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マシックガールズ  作者: まーだ
第一章 魔法少女という病
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第3話 始まりの曲

☆登場人物☆


『衛堂ミコト』

主人公。17歳。

黒のショートボブヘアで赤い瞳の少女。

至って普通の女子高生。頭は良くない。

育ての親を失い喪失感に駆られていた所、人外の化け物「マジン」に襲われる。

「死にたくない」という願いを抱き魔法少女として覚醒する。

魔法少女形態【???の魔法少女】

まるで医者の白衣のような衣装。グローブとブーツは白色だが、白衣の下は黒いタイツ。

頭には二本の丸っこい角が生えている。

白衣の裏から尻尾が伸びており、尻尾の先は注射器のようなデザインになっている。

白衣には緑色の線がデザインされている。それはサイリウムのように発光しており、ミコトの心臓の鼓動に合わせて心電図のように波を流す。



『ゆずりは』

ミコトの親友。茶色の髪で茶色の瞳。

ミコトとほぼ同じ体格。



『奏美音』

もう一人の主人公。17歳。

地面擦れ擦れの長さの青いポニーテールと青い瞳の少女。

ミコトより色々とひと回り大きい。

ミコトの学校に転校してきたが、実は世界各地でコンサートを行う超有名ピアニスト。

数か月前から魔法少女に覚醒しており、学校にやってきた「マジン」を倒すためにミコトと意気投合。

以降はミコトの親友となる。

魔法少女形態【音の魔法少女】

黒の燕尾服のような衣装。ひらひらしておらず、すらっとしており男性的なデザイン。

ピアニストがモチーフにもかかわらず、黒色の手袋をしている。

使用武器は「メゾフォルテ」

右手に強弱記号のフォルテを模した剣、左手に「m」の形をした盾を持っている。鈍器。

次の日、校舎がぼろぼろになったので休校。

代理の場所が見つかり次第、登校開始になるらしい。

おそらく一週間程度の休みだろう。

急な休みなので、することがない。


ゲームでもするか……


ゲーム機のスイッチを入れようとした時、ピンポーンと玄関のベルが鳴る音が聞こえた。


誰か来た。

無視して、ゲームを付ける。


ピンポーンピンポーンピンポーン……


ベルが何回も鳴らされる。

このアホみたいな鳴らし方はゆずの仕業だ。


玄関を開ける。


「やっほ、元気?」


「おはようゆず。来ると思ったよ。」


「へへ、おじゃましまーす」


ゆずは靴を適当に脱ぎ捨てると部屋の奥へ進んでいった。

私はゆずの脱いだ靴を丁寧に並べ、玄関の扉を閉じ、元の場所に戻った。

私の座ったいたソファーはゆずに占拠されていた。


ゆずは暇になるとすぐ私の家に来る。

退屈しないので、とても助かる。


「そういえば昨日教室抜けだしてどこ行ったんだよー。心配したんだぞー。」


ゆずがテレビ画面を見ながら言った。


「心配させてごめんね。トイレ行ってただけだから。」


私は嘘をついた。

まあ、魔法少女になって化け物を倒してたなんて言っても信じないだろうから、嘘をつくのが正解だろう。


「突然爆発が起きるなんて、ほんとびっくりだよね。」


教室の真下にある理科室が爆発したことになっているらしい。

本当はマジンが暴れたせいではあるが、気付いた人はいるのだろうか。


そもそも、マジンの存在を信じている人はほとんど居らず、映像などの資料も加工だと言われる始末。

テレビなどのメディアはテロだとか人為的なミスだとか、オカルトを否定している。

実際、マジンと遭遇して生き延びた人は少ないだから仕方がないのかもしれない。


「でさー、あのあと美音とはどうなったんだよー。」


「あっ……」


思い出した。

昨日のあの事件が収束した直後、美音と魔法少女同士の話をする予定だった。

しかし、美音の家族らしき人が来て、美音はすぐに帰ってしまった。

連絡先を交換することすら忘れていた。

しまったな。一週間は連絡が付かないじゃないか。


ゆずは私の表情を見て察したのか、にやついていた。


「愛しの美音ちゃんに会えなくて寂しいか?いい知らせがあるぜ。」


ゆずはゲームのコントローラーを置くと、持ってきたカバンから一枚のチラシを取り出した。


ピアノコンサート?

そう書かれた紙には、ピアノを弾いている美音の写真がでっかく載っていた。


「そう!奏さんのソロコンサート!アイドルのコンサートみたいなものだよ!」


美音はすごいな、17歳でアイドルか。


「チケットを裏ルートで二枚手に入れたんだ!早速行こうぜ!」


今日かよ。

まあ予定ないし。行ってみるか。


「じゃあ外で待ってて、着替えるから。」


私がこう言ってもゆずは出ていかないことは分かっている。

私も別にそこまで気にしてないので、そのまま着替えた。


おしゃれに興味はない。

教えてもらう人がいなかったからかもしれないが。

もし、ださかったらゆずが毎回ダメ出ししてくれるので多少は理解しているつもりだ。


「お待たせ。で、場所はどこなの?」


「自然公園の隣の建物、わかる?」


自然公園はけっこう近場だ。小学生のころゆずとよく遊んだ。

わりと広めの公園で、巨大な滑り台がその公園の象徴だった。

私たちが中学生になった頃だろうか、その滑り台で事故がおきて取り壊された。

その時のゆずの泣き顔は今でも覚えている。


と、そんなことはどうでもいい。


自然公園の隣の建物はどこか高級感のある建物で、特別、利用することもなかった。

要するによく覚えていない。


ただ、何か建物があったということだけは覚えている。


私たちは駄弁りながら10分ぐらい歩いた。


会場に着くと平日とは思えない賑わいを見せていた。

ざっと1000人以上はいる。

暇な人が多いんだな……


「みこー、こっちこっち!」


ゆずが入場ゲートの前で手を振っている。

いつに間にあんなところへ。


私は人の波をかぎ分けゆずのもとへたどり着いた。

人ゴミは苦手だ。そもそも好きな人はいない。


ゆずは係の人にチケットを二枚渡すと、私の手を引いて会場の中へ誘導した。


会場は薄暗く、足元がよく見えない。

それでもゆずは早歩きで移動する。それだけ美音の演奏が楽しみなのだろう。


「ついたー。」


ゆずは勢いよく座席に座った。わたしも引っ張られた勢いで座る。

座席は二階席。

舞台においてあるグランドピアノの鍵盤の白黒がかろうじてわかる程度の距離だ。

よくも悪くもない。だが、ゆずには感謝してもしきれない。


「ありがとね、ゆず。」


ゆずはそう言われるとえへへと笑って反対の方向を向いた。

表情は暗くてよくわからなかったが、照れているのだろう。


なんてしてるうちに辺りの証明は消灯し、舞台だけに光が残った。


登壇する美音。

歓声をあげたくなったが他の客は静かに拍手していただけなので、私もそうした。

アイドルみたいなものだというから、もっと盛り上がるかと思ったけど、ピアニスト寄りなんだな、美音は。


美音がピアノの前で一礼し、椅子に座る。

一呼吸置き、曲が始まる。


私は音楽には詳しくない。だが、有名な曲だ。どこかで聞いたことある。

たしか、モーツァルトの……。


持ってきたチラシを見た。

一曲目ショパンの幻想即興曲と書いてある。


ふーん、おおかた予想通りだな。

そうそう、ショパンショパン。


とても美しい曲。


だけど、不気味だ。

曲そのものが、ではない。

演奏が完璧すぎるのだ。

それはまるでCDを聞いているかのような感覚だった。

機械的で冷たさを感じる。


他の人たちは何ら疑問を持たずに聞いている。

ゆずは心地が良かったのかもうすでに寝ているし。

感覚がおかしいのは私の方なのか。


その後も、心のない曲が続いた。


永遠と話を聞かされる、歴史の授業のような退屈さは無かったが、少し物足りないといった感じだ。

いや、期待しすぎたのかもしれない。

美音はまだ17歳。私と同年代であんな曲が弾けるなんてとてもすごいじゃないか。


周りの客は帰り始めている。

私も帰ろうと立ち上がった。瞬間腕を引っ張られた。


「ゆず?」


ゆずは何も言わず。私を引っ張った。


向かった先は関係者出入り口。


「ゆず、だめだよ。美音にも迷惑が……」


ゆずは構わず扉を開けた。


「大丈夫、友達でしょ?」


うーん、だめだと思うな。

しかし、美音と連絡先交換ぐらいはしておきたい。

私はゆずに引っ張られるまま特に抵抗することなく薄暗い通路を進んでいった。


意外とすぐ近くに美音の部屋はあった。

流石に今部屋に入るのは誰かがいるかもしれないし、まずいか……


「みおーん!」


ゆずが部屋を開けて中に入った。


この馬鹿は開けるだろうなとは思った。


「ひゃっ、ゆずちゃん、それにみっこ。」


美音は驚いた声を出した。

美音の他に人はいないようだった。


「美音!今日の演奏すごくよかったよ!」


ゆずが美音に駆け寄った。嘘つけ、ずっと寝てたぞこいつ。


「来てくれたんだ。ありがと!」


二人とも仲良さそうで何より。


「そうだみっこ、昨日はごめんね。今日のコンサートのための打ち合わせで……」


なるほど、たしかにそう考えれば納得だ。

昨日の迎えは家族ではなく、このライブの関係者だったか。


「はい。」


美音は私とゆずに紙を一枚ずつ書いて渡した。


「わたしの連絡先ね。せっかく来てもらったんだけど、今日はこの後も忙しいからまた今度ね。」


美音はそう言い、私たちが部屋から出るのを笑顔で見送った。


「うおお、憧れの美音の連絡先!」


ゆずは部屋から出て扉を閉めると、駄菓子で当たりを引いた子供のようにその紙を広げ、輝いた目で見つめた。

多分、美音にも聞こえているぐらい大きな声を出した。


私は、もらった紙をポケットにしまった。

明日にでも連絡しようかな。


と、その時


「誰だ!」


暗い廊下を眩い明りが灯す。

警備員だ。ものすごい形相で迫ってくる。


「やば、逃げるよゆず!」


私は感動に浸っているゆずをひっぱり元来た道を走り出した。


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