第26話 遺品
☆登場人物☆
『レイス・アタラクシア』
リンネの助手。黒のポニーテールに黒い瞳。
リンネをことを信頼しているが、非人道的な研究態度に対しては懐疑的。
贖罪のため自ら殺されに行くリンネを止めようとしたが、間に合わなかった。
『所長』
悪者っぽいけど、合理的な行動をしている。
事情を知らないため、リンネが悪い魔法少女に殺されたと思っている。
『クロ』
シロの前に現れ殺害予告をした殺人ロボット、本名はクロエ・マキナ。
名前の通り真っ黒な衣装を着ている。
腕はピンク色の粒子が入った瓶のような形状になっている。
敵であるシロに情を持ってしまい、なかなか殺せない。
レイスはクロの説明書を読み終え、机の上に置こうとした。
その時だった。
「おやおや、まさかこんな場所にあるとは……」
研究所の扉が開かれた。
レイスが後を振り返ると、所長とその部下が数人部屋に入り込んでいた。
「所長!?」
レイスは嫌な予感がし、説明書を後ろに隠した。
「君の跡をつけて正解だった。さあ、その紙を渡しなさい。」
「嫌だ……!」
レイスは言った。
上の身分の者には従うのが原則だが、この時だけは違った。
レイスは嫌な予感を察知していた。
所長はため息をつき所長が右手を上げた。
そのサインを受け取った部下は銃を構えレイスに向けた。
「無駄な犠牲を払いたくはない。」
所長がそう言うと、レイスは所長に向かって突進した。
「なっ……!?」
所長はバランスを崩し、倒れた。
しかし、レイスも数人の部下に取り押さえられ、説明書を奪われてしまった。
所長は立ち上がり、部下から説明書を受け取った。
「やれやれ、だけど今回の件は不問にしましょう。君は少し休んだほうがいい。」
レイスは抵抗したが、完全に抑えられ身動きが取れなかった。
「返して、それは、リンネ博士の残したもの……」
レイスは必死で叫んだ。
「我々とて、リンネ君の死は非常に悲しいことなのだ。だが、安心していい。必ず、あの憎き魔法少女を殺して見せよう。」
所長は自信満々に答えた。
レイスの嫌な予感は当たっていた。
リンネの気持ちを全く考慮していない。
「だめ……」
レイスが何を言っても無駄だった。
リンネの遺品は心なき者の善意によって踏みにじられたのだ。
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「その後、あなたは戦闘用に改造された。シロを殺すために。」
レイスが話を終えると、クロは頭を抱えた。
葛藤の理由がわかったものの、何故かすっきりしない。
クロは心に大きな不安を抱えることになった。
クロはその不安を少しでも解消するために隣に座っているレイスに抱き着いた。
まるで、母親に甘える子供のように。
「ごめんなさい。レイス……」
レイスは何も言わず、クロをやさしく撫でた。
そのまましばらく二人はより添った。
そして、いつの間にか夜は明けようとしていた。
朝日がビルの隙間から差し込んだ。
「あなたと会えてよかった、レイス。」
クロは椅子から立ち上がり、歩き出した。
クロの心の迷いは完全ではないものの消えていた。
自分には意思決定ができる。
これからも、シロと仲良く過ごせばいい。
クロはそう考えていた。
「待って。」
レイスは去ろうとするクロを呼び止めた。
クロはゆっくりと振り返る。
「もう一つだけ、言わなければならないことがあるの……」
レイスは悲しい顔をしていた。




