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マシックガールズ  作者: まーだ
第三章 デミック・パンデミック
31/97

第28話 ロロ

☆登場人物☆


『ロロ』

主人公。白いボブヘアの少女。瞳の色は水色。

目を覚ますと、暗い部屋の中だった。


『エリス』

赤い髪の女性。


「パパー!見て見て!」


少女は父に画用紙を広げて見せた。

人の顔の絵だ。

クレヨンでぐしゃぐしゃに描かれている。


子供がありのままに描いたよくある作品だ。


「ははは、ロロは絵が上手いねぇ。」


父はロロの頭を撫でて微笑んだ。


ロロもまた嬉しくて微笑んだ。


----------



「……!」


ロロは目を覚ました。

自分の知らない天井、そして壁。


「おかしい……」


ロロはベッドから降りる。


木製のベッドと机、

暗くて判別しにくいがそれ以外のものは特にない。

しかし、ロロはそこが自分の部屋でないことを理解していた。


ロロは再びベッドに戻った。


「これは夢だ。」


ロロはそう呟き、目を瞑ろうとした、その瞬間。


部屋の外から明かりが漏れた。


ロロはその明かりの方を見た。

不自然な縦縞の影、それが鉄格子だと気づくのに時間はかからなかった。


ロロはベッドから飛び降り、鉄格子を掴む。


「な、なんだこれ……」


ロロは鉄の冷たさを肌で感じ取り、現実が夢ではないことを確信した。

ではどうして、このような状況にあるか。


ロロは部屋の外の景色を見ながら考えた。

部屋の外は同じような鉄格子の部屋が複数あった。


それ以外に何もない。


「私、逮捕されたの……かな?」


ロロには心当たりは全くなかった。

それどころか、前日自分が何をやっていたか、自分が今何歳なのかすら思い出せなかった。

本当に長い間、眠っていたような感覚だけが残っていた。


「目、覚ましたかい?」


ロロの目の前の通路の奥から、声が響いた。


「誰……?」


声の主は何も言わず、ロロの部屋の前まで歩いてきた。


その女性は赤い髪に鋭い目。

顔にはいくつもの切り傷の跡があった。


明らかに普通の人ではない、ロロは怯えた。

その様子を見て、赤い髪の女性は笑顔を見せた。


「元気そうだな。」


鉄格子の扉が開いた。


ロロは周りを気にしながらも部屋を出た。


「ついておいで。」


女性はそう言うと、通路の奥へ歩き出した。


ロロは言われるがまま、その女性について行った。


----------


ロロが連れてこられた部屋は更衣室だった。


しかし、ただの更衣室ではない。

高級マンションのロビーのような広さ。

豪華な装飾そして、大きなシャンデリア。


ロロはその真ん中に立たされた。


周りには赤い髪の女性以外に人はいない。


女性はロロの服を無理やり脱がした。


「ちょっと!?」


ロロは抵抗したが、その女性の力が強すぎて歯が立たない。

結局、ロロは赤くて華やかなドレスを着させられた。


ロロは不安になって聞いた。


「ねえ、ここは一体どこなの、私は今から何をするの?」


赤い髪の女性は部屋から出て行った。


「私の名前はエリス。生きていたらまた会おう。」


エリスは去り際にそう言い、手を振った。

出口の扉は閉まり、鍵のかかる音が鳴った。


「え……?」


生きていたら。

ロロはその言葉に疑問を感じた。


まるで、死ぬ可能性があるかのようだ。


しばらくその場でとどまると、出口とは逆の扉が開いた。


ロロは不安を感じながらも、とりあえず、その扉の方へ歩き出した。


----------


扉の先は、広いコンサートホールのような場所だった。


ロロが入場すると、大声援に包まれた。


「すごい……」


観客席は360度すべて大勢の客で埋め尽くされている。

ロロは大人気アイドルにでもなったかのような気がして、気分が上がった。


「よくわからないけど、なんだか楽しそう……」


ロロが感心していると、後方から黒い服の男が寄ってきた。

黒服はロロの右手に何かを握らせた。そして、すぐに走り出した。


「ん?」


確かな重みと厚み。


ロロの手に拳銃が握られていた。

その重みは、拳銃が偽物のおもちゃでないことを示している。


この華やかな場に全く似合わない拳銃。

ロロはこれまで以上の不安を感じた。


ロロの嫌な予感、それは的中した。


ロロの前方の壁が上に動いた。


反対側にも同じ広さのホールが現れた。

そして、ロロと同じぐらいの歳の少女が立っていた。

その少女は泣きながら拳銃を構えた。


拳銃の先はロロ自身。


さらに不可解な状況にロロは混乱した。


観客席からカウントダウンのコールが鳴った。


3秒の間。ロロは頭の中を整理した。


観客席から360度見下ろされるホール。

渡された拳銃。

拳銃を自分に向け泣く少女。

エリスの最後の言葉。


それらが指し示すこととは……


ロロは「0」のコールが聞こえる前に地面に伏せた。


歓声すら消し飛ばすほどの破裂音。

対面に居た少女の拳銃から弾が発射されたのだ。


弾はロロには当たらず、後方の壁に命中した。


「ああぁあぁぁぁ!!!」


少女は悲鳴を上げ、膝から崩れ落ちた。


ロロはゆっくりと立ち上がった。

周りを再確認する。

観客は先ほどと変わらず、楽しそうにロロを見ていた。

しかし、ロロにはその笑顔は邪悪に満ちているように見えた。


これは殺し合いだ。

自分たちを見世物にしているのだろう。

ロロはそう判断した。


状況は理解したが、ロロはなぜ自分がこんなことをしているのかが分からなかった。


突如、観客席から怒号が響いた。


「なにボケっとしてる!」


「モタモタすんな!」


「早く殺せ!」


これは自分への命令だ。

ロロは自分に渡された拳銃を見つめた。


相手の少女は一発撃ったきり、地面に伏せて泣いていた。

一発撃ったことで恐怖を感じたか、それとも弾が一発しかなかったか。

おそらく後者だろう。と、ロロは判断した。


ならばどういう状況か。


ロロは理解した。

確実な勝利だ。


歓声は「殺せ」というコールに変わった。


ロロは頭の中を整理するため、四方八方から聞こえてくる雑音に耳を塞いだ。


引き金を引けば、自分の勝利だ。

おそらくそれで自分は解放される。


では引き金を引かなかったらどうなるか。


二人とも解放される?

そんな雰囲気ではない。

新たな銃を渡されるか。それとも、問答無用で殺されるか。


「わからない。」


ロロは考えるのを止めた。


そして、銃を少女に向けた。


「わからないことだらけだ。」


ロロに恐怖が纏わりついた。

その恐怖を取り除く方法。

それはたった一つ。


「でも、最初に撃った、あなたが悪い。」


ロロは引き金を引いた。


少女の絶望の表情がロロの瞳に写った。


弾丸が少女の身体を貫くまでの時間。

ロロはその時間が永遠に感じられた。


「……!」


ロロは大歓声に包まれた。

全てが賞賛だった。

まるでアイドルのライブが終わったときのような。


ロロは笑顔で手を振り返した。


そして、開いた出口からその場を後にした。


血だまりに倒れた少女を視界に入れないようにして。


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