主人公。白いボブヘアの少女。瞳の色は水色。
「希望がなくても前に進む」と決心し、本物の魔法少女として覚醒。
エリアCという地獄から生還し、出会いと別れを繰り返しながら成長。
魔法少女形態【色の魔法少女】
白と黒と金色を基調とした高級感のあるドレス。様々な色の宝石が散りばめられている。
帽子は虚空に繋がっているため、端から見たら頭が欠損しているようにも見える。
羽のような大きな黒いリボンを背負っている。
使用武器は「マジックパレット」
空間に自分の思い通りの絵を描くことが出来る。相手の視覚を妨害できるが攻撃力は皆無。
『レイス・アタラクシア』
天才研究員リンネの元助手。黒のポニーテールに黒い瞳。21歳の女性。
リンネの研究を引き継ぎ、「魔法少女病」の特効薬を開発している。
それなりに成果が出ている模様。「デミ化」手術の開発者であるが、「デミ」の闇については知らされていなかった。
『アビス』
レイスの助手、兼魔法少女。レイスと同じく黒髪に黒い瞳。
シロとクロが消えてから数日後、突然レイスの目の前に現れた。
本名はルシア・マキナ。魔法少女軍のメンバー。
リンネの実験台にされたクロエの復讐のため、自ら志願して研究室に潜り込んだが、
レイスに悪意が感じられなかったため、彼女の研究に協力するようになった。
魔法少女形態【空間の魔法少女】
黒いスーツのようなデザインの衣装。所々空間に溶け込んでおり、欠けているように見える。
虚空に身を潜め、疑似的な瞬間移動ができる。
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『衛堂ミコト』
黒のショートボブヘアで赤い瞳の女性。
魔法少女だったが、暴走する親友を止め魔法少女を引退する。
その後は、より多くの人を救うため貧困地エリアBに教会を作る。
『カイザー』
カウボーイハットをかぶった時代遅れの男。
目元は陰になっておりよく見えない。
ミコトの教会に住み着く浮浪者。
ミコトの教会をガールズバーに改装した変態。
『エフィ』
シスターの長を務める少女。身元不明。
『ガブリエラ』
ミコトの教会に迷い込んだ幼い少女。
金髪で透き通るような青い瞳をしている。
『ユイ』
奈落に住む少女。レンの妹。
黄色い髪に金色の瞳。姉とよく似ているが、髪は長くない。
「突然いなくなった姉を探す」という願いのもと、魔法少女として覚醒。
魔法少女形態【電気の魔法少女】
長めの黒タンクトップ一枚だけで非常に動きやすい衣装、所々青色に発光している。
電気を操る魔法を使うが、不器用なため姉のように電気で武器を生成することはできない。
そのため、ひたすらに出力を上げ火力にモノを言わせた攻撃を得意とする。
『アルカ・ディアナ』
赤のメッシュが入った黒髪の少女。
探偵の服を着ており、どこからどう見ても探偵。
魔法少女形態【真実の魔法少女】
全身から青い炎が迸り、周囲を炎上させる。
物体に触れることで対象の過去を映像資料のように見ることが出来る。
サポート能力もさることながら、戦闘能力も高い。
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『天道リンネ』
赤色のショートヘアで赤い瞳。
世界的に有名な研究者であり、魔法少女になってしまう病気「魔法少女病」の研究をしていた。
シロに惨殺されたはずだが、なぜが生きている。
『メルメル』
リンネに仕えている魔法少女。
ピンク色のおさげに、黄色の瞳を持ち、黒い革ジャンを着ている。
他の魔法少女を寄せ付けない圧倒的な実力を持っている。
魔法少女形態【電波の魔法少女】
見た目に変化はない。
使用武器は「メルフォン」
持っているスマホを使ってアプリを起動することで魔法を発現する。
基本的にできないことはないが、電波が届かない場所だと使えなくなってしまう。
使用魔法は「メルメルト」
相手に触れることで対象をドロドロに溶かす。
こちらは電波が無くても使用可能。
リンネから粗方聞き出した一同。
衝撃の内容に驚いたのは束の間。
時は経ち、あとはロロの帰りを待つばかりだった。
ふとした時、教会の扉が開いた。
「みんな、ただいま」
「……!」
薄暗い教会に流れ込む光と風。
ロロが戦いを終え帰ってきた。
レイスは一目散にロロに駆け寄る。
そして、ロロに思い切り抱き着いた。
「ロロ……おかえり」
「なんでレイスが泣いているんだよ……」
年甲斐もなく泣きじゃくるレイスの頭をロロは優しくなでた。
「メルメルは……負けたのか……」
リンネは震えだした。
「魔法少女の奇跡の力ってやつだな。」
何故かその場にいたカイザーが格好つけて言った。
カイザーは自分の仕事上、窮地に陥った人をよく観察する。
そんな彼が、今のリンネを見て少し違和感を感じていた。
リンネの焦燥はメルメルが倒されたからではない。
「おい……」
カイザーがリンネから話を聞こうとしたその時、
リンネは叫びだした。
「レイス……この場から逃げて……早く……!!」
一同が静まり返った。
メルメルは倒されたことで脅威は去った。
意味不明な言葉だ。
なぜレイスだけ。
なぜリンネはこんなにも焦っているのか。
その言葉の意味にいち早く気づいたのはアルカだった。
「リンネは父親の復讐のために作られたクローンだった。当然、その技術は受け継がれている……」
「……!」
一同に嫌な予感が走る。
それは最悪の想定。
メルメルもクローンである場合だ。
あの恐ろしく強力な魔法少女が何度でも蘇る。
「メルメルは死んでいない。必ずここに戻ってくる……!」
アルカがそう言い終わった後、教会の天窓に影が現れた。
それが近づき、ガラス窓を突き破る。
音を置き去りにメルメルは教会に侵入した。
雷撃と見まがうほどの迅速。
その姿を捉えられたのは一部の人間だけだ。
ロロは驚きを隠せなかった。
先ほど岩に潰されて死んだ少女が、まるで何事もなかったかのように生きている。
魔法少女たちは臨戦態勢に入った。
アビスとアルカは落下中のメルメルに斬りかかった。
しかし、メルメルは着地と同時に二つの剣を足で受け止めた。
メルメルが手元で何かを操作すると、アビスとアルカははるか後方に吹き飛ばされ、柱に激突した。
メルメルは瞬時に辺りを見渡すと目標を補足した。
そして、ロロに向かって駆け出した。
メルメルとロロの間にユイが割って入る。
カイザーもメルメルの走りに合わせて銃を引き抜いた。
ユイとカイザーの攻撃を華麗に躱したメルメルはユイの腹部を思い切り蹴り上げた。
ユイの体は空中を舞った。
一瞬だ。
一瞬で三人の魔法少女を撃破したメルメルはロロとレイスがいる場所へたどり着いた。
ガラスの破片の雨が降る。
メルメルの本気を目の当たりにしたロロは恐怖で武器を抜くことができなかった。
レイスはロロの前に立ちふさがり、両手を広げた。
「ロロに手出しはさせない……」
「死ぬよ?」
メルメルは巨大な鎌を出現させ、レイスの首元に置いた。
「離れろぉぉぉぉ!!!」
カイザーがマガジンに詰まった残りの銃弾を全て撃ち放った。
しかし、銃弾はメルメルに当たる直前で静止し、地面に落ちた。
「くっ……」
メルメルはレイスに言った。
「どいてよ、私はロロと戦いたいんだ。」
「どかない……絶対に……」
鎌がレイスの首に刺さる。
血がじわじわとあふれ出る。
レイスは必死に痛みを我慢した。
「待て、メルメル。」
リンネが自ら拘束を解き、メルメルに近づいた。
「リンリン。もういいでしょ。私に殺せって命令して……」
「だめだ。帰るぞ。」
メルメルは舌打ちをし、大鎌をひっこめた。
「だったらやっぱり、ロロの方を殺そう。」
「ロロに手を出したら私は死ぬ、今ここで……」
レイスは自分の首に手をかけた。
「メンヘラ女かよぉこいつぅ……!」
八方塞がりになったメルメルはその場をふらふらとうろついた。
そして、ぴたっと止まると、名案でも思いついたかのように手を叩いた。
「あ、そうだ、このお姉ちゃんを人質にしようよ。」
「えっ?」
「うーん、私がレイスを傷つけないってわかる以上、人質の価値としては薄いんじゃないかな……」
「機密情報も聞き出せるかもしれないし、一石二鳥でしょ!」
メルメルはレイスをひょいと持ち上げた。
「うわぁ……」
「じゃあね、お城で待ってるよ王子様。」
メルメルはロロにそう言い残すと、入り口の扉から出て行った。
リンネはため息を吐きながらメルメルの方へ歩き出した。
「ま、そういうことらしい。あまりに遅いとメルメルは私の命令を無視するかもしれない。早く来た方がいいぞ。」
リンネは帰り際、ロロにそうつぶやいた。
メルメル達が去ったあと、ロロは膝をついてそのままゆっくり仰向けに倒れた。
命の危機が去った安堵と深い絶望。
もう二度とメルメルを倒すチャンスは訪れないだろう。
仮に倒せたとしても、再び復活する。
「ロロ……無事か」
カイザーがロロに駆け寄った。
「ああ……」
ロロは大きく息を吐いた。
そして、笑った。
「なぜだろう。怖くて恐ろしくてたまらないけど……どこかワクワクしている自分がいる……」
誰かのためになれる、ロロはそれで十分のつもりだった。
戦いに魅入られる魔法少女たち。
ロロはそんな魔法少女の一人になろうとしていた。
ロロだけではない。
メルメルに倒された魔法少女たちは次々と起き上がる。
誰一人として絶望はしていない。
「レイスを救いに行こう」
「次は絶対負けない……!」
「リンネのアジトの場所は既に聞き出している。」
「アビス、ユイ、アルカ、早速出発だ!」
ロロたちが意気揚々と声を上げた、その時。
「おーまーえーらー!!」
ミコトが奥の部屋からやってきた。
鬼の形相をしている。
「まず、謝ろうか……」
魔法少女たちとカイザーは教会の修理をさせられた。




