第41話 戦いの中で生きる
☆登場人物☆
『ロロ』
主人公。白いボブヘアの少女。瞳の色は水色。
殺し合いを娯楽としている趣味の悪い連中に捕まったため、施設からの脱出を試みる。
事故で左手を失ったが「半魔法少女化手術」によって再生。その後、両親によって売りに出される。
真実を知った後は、帰る場所が無くなり彷徨い歩いていたら、底辺『奈落』へたどり着く。
「希望がなくても前に進む」と決心し、本物の魔法少女として覚醒。
『ベルセルク』
奈落の住民。大きな帽子と眼帯が特徴な魔法少女。
一人称は俺。道端で死んだように生きているロロを魔法少女に覚醒させた。
目的は、ロロの「魔法少女病」を利用し、奈落の住民を魔法少女として覚醒させること。
目論見は見事成功し、エリアCに対してクーデターを開始した。
『ユイ』
奈落に住む少女。レンの妹。
黄色い髪に金色の瞳。姉とよく似ているが、髪は長くない。
「突然いなくなった姉を探す」という願いのもと、魔法少女として覚醒。
魔法少女形態【電気の魔法少女】
長めの黒タンクトップ一枚だけで非常に動きやすい衣装、所々青色に発光している。
電気を操る魔法を使うが、不器用なため姉のように電気で武器を生成することはできない。
そのため、ひたすらに出力を上げ火力にモノを言わせた攻撃を得意とする。
『エリス』
赤いボサボサ髪の女性。体中に傷の後がある。
友好的なロロに対して優しく接するが、価値観の違いにより拒絶される。
クーデターから避難している途中で奈落から帰還したロロと再会する。
ロロと仲直りし、再び友達となる。
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enemy
『シルビア』
銀髪で赤い瞳、マフラーをしている。
魔法少女で構成された政府の秘密部隊「魔法少女軍」のリーダー。
都市部の地下鉄。
敷かれている鉄道は環状になっており、基本的どの駅で乗っても行きつく場所は同じである。
しかし、1つだけその環状線に含まれていない駅がある。
都市部の中の辺境に存在する名もなき駅。
ベルセルクはその駅が地上とエリアCを繋ぐ唯一の道だと踏んでいた。
「おまたせ、ロロ。早速で悪いが出発できるか?」
ベルセルクは列車の最後部に乗り込み、ユイを座席に寝かした。
ユイのケガは治っていたが、ロロはその出血量の多さに驚愕した。
先の戦いの壮絶さを感じ取った。
「う……うん、指示を出せば、動くと思う。」
そう言い、ロロはベルセルクに無線機を渡した。
ベルセルクは無線機を受け取ると、運転席にいる者に指示を出した。
「発進!」
列車はゆっくりと動き出した。
ロロは窓の外から都市の光景を見た。
終わらないの夜の街の夜明け。
「いろいろなことがあった。つらくて苦しい思い出ばかりだったけど。大切な人にたくさん出会えた。ありがとう。」
ロロはそう独り言をつぶやいた。
「さよなら。」
二度と戻ってくることはない。
ロロはそう思い安堵した。
列車が橋を通過すると、トンネルに入り、外の景色は見えなくなった。
ロロは座席に腰をおろした。
やっと、休める。
ロロは体をぐいっとのばした。
対してベルセルクは落ち着かない様子だった。
「やっと、終わったね。」
ロロはベルセルクの隣に座り、話しかけた。
「あぁ……、そうだな。」
「そろそろ、教えてよ。
ベルは何がしたかったの。」
「……」
ベルセルクはロロの質問に対し口を塞いだ。
ロロはそれでも聞こうとやさしく語りかけた。
「別に、どんな答えでも気にしないよ。逃げたかったからでも、みんなを助けたかったからでも。私はベルの言ったことを信じる。」
ロロはベルセルクの瞳を見つめた。
浮かない顔をしていたベルセルクはようやく目の焦点をロロに合わせた。
そして、ベルセルクは口を開いた。
「ユイは今何歳だ?」
「え……?えっと15だけど?」
「俺は戦いの中で生きて、戦いを求め続けた。お前らが生きている間よりずっと長い間だ。」
「どういうこと?」
ロロは困惑した。
と、同時にベルセルクがはっきり答える気がないことを悟り、ため息をついた。
それでもロロはベルセルクらしい。と、苦笑いをした。
突然、ベルセルクは立ち上がった。
そしてロロに言った。
「すまないロロ、ユイを前の車両に運んでくれないか。」
「え……?」
ベルセルクは無意味なことをしない。
だからこそ、ロロは嫌な予感がした。
「早く……!」
ベルセルクはロロを急かした。
ロロはベルセルクがこんなにも焦っているのを見たことが無かった。
ユイを持ち上げ、車両を移動した。
ロロはユイを空いてる座席に寝かして、戻ろうとした。
そのとき、ベルセルクのいた車両で大きな爆発音が聞こえた。
「!!」
ロロは急いで元の車両に戻ろうとした。
しかし、そこには思いもよらぬ光景があった。
列車の天井がボロボロに剥がれ、トンネルの光源が星のように流れている。
折れ曲がった列車の壁はトンネルと摩擦を起こし
火花を散らしていた。
ベルセルクは魔法少女の姿になり、刀を構えていた。
そして、ベルセルクの向く方にはもう一人の魔法少女がいた。
身長はベルセルクよりも低い。
そして、一本の鞘を左手に携えている。
パーカーにスカート、そしてマフラーと銀のロングヘア―。
ロロたちが対峙した兵士とは違い、とてもフリーな恰好をしていたが、腕章には正規軍のマークが刻まれていた。
普通の兵士ではない。ロロはただならぬ恐怖を感じた。
「ジャッジメントからの通信が途切れたと思ったら……なるほど、そういうことか……」
「会いたかったぜ、シルビア……」
二人はお互いの顔を睨み合い、動かなかった。
「ベル!」
「来るなロロ!」
ベルセルクは後ろに振り向いて叫んだ。
それはベルセルクの怒りの声。
ロロは足が竦んだ。
しかし、ロロは不思議に思った。
ベルセルクは笑っていたのだ。
そしてロロは気づいた。
ベルセルクの目的に。
ベルセルクは何十年も昔から魔法少女だった。
戦いに次ぐ戦いの毎日。
戦闘狂のエリスでさえ新たな人生を歩む決断をしたというのに、いつの日かベルセルクはもう、抜け出せないほどに戦いに魅了されていた。
そして、軍を抜け、反旗を翻した。
シルビアという好敵手と戦うために。
「そう、だったんだね。ベル……」
これが彼女の選択。
ロロはもう何も言わなかった。
ベルセルクはとてもうれしそうに敵を見ていたからだ。
「ごめん、ロロ。一緒には行けない。」
ベルセルクはそう言うと、列車の接続部分を切り落とした。
「ベル!」
ロロは列車から身を乗り出した。
しかし、ベルセルクの車両は急速にスピードを落とし、徐々に離れていく。
ロロは頭の中が真っ白になった。
あまりにも急な別れに動揺した。
何か言わなければ。ロロはそう思った。
感謝、悲しみ、困惑、怒り……
伝えたいことは山ほどあるのに、列車はどんどん遠ざかる。
それでも必死で言葉を絞り出し、叫んだ。
「次、会うときは……笑顔で会いましょう!」
ロロはそう言って、ベルセルクに笑顔を見せた。
「ああ、そうだな。」
ベルセルクもロロに微笑み返した。
ベルセルクは一本の刀を地面に突き刺した。
それがブレーキとなり、
ベルセルクの車両はロロの車両から急速に遠ざかっていった。
ロロはベルセルクが見えなくなるまでずっと見ていたが、
ベルセルクが振り返ることは無かった。




