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マシックガールズ  作者: まーだ
第一章 魔法少女という病
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第17話 ミオンとミコト

☆登場人物☆


『奏美音』

もう一人の主人公。17歳。

地面擦れ擦れの長さの青いポニーテールと青い瞳の少女。

ミコトより色々とひと回り大きい。

ミコトの学校に転校してきたが、実は世界各地でコンサートを行う超有名ピアニスト。

「自分の両親に再び会いたい」という願いを抱き魔法少女として覚醒。

その後、同じく魔法少女であるミコトと意気投合するも、

自分の願いを叶えるため魔法少女を殺したことが原因でミコトと決別。

その後はひたすら魔法少女を狩り続ける。

魔法少女形態【音の魔法少女】

黒の燕尾服のような衣装。ひらひらしておらず、すらっとしており男性的なデザイン。

ピアニストがモチーフにもかかわらず、黒色の手袋をしている。

使用武器は「メゾフォルテ」

右手に強弱記号のフォルテを模した剣、左手に「m」の形をした盾を持っている。鈍器。

使用魔法は「グランドメロディカノン」

ピアノの鍵盤を模した追加武装。美音の周りを回転しながら浮いている。

白鍵からはレーザーが、黒鍵からはミサイルが発射される。

白鍵52鍵と黒鍵36鍵の計88鍵から形成される弾幕は、相手を一切寄せ付けず焼き殺す。



『衛堂ミコト』

主人公。17歳。

黒のショートボブヘアで赤い瞳の少女。

至って普通の女子高生。頭は良くない。

育ての親を失い喪失感に駆られていた所、人外の化け物「マジン」に襲われる。

「死にたくない」という願いを抱き魔法少女として覚醒する。

魔法少女形態【命の魔法少女】

まるで医者の白衣のような衣装。グローブとブーツは白色だが、白衣の下は黒いタイツ。

頭には二本の丸っこい角が生えている。

白衣の裏から尻尾が伸びており、尻尾の先は注射器のようなデザインになっている。

白衣には緑色の線がデザインされている。それはサイリウムのように発光しており、ミコトの心臓の鼓動に合わせて心電図のように波を流す。

使用武器は「ミコトカリバー」

ミコトの身長ぐらいの大きさの剣であり、両手に持って戦う。

剣のグリップ真横には緑色の液体が入ったタンクがあり、タンクから伸びた管はミコトのグローブの中へと繋がっている。

使用魔法は「???」

黄金の光を纏い、対象の人物を蘇生させる。

また、自分に使うことで戦闘能力を大幅に上げることが出来る。が、それなりのリスクもあるらしい。


私は貧しい家庭に生まれた。


もともと貧しかったわけではないと思う。

幼いころは大切に育てられたような気がする。


ぼんやりだが、覚えている。


両親が冷たくなったのは小学生の頃だった。


パパは失業してから、毎日部屋に引きこもり、ママはそんなパパに呆れてか、いつも家に居なかった。


ある日、私は街のサイネージに映るピアニストに魅了された。

その日から私はピアニストになる夢を見ていた。

しかし、そのためにはお金が必要だった。


小学生の私にはおもちゃ屋に売っているピアノですら手が届かなかった。

家庭の貧しさも理解していて、自分からピアノが欲しいとは決して言わなかった。


中学生になったころ、両親に隠れて工場でバイトを始めた。


順調にお金はたまり、ようやく小さいキーボードピアノが買えそうだった。


しかし、事件は起きた。


いつものようにバイト中、機械の故障が起きた。

手慣れていた私は機械を止め、機械の中に手を入れ、修理を始めた。


ところが、急に機械が動き始めた。

他の作業員によるミスだった。


私はすぐさま逃げようとしたが、遅かった。

私の腕は機械の中に引きずり込まれた。


どれだけ痛かったか、今でも覚えている。

自分でも信じられないような叫び声を上げ、助けを求めた。


次に目が覚めた時、そこは病院のベッドの上だった。


そして、私の腕は無くなっていた。

しかし、それ以上にショックだったのは、私が眠っている間に、両親がいなくなったことだった。


私が家族をバラバラにしたのだ。


それから毎日、ベッドの上で外の景色を眺めては、たびたび自分の機械の腕を見て、涙を流した。


そんなある日。病室のテレビであのピアニストの番組を見た。


番組を変えようかと迷ったが、美しい演奏に心をひかれた。


「ピアノ、弾きたいなぁ……」


最初は好奇心だった。

今は違う。

こんな素晴らしい曲が弾けたら、パパとママも許してくれるだろうという気持ちだ。


きっとまた仲が良かった日々に戻れる。


そう信じていた。


そして私は魔法少女になった。


----------


演奏が終わり、私は大歓声に包まれた。


世界一の舞台で演奏する。その夢が叶ったのだ。


鳴りやまない拍手。しかし、そんなことはどうでもいい。

私はパパとママを探した。


観客は出口へ流れた。


「どこ、どこにいるの……」


微かな希望でもいい。私は必死で探した。

だけど、見つからなかった。


本当は自分でも分かっていたはずだ。

パパとママは自分を捨てた。愛されていなかったのだ。


私の信じた家族の絆は嘘偽りだったんだ。


私はピアノの座席に腰を下ろした。


いいんだ。これで。

私は私のために生きられる。


パチパチパチ……


全員退席したはずのホールに、一人の拍手の音が響く。


私は、音のする方を振り向いた。


「ミコト……」


そこにかつての親友が座っていた。


「私は、どこで間違えたんだろうな……」


私はミコトを見て呟いた。

ミコトは私に向かって歩き出した。


「人はいつだって間違いを犯す。だから後悔する。」


ミコトは魔法少女に変身し、剣を手に取った。


「ミコト、あのさ……」


私の犯した罪を許してほしいとは言わない。

でも、また楽しかった日々に戻れたら。

私はその方がいいと思っていた。


「後悔している事と言えば、あなたを殺し損ねたことね。美音。」


ミコトはそう言うと、剣を構えた。


「待ってよ……、ミコト……」


戦えば間違いなく、ミコトは死ぬ。

そして、私はミコトを殺す理由などない。


私は戦いたくない。


「待たない。」


ミコトは答えた。


「お願いだよミコト。今までのようにさ……、一緒に暮らそう……。仲良くしよ……」


ミコトは全く聞く耳を持たない。

私のいる舞台まで、ゆっくりと歩を進めた。


「一人は……寂しいよ……」


私の本音だ。

この戦いが終われば、私は本当に一人になる。


もし、ミコトが剣を収めてくれれば。

また、あの日々に戻れるのではないかと思った。


「安心して。殺すから……」


だが、ミコトは冷酷に言い放った。


そんな都合の良い話あるわけがない。


ミコトといるときは本当に楽しかった。

あのままでよかったのに。

どうしてありもしない希望に身を委ねてしまったのか。



そうか、これが

魔法少女という病か



愚かな私にふさわしい末路。


私も武器を構えた。

それに88つの浮遊する砲台。グランドメロディカノン。

ピアノの鍵盤を模したその箱はひとつひとつが殺意の塊。


白の砲台からレーザー、黒の砲台からはミサイルが発射され、辺り一面を焼き払った。


ホールの壁や天井は崩れ落ち、舞台裏の鉄骨が姿を現した。


警報機から大きな音が鳴ったが、私のグランドメロディカノンはそれすらも破壊した。


ただの魔法少女が耐えられるはずがない。

これで、本当に終わり。


硝煙が晴れ、そこにはボロボロのミコトが立っていた。

手加減などしていない。

しかし、ミコトは立っていたのだ。


驚いている場合ではなかった。


「ミオぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


ミコトが叫びながら走り出した。


「ミコトぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


私も叫び、グランドメロディカノンを操作する。


無数の光がミコトの至る所を貫く。

今度こそ、確実にミコトは死んだ。


何故か、私の目からは涙が流れていた。


だが、その涙はすぐに止まった。


ミコトはまた立ち上がった。


----------


おかしい。

急所を貫いても、全身を焼いても、ミコトは死ななかった。


撃ち抜かれては、立ち上がり、何度も何度も、突っ込んでくる。


もう、満身創痍だろ。

十分頑張った。

ゆっくり休んでいいんだよ。ミコト。


思いは届かず、ミコトは再び立ち上がった。


「いい加減に死んでよ!ミコト!」


レーザーに焼かれながらも、ミコトは確実に距離を詰めて来た。


ホールは、もはや原型をとどめていなかった。

天井は完全になくなり、夜空の星々と、ビルの光が私たちを照らした。

劇場が崩れる大事故だが、周りに人の姿はいない。

当然だ。近づけば巻き添えになる。


ミコトは瓦礫を利用し、私の死角に入った。


私は黒のメロディカノンを操作し、瓦礫ごとその場所を焼き払った。


「よう……美音。」


瓦礫による死角は思った以上に多かったのか、

いつの間にかミコトがうしろに立っていた。


全身血だらけ。まるでスプラッタ映画にでてくるゾンビだ。

どうやって体を支えているのかわからないほど、ミコトの肉体は削ぎ落ちていた。


それでも、剣だけはしっかりと私の方を向いている。


ミコトの剣の間合いに入った。


だけど、これは私の剣の間合いでもある。

状況は前に戦った時と同じだ。


私の方が強い。


右手の剣でミコトを吹き飛ばす。

すぐさまメロディカノンで追撃。


頭と首と胸、あらゆる部位にレーザーが刺さった。

それでもミコトは死ななかった。


ミコトは立ち上がり、剣を縦に構えた。


「突きか……!」


予想通りミコトが突進してきた。


私はそれを盾で難なく防いだ。

だが、ミコトの剣は盾の隙間に刺さった。


ミコトが笑った。


「……!」


私はすぐさま剣で攻撃しようとした。

しかし、ミコトは剣を思いきり振り上げ、盾はミコトの後方へ吹き飛ばされた。


だけど、まだ……


私は片方の剣だけで、ミコトに応戦した。

それでも私はミコトを圧倒していた。


しかし、この距離ではメロディカノンは発射できない。

決定打を与えることはできなかった。


剣戟の途中、ミコトの剣が光を放った。


目くらましではない。

この技は何度も隣で見てきた。


ミコトの剣は光ると強くなる。

単純だけど、なんてわかりやすい設定。


ミコトの剣の速度は格段に上がった。


これまでにない連撃。

とても全身をケガしているとは思えないほどに。


私はその速度に合わせようとして、思いきり剣を振った。

だが、ミコトはそれを読んでいた。

その勢いを利用され、私の剣は弾かれた。


「あ……」


ミコトが突きの構えをとる。

私の身を守るものはなく、私は無防備な体を晒した。


「ああああああああああああ!!」


ミコトの剣が私の胸に突き刺さる。

私の変身は解け、武器や砲台は消滅した。


私は負けた。


悲しくはない。


未練が無くなったからだろうか。

この世界で生きる希望を亡くしたからだろうか。

死ぬということが以前はあんなに怖かったのに、今はむしろ清々しい気持ちだ。


だけど、これだけは言わせて。


「ごめんね、ミッコ……」


私の身体は地に伏した。

私が最後に見た光景。


それは、己の身体がボロボロになるまで戦った魔法少女。

そして、私を救ってくれた、かつての親友だった。


ミコトたちのお話は一旦おしまいです。


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