第39話 自由への選択
☆登場人物☆
『ロロ』
主人公。白いボブヘアの少女。瞳の色は水色。
殺し合いを娯楽としている趣味の悪い連中に捕まったため、施設からの脱出を試みる。
事故で左手を失ったが「半魔法少女化手術」によって再生。その後、両親によって売りに出される。
真実を知った後は、帰る場所が無くなり彷徨い歩いていたら、底辺『奈落』へたどり着く。
「希望がなくても前に進む」と決心し、本物の魔法少女として覚醒。
『ベルセルク』
奈落の住民。大きな帽子と眼帯が特徴な魔法少女。
一人称は俺。道端で死んだように生きているロロを魔法少女に覚醒させた。
目的は、ロロの「魔法少女病」を利用し、奈落の住民を魔法少女として覚醒させること。
目論見は見事成功し、エリアCに対してクーデターを開始した。
『ユイ』
奈落に住む少女。レンの妹。
黄色い髪に金色の瞳。姉とよく似ているが、髪は長くない。
「突然いなくなった姉を探す」という願いのもと、魔法少女として覚醒。
魔法少女形態【電気の魔法少女】
長めの黒タンクトップ一枚だけで非常に動きやすい衣装、所々青色に発光している。
電気を操る魔法を使うが、不器用なため姉のように電気で武器を生成することはできない。
そのため、ひたすらに出力を上げ火力にモノを言わせた攻撃を得意とする。
『エリス』
赤いボサボサ髪の女性。体中に傷の後がある。
友好的なロロに対して優しく接するが、価値観の違いにより拒絶される。
クーデターから避難している途中で奈落から帰還したロロと再会する。
ロロと仲直りし、再び友達となる。
街はもうすでに火の海と化していた。
しかし、逃げ惑う市民の姿は見えなかった。
奴隷市陥落の報告を聞いて避難したのだろう。
ロロはその方が気が楽だった。
何の罪もない市民を巻き込まれることがないのだから。
「だれか!助けてくれ!」
「……!」
ロロたちは近くで仲間の悲鳴を聞いた。
二人がその方へ向かうと、仲間の魔法少女が何人も殺され倒れていた。
敵の魔法少女は一人。
「嘘でしょ、この数を一人で……」
エリスは恐怖した。
本来、戦争において、表立って一騎当千はあり得ない。
銃器が扱われる現代においてはなおさらだ。
それが今、まさに起こっている。
先ほどの隕石の攻撃など、未知の攻撃による圧倒的な暴力での蹂躙。
魔法少女はそれを可能にする。
「エリス、下がって……」
勝機を見出した訳ではない。
しかし、ロロは一般人のエリスを後ろに下がらせた。
敵の魔法少女が剣を構えた。
ロロは拳を構える。
敵が目を見開き、突撃する。
ロロはそれを見て冷静に回避した。
「がぁ……!?」
はずだった。
ロロは腹部に刺突の攻撃を受けた。
「そんな……」
ロロと敵との距離はおよそ3m。
剣が届く距離ではない。
敵は再び剣を構える。
ロロは腹部からあふれ出す血を手で押さえ、急いで距離を取った。
敵は剣を振りかざした。
しかし、それは空振りに終わった。
「よし、今度こそ確実に躱し……」
ロロは胸に痛みを覚え、その場に膝をついた。
ロロの胸部は剣で切り裂かれていた。
「うそ……」
敵が剣を構える。
「ロロ!」
エリスが叫び、ロロの元へ駆け寄った。
「だめ……!来ないで……」
ロロは痛みで、素早く動ける状態ではない。
ロロは死を悟った。
次の瞬間、敵の魔法少女はバラバラに引き裂かれた。
「勝てるわけないだろう。敵は訓練を積んだ兵士だぞ。」
比較的小さいアパートの上に人影。
翠色に光る二本の刀を手にベルセルクが言った。
「ベル……」
ロロは逆光によって影のみとなった彼女の姿を視認した。
ベルセルクはアパートから飛び降り、ロロの元へ近寄った。
「傷を見せてみろ。」
ロロは嫌な顔をしつつ、ベルセルクの言うとおりにした。
ベルセルクが傷口に手を当てると、それは瞬く間に回復した。
「あなたは、この光景が見たかったの?」
ロロは皮肉を交えてベルセルクに聞いた。
「こんな光景、もう見飽きたさ。」
ベルセルクはそう答えた。
ロロはベルセルクに憂いの表情を見た。
仲間の魔法少女がベルセルクの元に集まってきた。
ロロは周りの様子を見て、敵が居ないことを確認すると、
彼らに質問した。
「あなたたちにも選択の権利はある。戦って殺されるか、戦わずに逃げるか。あなたたちが本当にしたいことは何なの!」
魔法少女たちは互いの顔を見合わせた。
そして、しばらくして、一人の青年が前に出てきた。
「僕たちは今までずっと逃げてきた。底知れぬ恐怖に怯えるだけの毎日。それに立ち向かう勇気をくれたのはあなたです。僕たちは最期まで戦います。だけど、僕たちが死ぬことによって、あなたが気に病む必要はない。僕たちは自由に生きるだけです。」
魔法少女とはとんでもない病気だ。
希望に向かって、一直線に進んでしまう。
決して曲がることはない。
ロロ自身も希望を患っている。
それはこの絶望の都市からの逃亡。
戦うと決めた魔法少女たちに勇気をもらった今でも、
その希望は揺らぐことはなかった。
ロロは自分がヘタレなだけではないかと、頭を抱えた。
「行くぞ、ロロ、エリス。ユイから到着の合図があった。合流しよう。歩けるか?」
ベルセルクはロロに手を差し伸べた。
「うん、大丈夫。」
ロロはベルセルクの手に掴まり立ち上がる。
そして、魔法少女たちの方を見つめた。
彼らは誰一人として怯えていない。
止まることなく、前に進み続ける。
ロロは彼らに向かって言った。
「ありがとう。また会いましょう。」
「ええ、もちろんです。」
3人は奈落の魔法少女たちと別れを告げ、ユイの部隊へ向かった。




