第30話 コロシアム
☆登場人物☆
『ロロ』
主人公。白いボブヘアの少女。瞳の色は水色。
殺し合いを娯楽としている趣味の悪い連中に捕まったため、施設からの脱出を試みる。
『エリス』
赤いボサボサ髪の女性。体中に傷の後がある。
施設での生活が日常なため、殺し合いを拒絶するロロに対して疑問を持っている。
「ロロちゃん……出番だよ。」
深夜、エリスはロロに言い放った。
ロロが最初に舞台に立ってから18日。
とうとうロロは宣告を受けた。
「頑張ってね。」
エリスはそう言い、ロロを部屋から出した。
ロロは抵抗しなかった。
またあの舞台に立たなければいけないことに恐怖していたが、それ以上にここから抜け出すための希望を抱いていたのだ。
つまりロロは、『相手を殺してでも生き残る』という覚悟を決めていた。
更衣室にたどり着いたロロはエリスから服を渡された。
「あれ?ドレスじゃないんだ。」
それは服というよりは鎧のようなものだった。
「客層の好みに合わせて私たちの衣装は変わる。まあ、いわばコスプレのようなものだな。」
「クズな客ね。」
ロロは文句を言いながらも、鎧を身にまとった。
「これ、鎧の意味……」
鎧というものは、身を守るためにあるのだが、
ロロが着た鎧は露出が多く、本来の役割を果たせていない。
「まあ、動きやすくていいじゃないか。」
エリスは笑いながら言った。
文句しか言わないロロも実はまんざらでもなかった。
ロロは鏡に映る自分を見ながら、ポーズを決めた。
「じゃ、また後でね。」
エリスはそう言い、ロロに手を振って出口から出て行った。
信頼からか、エリスはロロの命の心配を一切しなかった。
ロロは少し悲しくなったが、エリスの性格上、仕方がないと思った。
それにロロも負けるつもりではなかった。
ロロは舞台に向かって歩き出した。
ロロが舞台の前に立つと同時に、大歓声が鳴った。
荒々しく暴力的な舞台。
まるで地下闘技場のイメージそのままの金網。
ロロが前回参加した華やかな舞台とは打って変わっていた。
今から殺し合いをします。と言わんばかりの構図に
ロロは逆に、むしろ安心した。
ロロは金網のフェンスの中に入った。
銃は渡されていない。
代わりに、周りを囲う金網には数々の武器が掛けられていた。
剣、刀、ハンマー、斧、ハルバード……。大小様々な近接武器。
「これで戦うのか……」
小柄なロロが扱える武器は限られていた。
ロロはハンドサイズの小さい斧を手にした。
ロロの対戦相手も舞台に上がった。
体格はロロと同じくらいの少女。
ロロが前回殺した少女のように怯えては居なかった。
舞台に上がるや否や、自分の身長と同じぐらいの剣を持ち上げた。
カウントダウンが始まる。
お互いににらみ合い。
そのカウントが0になったとき、無意味な殺し合いが始まった。
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鉄の闘技場に血の雨が降り注いだ。
二人の少女は息を切らし、満身創痍。
血で染まった身体は自分の血か、相手の血か、もはや分からなかった。
しかし、二人は決して倒れなかった。
「なんで……倒れないの?」
ロロは相手の少女に聞いた。
「生きたいから、死にたくないから……」
少女は答えた。
そして剣を振りかざした。
その答えはロロも同じだった。
生きるために戦う。
ロロは思った。
自分と同じ境遇のこの少女を。
殺したくないと。
そして、その一瞬の心の迷いは、油断に繋がった。
少女の剣が振り下ろされる。
回避が間に合わず、ロロの左手は 斬り落とされた。
「ぁ……あぁ゛!!」
ロロは耐え難い痛みに声を漏らした。
会場は悲劇の少女たちを見て、より盛り上がった。
それでもロロは勝利を諦めず、もう片方の手の斧で相手に切りかかった。
少女はロロの攻撃を軽くかわすと、ロロのもう片方の腕を斬り飛ばした。
「あ……」
ロロは死を悟った。痛みを感じてはいなかった。
それ以上に深い絶望が腕の痛みをかき消していた。
「そうか、あの子も死ぬ直前。こんなことを……」
ロロの言葉に深い意味はない。
会場の大歓声すら聞こえないほど、意識がもうろうとしていた。
少女が剣を構える。
ロロは死を悟った。
しかし、剣が振り下ろされる様子はない。
確実な勝利を手にしたはずの少女は涙を流していた。
少女はとどめを躊躇していた。
ロロは言った。
「不思議だな。さっきまでは相手を殺しても生き残りたいと思っていたのに。あなたを見ていると、自分に重なって見えて……あなたになら殺されてもいいやって思えてくる。」
少女は剣を下ろして言った。
「私も……、今になって言うのは卑怯かもしれないけど。あなたを殺したくない。」
確かに卑怯だ。ロロは思った。
しかし、互いに本気で殺し合ったのだ。
ロロにとってはもはやどうでもよかった。
会場のコールは前回と同じように「殺せ」の連呼に変わった。
「あなたの勝ちね。」
ロロは目を閉じた。
相手の少女が生き残れることに少しだけ希望を持てたので、ロロは微笑んだ。
「ごめんね。天国があったら、また会いましょう……」
少女はそう言い、剣を振った。
少女の剣はロロの身体を引き裂き、戦いは終わった。




