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マシックガールズ  作者: まーだ
第四章 メルメティック・シンドローム
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幕間 ガブリエラ

☆登場人物☆


『衛堂ミコト』

19歳。黒のショートボブヘアで赤い瞳の女性。

魔法少女だったが、暴走する親友を止め魔法少女を引退する。

その後は、より多くの人を救うため貧困地エリアBに教会を作る。


『カイザー』

カウボーイハットをかぶった時代遅れの男。

目元は陰になっておりよく見えない。

ミコトの教会に住み着く浮浪者。



『エフィ』

シスターの長を務める少女。身元不明。



『ガブリエラ』

ミコトの教会に迷い込んだ幼い少女。

金髪で透き通るような青い瞳をしている。

ミコトが教会に住み始めて一週間が経った。


「おいおいおい、誰一人こねぇじゃねーか。大丈夫かこの教会。」


椅子に寝転がったカイザーがミコトに聞いた。


それもそのはずだ、以前にカイザーが言った通り、宗教という文化は完全に廃れた。


今存在する宗教は大体カルトであるから、まともな人は寄り付かない。


それに、町からかなり離れた立地。

宣伝しなければ、人は寄り付かないのも当然のことだろう。


「おかげさまでね。」


ミコトはそれでも誰か一人ぐらいは来るだろうと踏んでいたため、カイザーの一言が若干心に刺さった。

そして、責任を転嫁するため、カイザーに嫌味を言った。


「いいように、言いやがって……、いっそのこと本当にガールズバーに改良して……」


コンコンッ


その時、教会の入り口の扉をたたく音が聞こえた。


一瞬の静寂。

本当に突然のことで、ミコトも驚いた。


「見たか、カイザー。人が来たぞ……」


「あぁ、来たな。」


カイザーは椅子に座り直し、何かしらに祈るポーズをとった。

ミコトは身だしなみを整え、扉を開けた。


「ようこそ、迷える子羊よ。」


「ぷっ……」


ミコトのまじめさにカイザーが吹き出したので、ミコトは睨みをきかせた。

カイザーはミコトから目をそらし、再び祈りのポーズをとった。


ミコトは再び振り返り、教会にやってきた人を見た。


「あれ?」


人は誰もいなかった。

しかし、ミコトはすぐに気が付いた。


「……!」


地面を見ると、幼い少女が倒れていた。


-----------


少女をベッドのある部屋まで運んだが、ミコトは落ち着かない様子でその場をうろうろしていた。

少女は辛うじて息をしている程度で、意識がないように見えた。


「ねぇカイザー、医学とか詳しくない?」


「あったらとっくに原因を見つけてるよ。」


少女の体に外傷は確認できなかった。

ミコトが持ってきた応急処置キットでは手が付けられない。


加えて、エリアBでは医者は呼んでも来ない場合が多い。ヤブ医者もいる。

少女はまさに絶体絶命だった。


「しょうがない……、カイザー一旦部屋を出て……」


ミコトに言われた通り、カイザーは部屋を出ようとした。

しかしその瞬間、少女の体が光りだした。

うめき声を上げ、呼吸が荒くなる。


「こいつ、魔法少女か……」


カイザーがつぶやいた。


「エフィ!魔法水を……早く!」


ミコトは何かを思い出したかのようにエフィに指示を出した。


廊下で待機していたエフィは急いでミコトの部屋に走った。

そして、青い液体の入った瓶を持ってきた。


ミコトはエフィから受け取った魔法水を少女に飲ませた。

少女の発光はとまり、呼吸も正常に戻った。


「これで、ひとまずは安心だ。」


エフィは空になった魔法水の瓶を棚に置いた。


「……」


カイザーはその瓶を怪訝な顔で見つめた。


「どうしてそんな顔してるの?助かってよかったじゃん。」


「ああ、そうだな。よかった、よかった……」


二人は椅子に座り、少女の様子をしばらく眺めた。


-----------


「あら?目を覚ましたのかしら……」


ミコトが部屋にお茶とお菓子を持っていくと、少女が窓の外をぼんやりと眺めていた。


「あ、あの……、ありがとうございます……」


少女は申し訳なさそうな顔をして言った。


「死にかけてた人を助けた、当たり前の行為よ。」


「ですが……、私は……」


ミコトは少女の手に自身の手を重ね、聞いた。


「あなたの名前は?」


「私はガブリエラ・トリニティ。」


「トリニティ……?珍しい名前ね。」


ガブリエラはしばらく沈黙した。

そして、目を閉じつぶやいた。


「魔法少女になった日、そうなったんです……」


「そうなった……?」


「……」


ガブリエラがそれ以上話すことはなかった。


人には知られたくない過去がある。

それはミコトもよくわかっていた。


そこで、ミコトはガブリエラにやさしく語りかけた。


「行き場がないのなら、ここに泊まっていくといいわ。もちろん無料。少しお手伝いしてもらうけどね。」


「え、助けてもらった上に、そんな……」


「謙遜しないで、私としてもにぎやかになることは大歓迎だから。」


ガブリエラは嬉しそうに頷いた。

それを見た、ミコトも笑顔になった。


「お、いいじゃん。俺にも無料で部屋を貸してくれよな。」


ちょうどそのタイミングで部屋に戻ってきたカイザーが割り込んだ。


「あなたは遠慮というものを知りなさい。」


「手伝いしてやるからさ、な?」


「あら、ありがとう、でも部屋代は払ってね。ガブリエラ、案内するわ。」


ミコトはそういうとカイザーから文句を言われる前に部屋から出ていった。


「お、おい……」


ガブリエラもミコトについていくため、身を起こした。


「仲良いんですね。」


部屋から出ていく間際、ガブリエラは嬉しそうにカイザーに告げた。


「そう見えたか?おめでたいやつだな。」


カイザーはため息をついて、近くにあった椅子に腰を下ろした。


「ミコト……か。」


カイザーは再び魔法水の空き瓶を見つめてつぶやいた。



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