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マシックガールズ  作者: まーだ
第三章 デミック・パンデミック
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第37話 幸せを失った者

☆登場人物☆


『ロロ』

主人公。白いボブヘアの少女。瞳の色は水色。

殺し合いを娯楽としている趣味の悪い連中に捕まったため、施設からの脱出を試みる。

事故で左手を失ったが「半魔法少女化手術」によって再生。その後、両親によって売りに出される。

真実を知った後は、帰る場所が無くなり彷徨い歩いていたら、底辺『奈落』へたどり着く。

「希望がなくても前に進む」と決心し、本物の魔法少女として覚醒。



『ベルセルク』

奈落の住民。大きな帽子と眼帯が特徴な魔法少女。

一人称は俺。道端で死んだように生きているロロを魔法少女に覚醒させた。

目的は、ロロの「魔法少女病」を利用し、奈落の住民を魔法少女として覚醒させること。

目論見は見事成功し、エリアCに対してクーデターを開始した。



『ユイ』

奈落に住む少女。レンの妹。

黄色い髪に金色の瞳。姉とよく似ているが、髪は長くない。

「突然いなくなった姉を探す」という願いのもと、魔法少女として覚醒。

魔法少女形態【電気の魔法少女】

長めの黒タンクトップ一枚だけで非常に動きやすい衣装、所々青色に発光している。

電気を操る魔法を使うが、不器用なため姉のように電気で武器を生成することはできない。

そのため、ひたすらに出力を上げ火力にモノを言わせた攻撃を得意とする。



『エリス』

赤いボサボサ髪の女性。体中に傷の後がある。

友好的なロロに対して優しく接するが、価値観の違いにより拒絶される。

クーデターから避難している途中で奈落から帰還したロロと再会する。


鈍い音が幾度も鳴る。


互いに一歩も譲らぬ攻防が繰り広げられた。


エリスは殴ると見せかけ、ロロの服の襟をつかみ引き寄せた。


「なんでデミの力を使わない!」


エリスはそう言うとロロを雑に投げ飛ばした。


ロロはすぐに立ち上がり、エリスに殴り掛かった。

エリスはロロの拳を難なく受け止める。


「私をバカにしているのか……?」


エリスはもう片方の腕でロロの腹を殴った。

バランスを崩したロロの顔を思いきり蹴飛ばした。


「ぐぁっ……」


ロロは地に伏せた。


「立てよ。そしてデミの力を使え。」


エリスはロロの頭を掴み、無理やり持ち上げた。


ロロがデミ、もとい魔法少女の力を使わない理由は簡単だ。

もしロロが魔法少女の力を使ってしまえばエリスが死んでしまうからだ。


ロロはエリスの顔面にパンチをくらわした。


エリスが怯み、ロロは拘束から解放される。


「ロロォォォ!!」


鼻から血を流しながら、エリスはロロに襲い掛かる。


ロロはエリスの猛攻に耐えしのぐことしかできなかった。


「私は……!あなたの幸せを願っていた……なのに……!それを受け入れなかったどころか、こうして私の幸せまで奪って行った!」


エリスは攻撃を止め、その場で泣き崩れた。


「酷いよぉ……」


エリスは捨て子、この施設に拾われ、育てられてきた。

施設はエリスにとって家族同然の場所だったのだ。

クーデターによってエリスのすべては失われようとしていた。


ならば、何故エリスは戦っている。

何故エリスはロロに魔法の使用を求めている。


答えは自暴自棄。

エリスは死を望んでいた。


ロロはエリスが以前の自分に重なって見えた。


「私と一緒に、地上に出よう。」


ロロはエリスに手を差し伸べた。

エリスはその手を振り払った。


「うるさい!調子のいいことを言うな!私は以前、あなたに同じようなことを言った!その時、あなたは裏切ったんだ。私の親切心を!」


ロロは理解していた。

あの時、自分が一番欲しかったものは何か。

どんな言葉をかけて欲しかったのか。


「幸せを失ったならば、別の幸せを探せばいい。」


「黙れぇぇぇぇ!!」


エリスはロロに拳を振るった。

ロロはその拳を紙一重で躱す。


「私が傍にいるから。」


ロロはそう言いエリスに抱き着いた。


「え……」


エリスは動揺した。

勢いのまま、二人は地面に倒れた。


「私のこと、嫌いじゃない?」


エリスはロロに聞いた。


「前にも言ったでしょ、あなたのことは嫌いじゃないって。だから、その……、もう一度、友達になってくれる?」


ロロは照れ笑いしながらエリスに言った。


「……うん。」


エリスもロロを強く抱きしめた。

その抱擁にはあらゆる感情が籠っている。


悲壮、愛、そして決意。


もう二度と幸せを失わないように。


--------


クーデターは成功した。

ほとんどの奴隷は救出され、元々居た住民は一人として残っていない。


燃えている建物を明かりに、人々は宴を始めた。


しかし、これは始まりにすぎない。

ベルセルクは明日にも都市部を攻める計画を説明した。


束の間の休息といったところだ。


「おっす、ロロっちー。」


聞きなれない呼び方にロロは振り返ると、ユイが手を振って立っていた。


ユイは瓦礫をよけて、ロロに近づいた。


「その子、だれ?」


ユイはロロの膝の上で寝ているエリスを指さして言った。


「ああ、彼女はエリス、私の友達。今は疲れて寝ているみたい。」


「そっか、今日は大変だったでしょ。おつかれ。」


ユイはクーデターには参加していない。

より正確に言えば、彼女は奈落で魔法少女を増やしていた。


ロロが周りを見ると、昨日と比べて明らかに人が増えている。

さらに戦力が増え、民衆の士気は高まるばかりだ。

逆に言えば、明日の作戦は今日みたいに一筋縄ではいかないということだ。

犠牲者もでるかもしれない。


「そういえば、ユイ。話があるんだけどさ……」


ロロはふとベルセルクが聞いた話を思い出した。


「ん、どしたの?」


ロロは迷ったが、勇気を出してユイに聞いた。


「ユイはさ、この作戦が終わったら何をしたいの?」


「とりあえず、一人だけ会いたい人がいる。今どこにいるかは分からないけど、私の大切な家族の行方を知る唯一の人だから。」


「その後は……?」


ユイは少し考えてから言った。


「分かんない。あ、そうだ。ベルセルクと約束していたことがあるんだった。」


ユイとベルセルクの約束。

クーデターに協力する代わりにユイは死を望んだ。


ロロはユイがそんな闇を抱えているとは思いたくなかった。


「やっぱり、死んじゃだめだよ!殺されたいなんて言わないで……!」


ロロは涙を浮かべながら訴えた。


対してユイは頭に「?」を浮かべていた。


「え?」


「なるほどね。さてはベルねぇから私の過去を聞いたな?」


ユイがにやけながらロロに擦り寄った。

そして、ロロの耳元で囁いた。


「この、スケベ、変態、恥知らず!」


小学生のような体格のユイに罵倒され、ロロは急に恥かしくなった。


「今、死にたいなんて、微塵も思っていないから。」


ロロは安心した。

しかし、同時にユイに馬鹿にされた悔しさがこみ上げて来た。


ロロはユイに言った。


「じゃあ、約束って何なんだよ!」


「それはね……」


----------


「だったら、私を殺して。」


ユイはベルセルクに懇願した。


「わかった。但し条件がある。」


「何……?」


「地上に出て、旨い飯でも食べよう。一緒にね。」


ベルセルクはユイにとびきりの笑顔を見せて言った。



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