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母とエルフ

 ジャメロは、魔王を倒すまでの戦いの最中も、その後も、薬草などを集め回り、魔法の種類、解除方法を書物などを丹念に調べ、姉妹達を観察し続けた。魔法や呪いを見分ける能力も磨いた。そして、母親と相談して、姉妹達を勇者の呪縛から解き放つことができそうな物を密かに作ってはきた。彼女は、そうした才は、彼以上だった。彼女に娘達の様子を見せるため、姉妹達を説得して、魔王との決戦前に、一度里帰りさせた。魔王打倒後、任地に赴く前にも一度里帰りさせている。結局、二人で相談した結果、魔法や呪いへの抵抗力を間接的に高める物を与えるしかないという結論になった。

 母は、その仕上げの強力なそれを作り、彼が泊まる予定の宿に、事前に伝えていた、送ったのである。かなりの時間と労力がかかったが。

 このことを打合せした時、母ブリカは、

「出来る限りやってみよう。お前が集めた、お前が作った素材を使って、我にとって最高の物を作ってやる。だがな、ジャメロ。もし、上手くいったとして、おぬしは、どうするつもりかえ?あの娘達は勇者の女になり、散々あいつに体を提供したんだぞ。そして、おぬしの姉妹なんだぞ。そして、勇者がどう出るか分からないのだぞ。厄介払いできたと思いながら、自分のものを奪った奴だと恨むかもしれない、男とはそういうものだ。おぬしには、何の利益もないかもしれぬ。それでもおぬしは全てを引き受ける覚悟はあるのかい?さらに、…姉妹達を愛するつもりなのかえ?それは…。」

 ジャメロは無言だった。それを見て、ブリカは大きなため息をついた。

「すまぬ。おぬしに、全てを引き受けさせてしまって。我は、母親失格だ、結局、やっぱり母親にはなれなかったな。今、おぬしに言ったことは、我が逃げたことだ。ティティアでさえ、勇者に利用され、弄ばれて捨てられても、貴族で、領主で、小さくても城主であれば、出世と割り切っていたろう。いや、今の、際限のない魔獣、魔物と戦いに、確実に消耗し、いつか死ぬかもしれない状況すら許容していたろうよ、おぬしがいなかったらな。すまぬ、おぬしにだけ、重荷を押し付けてしまって。この期に及んで、何とか、我は実の娘のティティアだけでも助けて欲しいと思う我を許しておくれ。」

 半ば涙ぐんでいる母であり、異母姉であり、母方の従姉である、彼女に、

「家族を助けるのに理由はいらないよ。」

やっと、絞り出すように、それだけを言った、すがりつくように差し伸べられた手を握りしめ。彼も母親の言うことを考えたことがある、何度も頭をかすめた。

 彼女は、急に言い出しづらそうな顔になって、

「ところで、あのエルフ女は、その後どうなったのだ?」

と尋ねた。

「両親に、私のことを伝えに行く、許しをもらう、そしてすぐ帰る、そう言って出て行ってから、なしのつぶてだよ。」

「そうかい。」

 母は、複雑そうな表面だった。“私の心情を察して、同情してくれていたのかもしれないな。”

 自称ハイエルフのエスパ。ある意味、殆どのハイエルフは自称と言える、それを厳密に証明するモノはどこにも存在しないのだから。

「勇者様が、あんたとコンビを組めと言ったんだけど、多少は出来るの?足手まといは嫌だから、試さして貰うわよ。いくわよ!」

 突然目の前に現れた、金髪の小柄なエルフの美しい女は、そう言うと、いきなり肩にかけた半弓を手に取り矢をつがえた。彼も応じるように長弓を手にして矢を矢筒から取り出した。

 矢継ぎ早に連射された五本の矢が、ほとんど近くの木に全て命中した。一方、彼の矢が三本、続けざまに反対側の大木に深々と貫いていた。

「まずは合格ね。」 

 今度はいきなり、詠唱なしに火球を数発、ジャメロに向かって飛ばしてきた。

 すかさずジャメロは、最小限の大きさの防御結界を張って、それを全て受けながし、素早く動いて、抜いた剣を彼女の前に突きつけた。彼女は全く動じることなく予定の範囲内という表情で上を指さした。その先には、雷電玉があった。彼は、不機嫌な顔で

「よく見ろ。上と下を。」

 彼女は、少し目をこらして、彼の頭の上を見てから、足下を見た。彼と雷電玉の間には防御結界が、彼女の足下には、氷の槍が地面から、彼女に向かって、彼女がどこに動いても突き刺さるように突き出していた。

「ふふふ。なかなか、やるじゃない!気に入ったわ。私の背中を委せてあげる。私もあなたを守ってあげるから安心しなさい!」

とニコニコ笑って、手を差し伸べた。一瞬躊躇したが、彼も応じた。二人は、握手した。どこからともなく現れた勇者は、それを見て、にこやかに拍手した。その時の彼女の手の感触は覚えている。柔らかく、気持良かった。しかし、その時、彼女がほんの一瞬見せた、嫌悪感丸出しの表情は見逃さなかった。彼女の真意を疑ったが、いや疑った故に、流れに、勇者の指示に従った。

 魔王との戦いの中、二人は大抵一緒に戦い、行動した。勇者がそう命じたからだ。ある意味、全てが一流の彼には適していた。どんな状況でも対応出来たからである。一方、彼女の戦闘力はかなりのものだった。魔法も、短弓、短剣の腕も、かなりのものだったし、エルフながら長剣の腕も半端ではなかった。お互いを補完しつつ戦った。二人の能力が上手くかみ合うものだったからだ。そのこともあって、勇者のチームの中でかなり目立った、評判のコンビになっていた。二人で何度も勇者から激賞される手柄を立てたものだ。

「危ない!」

 ジャメロがライオン頭の大柄な魔族の背中を斜めに切り裂いた。致命傷ではないが、大きなうめき声を立てて怯んだ。その時生じた隙に、大地に倒れていたエスパが火球を連発した。それを受けてのけぞった魔族に、ジャメロが魔法を込められて光輝いた剣を刺し貫いた。光の衝撃破が肉を焼き、大きく切り裂いた。絶叫をあげてよろめいたところを、素早く立ち上がったエスパがすかさず剣でとどめを刺した。

「これで、前回の貸しはなしにしてあげるからね。」

 息を切らしながら、エスパが言った。ジャメロは、何を言っている、という顔をしながらも、

「分かったよ。そういうことにしておいてやるよ。」

 姉のマナイアが、何体もの高位の魔獣に囲まれてしまったのを見て、冷静さを失って、遮二無二に助けに飛び込もうとしたジャメロに、後ろから抱きついてきて、

「だめよ!あなたも死んじゃうわよ!冷静になってよ!あんたが死ぬのを見たくないんだからね!」 

 その言葉に我に帰った彼を見て、半弓をとって、彼女を援護するように矢を次々射った。

「そうだな。姉さんを信じないとな。」

 彼も駆けながら、姉の動きを見つつ、姉の動きに合わせて、自作の強弓から矢を放ち、隙を見て、近づき剣を振るい、攻撃魔法を打ち込むみ、蹴りや拳をぶち込んだ。魔獣の気をそらし、戦力を減らし、連携をくずして、姉への攻撃を減らしたのだ。危機を乗り越えた彼女は、次々に魔獣を倒していった。数的には、彼女が大半倒したのだが、彼らの援護があってのことだと一目瞭然のはずだった。しかし、彼女は、彼らに感謝の言葉一つもかけなかった。

「何よ!せめて、あんたの弟に感謝しなさいよ!」

 エスパが抗議した。マナイアは、睨んだだけだった。“いいんだ。”と首を振る彼を見て、エスパは涙すら流していた。

「ありがとう。姉さんを助けられた。」

「馬鹿。」

 “姉さんを助けることとなったわけだから、まあ、いいか。”

「なによ!その妥協してやるというような言い方は!もっと感謝しなさいよ!」

とふくれ面をしたが、それ程怒っているようではなく、可愛らしく見えた。彼が苦笑すると、彼女も苦笑して、それでそれはうやむやに終わった。

 次姉のオブリナが矢を連射して、勇者を援護することだけに夢中になっているうちに敵中に孤立した時、上の妹のティティアが特大の爆裂魔法の連発で、敵が近くにいるのに疲労困憊してしまった時、下の妹のイメアが、多勢に無勢の中で斬り結んで、さすがにあぶなくなった時に、助けに駆けつけるジャメロの傍らにいて、彼を援護したのはエスパだった。

「手伝ってあげるわ。」

 エスパが、ジャメロが野営地で一行の夕食の準備をしているのを見て声をかけた。都市や領主の館、はては王宮以外の野営ではジャメロが主に食事の支度を担当した。

「本当に手際がいいわね。勇者様も褒めていたわよ。」

 手伝いながら、彼女はそんなことも言った。それに比べて、姉妹達は無愛想に、

「勇者様の食事は出来たの?」

と催促することしかしなかった。流石にエスパも、

「ちょっと、いい加減にしなさいよ。少しは感謝しなさいよ。」

と口を尖らせた。

「あんたも少しは怒りなさいよ!」

 そう言われた時は、彼は曖昧に笑ったものだった。

「お前の分だ。手伝ってくれてありがとう。」

と残りもので作った料理を彼女にも渡した。勿論、作った半分はジャメロ自身のものだった。

「今日も、あれだけの材料で、こんな豪華になっちゃうのね。美味しそう。」

と受け取って、並んで座ると、いかにも美味しいというように食べ始める。

「私とあんただけの料理ね!」

と言って見上げる彼女は本当に可愛いかった。

 二人だけで行動して、野営してとる食事の時は、彼とぴったり並んで座って、

「あんたの料理を、今日は一人占めしているんだよね、私ったら。」

 幸せを、これも独占しているかのように、満足げに食べていたものだった。

 2人で索敵や伝令に出ることも多かった。それは危険を伴うものであり、かつ重要な場合だった、成功してもらわないと大変なことになるものだった。

「2人にしか…しかし、今、2人を失ってしまっては…。」

 古参のメンバーが自分達が、と言い出しても、

「君たち失ったら、魔王を倒せなくなる。得手不得手がある。彼らにしか…頼めない…、だからと言って、あまりに危険なことを命じて彼らを失っては…。」

と勇者が、何度も迷った姿が、見られたという。

 索敵中に、ゴブリンの群れに遭遇して、多勢に無勢の中で、必死に目の前のゴブリン達を倒し、怯んだところを駆け抜けて、エスパのもとに駆け出した。

「嫌~!」

 何匹ものゴブリンに押さえ込まれて、衣服を破られ、正に犯される寸前までになったエスパの上になろうとしていたゴブリンの頭をぶち割り、押さえ込んでいた奴らを踏み潰し、戦意を喪失しかけていた彼女を小脇に抱きかかえ、出しうる攻撃魔法をあらん限りぶっ放して、ジャメロは囲みを突破して逃げた。戦意を回復したエスパも、彼に抱えられながら、追ってくるゴブリン達に、詠唱を唱えて大きな雷電玉を放った。その後、悪いことに魔族の追っ手が迫ってきていて、大木の下の茂みに息を殺して潜んだ。雨も降ってきて、二人は身を寄せ合って隠れた。

「ひどい格好で運んでくれたわね。恥ずかしいったらなかったわよ。助けてくれたことは分かるけどさ。」

「あれしかなかっただろう。まあ、ひどい、滑稽な格好だったな、今思うと。」

「言わないでよ!思いだすと、もう恥ずかしいったらないわよ。」

「あの時は、あれ以外、思いつかなかったんだ。」

「分かっているし、感謝しているけどさ。」

 そんな悪態を小声でしているうちに、お互いの体温、体臭、感触を感じはじめて、どちらかともなく、相手を求めた。長い口づけ、絡ませ合う舌、息が荒くなり、お互いの体をまさぐり、下半身の露わにさせ、

「う!」

と声が漏れたあとは、声を殺して、ひたすら動いた。エスパの体が大きく弾んでから動かなくなった後、ジャメロが大きく動き、そして止まった。しばらく荒い息をしていたが、そのうち眠りに落ちた。二人が抱き合いながら、目を覚ました時には、雨は止んでおり、陽が昇りかけていた。

「どうだった?」

と彼女は、彼の胸に顔を埋めながら尋ねた。

「最高だったよ。」

「そうでしょうとも!…それに、あんたも凄かったよ。」

 見上げながら言う彼女の顔は恥ずかし気に赤くなっていた。

 その時には、魔族も、ゴブリン達も周囲にはいなかった。

 気まずさもあり、そそくさと支度をして、その場を去り、勇者たちに合流して報告をした。この時も、二人の偵察報告は役に立った。勇者からは大いに褒められ、ついでに仲を冷やかされた。それは悪気がないものだったように思えた。少なくとも、そのように見えた。その後も、2人はさらに連携のとれたコンビとして活躍した。

 その後は、何度となく肌をあわせた、本来なら戦いの中で、それどころではなかったはずなのにである。戦いの、血の興奮を静めるため?死と隣り合わせの不安からの一時の安らぎを得るため?実際、死を覚悟したのは一度や二度ではなかった。かなり危険な任務を命じられた。それは、誰かがやらねばならないことであり、彼らでなければできないことだったから。調度二人がいなかったため、派遣された面々が失敗、戦死し、改めて二人が、その任務を任され、ぼろぼろなりつつも、成功して帰ってきたということもあったほどだから、ジャメロを疎んじて、彼を危険な任務を命じたとは誰も思わなかった。それに、勇者からは激賞され、それなりの名誉、報酬も受け取っていた。

 連絡が取れなくなったメンバー達を探しに出て、魔族に包囲され危機的状況にあるのを見て、彼らを助け、傷ついた彼等を一旦安全な場所に隠し、それを勇者に知らせ、その足で戻り、勇者達が来るまでの間、先に戻って、彼らを援護したということもあった。最初の道のりも、彼等を助けた戦いも、勇者に知らせに行く道のりも、再度もどった道のりも、彼らを援護した戦いも、かなり危ない場面の連続だった。勇者は、彼ら2人を皆の前で褒めた。そして、2人の手を握りしめて感謝すらした。2人が、助けた中に、古参のチームメンバーが、いたからだった。そのメンバーは、勇者の親友のような存在だったという。

「とっとと、立ち上がれ!もう、行くぞ、勇者様が待っているんだからな。」

 姉のマナイアが、ジャメロの首を掴んで無理矢理立たせると、そのまま背を向けて歩き始めた。

「ま、待ってくれ、姉さん。エ…相棒がまだ…。」

 そう言って、彼はふらふらと少し歩き、倒れていたエスパを助け起こした。

「ま、まだ…生きているんだ?」

「生きているさ。お前は如何なんだ?」

「生きているわよ。あったり前でしょう?」

 肩を貸し合いながら、2人はノロノロと歩き始めた。それをマナイアが、不機嫌そうに見ながら、待っていた。

「まったく、そのざまはなんだ。勇者様に面倒をかけおって。足手まといが。」

 そう言って、2人がついてくるのを確認すると、また背を向けて歩き始めた。ただし、2人の歩調に合わせてくれてはいた。彼女の任務は、仲間を助けるために踏みとどまって戦い、戻ってこない、ジャメロとエスパを無事連れ帰ることだったからだ。勇者に、彼女は命じられたのだ。

 エスパが、文句を言わなかったのは、その気力がなかったのと、彼女の役割と自分達の措かれた状況がわかっていたからだった。彼女の護衛がなければ、危ないかもしれないのだ。

「し、死ぬなよ。生きて帰るんだからな。」

「あ、当たり前でしょう。あんたこそ、しっかりしなさいよね。」

「しっかりしているさ。」

 ぼろぼろになり、満身創痍の2人は、互を支え合いながら、必至に歩いた。

「ジャメロ。帰ったら、直ぐに勇者様のために食事を作ら、分かったな?」

と、当然のように姉は、冷たい口調で言った。

「ひどいよ~。ジャメロが、可哀想すぎるじゃない!」

 声は小さかったが、エスパは泣きながら訴えた。

「ありがとうな。そう言ってくれるだけでうれしいよ。」

としか、彼には言えなかった。

 彼ら三人が無事で戻ると、勇者は涙を流して喜び、マナイア感謝し、ジャメロとエスパの功績をたたえた。2人は、勇者の命令で静養、治療となり、ジャメロが直ぐ働くと云うことはなくなった。

「生きて帰ってきたんだよね?」

「生きて、今、ベッドの上だよ。」

 手をつなぎながら、その夜は痛みで声をあげていた。

 別の時、

「生きている~?」

「ああ、生きているさ。お前も生きているたんだな?」

「あ、当たり前でしょう!」

 魔族の死体の中で、疲労困憊で動けなくなっていた、ジャメロとエスパは。2人で、他のメンバーを逃がすため殿になって戦ったのだ。

「いたわよ。」

 妹のイメアだった。

「まったく、面倒ばかりかけて…。」

 やはり妹のティティアだった。

「さっさとすませようよ。」

「分かっているわよ。」

 イメアが警戒し、ティティアが2人に回復魔法を施し始めた。勇者に命じられたのだ。

「はい。もう終わり。後は、兄さんがやりなさいね。」

「もういいわよ。さっさと帰りましょう。兄さん、後は自分でやりなさい。」

と2人は背を向けて歩き始めた。

 ジャメロもエスパも、十分回復はしていなかった。まだ、立ち上がれないエスパに、ジャメロが何とか、回復魔法をかけ始めた。

「ち、ちょっと、攻めてもジャメロにはちゃんと回復魔法をかけてから行きなさいよ!これじゃ、彼が手折れちゃうじゃないの!」

とエスパが抗議したが、二人は平然として歩み去った。

「あんたが、可哀想だよ~。」

 涙ぐむエスパに、黙って回復魔法をかけるしかもジャメロはできなかった。

 この時も、最後は肩を貸し合って、何とか合流した二人を見て、勇者は涙を流して喜び、二人の功績を褒め称えた。

 他にも、危険な伝令の役は、何度もあった。それは2人でなければできない、できなかった、と誰もが思った。

 だから、誰もが二人が、勇者から、その力を信頼されていると感じていた。もちろん、彼の4人の姉妹達は、不安も見せず、心配もしなかった。

 王宮や貴族の館に勇者一行が泊まる時は、ジャメロは、近くの安宿か、良くて王宮や館の端の粗末な部屋で寝た。彼だけではない。勇者と身分のある男女、一行の中の幹部クラスと女達だけに相応の部屋があてがわれた。それは当然のことだった。勇者が勝手に決められるわけではなく、それ相応の理由を提示しないと受け入れないのだ。だから、そう彼らは割り切っていた。しかし、ある日、功績を表されて、騎士クラスの居室があてがわれた。しかも、エスパが同室でだった。彼女は子供のようにはしゃいだ、ベッドの上で。彼女は女であったから、王宮内、邸宅内の部屋をあてがわれていたが、騎士クラスよりは下の部屋だった。彼女の本当の年齢はわからなかったが。

 ジャメロが窘めると、彼に抱きついて強引にベッドの上に倒した。その時、彼女は入念に体を洗った後で、香料の香しい匂いが、彼の鼻をくすぐり、彼女が、唇を求めてくるともう抵抗できなかった。そのベットの上でお互いを貪るように求め合い、気が付くと抱き合って眠りに落ちていたらしかった。

 それからは、彼ら2人は騎士クラスの待遇となったが、これはかなりの厚遇と言えた。勇者が、それだけ2人を評価し、2人の働きを認めたのだと、誰しもが思っていた。

 また、二人だけで先行していた時に、魔軍に襲われていた町を二人だけで救い、それで歓迎を受けた。町の公会堂のテラスから、何百人程度、いや何十人程度だったかもしれない、小さな小さな場面ではあったが、その歓声、歓呼の中、二人は並んで、肩を抱き合って、それに手を振って応える、よくある英雄のロマンスの情景を、皆の前で演出する形となった。全ての栄光を、人生の最高の場面を感じた。その夜、王宮どころか、並の貴族の館と比べても粗末な一室、町の公館の一室だったが、のベットの上で抱き合った時も物語の主人公のように自分達を感じた。飽くことなく、何度も何度も、愛を語りながら快楽を貪った。

 魔王との決戦の直前、二人は魔界に潜入し、魔王城近くまで偵察を行った。その間に幾度も、魔族の兵と戦うはめになり、倒し、逃げ、まいてきた。それが、魔界を、あと少しで出るというところで、捕捉されてしまった。その指揮官は、ジャメロに一騎討ちを挑んできた。それは、人間タイプで、どちらかと言うとエルフだが、かつ人間の基準からも大柄でない、女魔族だった。そして美しかった。剣と剣との戦いから始まった。二十合以上交えた時、

「なかなかやるではないか?勇者はどうなんだ?」

と尋ねてきた、剣でつばぜり合いをしている最中に。

「剣の技術だけなら、妹が一番だ。ずっと後方に、二番が私だ。」

 そう言っているうちに、ジャメロの剣が折れると、魔族女は自分の魔剣を捨てた。

「聖剣も持たぬ相手に、魔剣で勝っても自慢にはならないからな。」

 その後は、魔法と格闘技での戦いとなった。魔法攻撃を弾き返し、放ち、技で締め上げ、絞め技を返し、拳、蹴りを繰り出して戦った。

「こっちの方の実力は何番目だ。」

 彼に絞められながら、苦しそうな息づかいをしながらも、質問してきた。

「技術だけなら、格闘技は姉が、魔法は妹が断トツ上だ。その後にかなり離れて2番目に私だ。」

 絞め技を外され、すかさず繰り出される足蹴りを、避けて彼は答えた。何故か、答えることが礼儀のように思われたからだった。

 一騎討ちのはずが、度々魔族の兵達が加勢に入ってくるのをぶちのめしながら、長い戦いのすえ、上になり、下になりした末に、組み敷いた彼女に、魔力を込めた渾身の拳を何発も叩き込んで、何とか大地に倒した。その直後、魔族側から放たれた魔法攻撃を受け流したはずが、どういう弾みか、相手側に弾き返したようになった。魔族の隊列で炸裂して混乱に陥った。放った魔導師も思いもしない結果に、対処できなかったのだろう。それを見て、エスパがここぞとばかり、大量の火球を中心とした、ありったけの魔力を使った、複数の魔法攻撃を放った。消耗して、へなへなと腰が抜けたように座りこんだ彼女を抱え、彼は一目散に駆けだして、逃げた。

 安全圏まで来たとき、彼女を放り出し、荒い息で、大地に突っ伏した。仰向けに倒れたエスパが、

「何よ、魔族女と組んずほぐれつして、あの女がそんなによかったの?」

と起き上がると抗議してきた。

「必死に戦っていただけだ。そんなこと、考えていなかった、というか考えられなかった。」

 あまりに心外だったので、腹立たしくなった。

「私よりよかったの?色々なところに触って、抱きしめて!」

「だから、そんなこと考えている場合じゃなかったし、そんなことしなかったと言っているだろう。」

「確かめなさいよ、どちらがいいか、今すぐ。」

 這うように寄ってきた彼女の汗臭い臭いと何とか助かったという安心感からか、欲望が膨れ上がり、どちらからともなく抱きつき、唇を重ね舌を差しいれて、慌ただしく着ているものをずらし、弄り合いをしてから、一体となり、激しく動き、声をあげた。それを何度も繰り返した。

「どう?私の方がいいでしょう?」

「比べるようなことはしていないったら。とにかく、お前は最高だよ。」

 荒い息の中で言い争って、何とかエスパの気持は収まったのか、

「まるで、望まない結婚式から、恋人に助け出された王女様みたいね、私ったら。汚れちゃっているけど。」

「今さら言うな!」

 2人は、快感の余韻を感じながら、悪態をついた、笑い顔で。

 偵察結果を勇者達に報告すると、激賞された。魔王城への突入に大変に役になった。

「美人の女魔族騎士と組んずほぐれつの戦いとは、羨ましいかぎりだな。エスパが、怒らなかったか?君達は互い一筋だから、大丈夫か?

それとも、後でたっぷりと確かめ合ったのかな?」 

と周囲の笑いを取るように言った。その時もジャメロの4人の姉妹達は、興味なさそうな表情をしていただけだった。エスパは真っ赤になっていたが。勇者の顔は、何の邪気もないように見えた。

 そして、魔王を倒した日。

「勇者様!ここは私達に任せて、行って下さい。」

 どちらが言ったのかは、彼も記憶が曖昧になっているが、その言葉が自分から出てもおかしくはなかったと思っていた。勇者と彼の姉妹達をはじめとする面々が続いた。

 魔王城の奥深く、雑魚とも言えない大勢の衛兵達と対峙した。すぐに、彼らと戦っているのが自分達二人だけだというのが分かった。

 かなり消耗していたエステは魔法の発動が遅れ、魔族の兵士の槍が突き刺さった。ジャメロが、渾身でけり飛ばさなければ、深々と突き刺さっていた。彼は、彼女を引き寄せた。彼女は、痛みで顔を歪めていたが、それほど深い傷ではなかった。それ以外にも、いくつも傷があった。彼も、満身創痍だった。“あいつら、まだ戦うつもりか?”早く逃げてくれ、と心の中で叫んだ。まだ、魔王を倒した、という声は聞こえない。“その声が聞こえても、すぐにこいつらが退くとは限らないな。”彼は頭の隅で思った。周囲で倒れている仲間の何人かは、既に死んでいると思われた。

「絶対、生きて帰るからな。」

 ジャメロが言うと、

「あ、ったり前でしょう。ここで死んだら犬死にじゃない!死んで、英雄だと言われて讃えられたって何になるのよ!そんなの願い下げよ!」

 ふらつきながらも、エスパは剣を構えた。それから、顔を心持ち下に向け、小声で、

「あんたは、生きて凱旋した後はどうするのよ?」

「恩賞があるだろうから、それで荘園を手に入れて、小さくても領主様になって、のんびり過ごす。できればお前と一緒に。」

 正面を睨みつけながら言った。エスパは、顔を赤らめながら、おずおずと

「あのさ、私も連れていってくれるわけ?」

「ん?もちろん。お前が望むならばな。」

「決まり!領主夫人の座は予約したわよ!」

「分かった、予約は受けつけた。撤回は、お互いになしだ。それじゃあ、絶対ここは生き延びないとな。」

 お互いの背中を守りつつ、長い、長い時間を、実際はそれほど長い時間ではなかったりしれないが、二人にはそう感じた。もはや、目の前が見えなくなりかけた時、魔王を倒したと言う雄叫びが聞こえた。目の前の連中は、初めはじりじりと、そして一斉にわれ先にと逃げ去った。二人は、しばし、それでも構えていた。それもつかの間、緊張が解けると、崩れ落ちるように膝をついた。何故か笑い声が出て、お互いの顔を見て、衝動的に唇を重ね合った。この時、お互い、お互いの言葉を信じていたとジャメロは思っていた、なかばだが、あくまでも。

「領主夫人の座をゲットだよ。」

「ああ。」

 互いの顔を見て、ニッコリとした。

 魔王を倒して凱旋。ジャメロとエスパは騎士の位、領地は無し、と多額の恩賞。幾つかの特権も与えられた。彼が買い取った土地で、領主として統治できる権利もあった。それは、事実上、領地を与えられたのと同じだった。彼の姉妹達は、伯爵の爵位と領地と城が与えられたが、魔獣が無数に棲息する地域の平定が、同時に命じられた。誰もが死ぬことを期待されていると思ったが、4人は喜喜として受け入れた。勇者の正妻となった3人の大国の王女達の意思だと囁かれたが、同時に誰もがささやかなことだと解していた。魔王は倒され、勇者が凱旋したのだから。

 ジャメロは、購入する領地探しに明け暮れる中、薬草や魔法薬探し、薬の素材作りにとりくんでいたが、エスパに求婚した。

「騎士夫人、領主夫人として、どちらも名ばかり、ささやかだが、私と、この後の人生を過ごさないか?」

 彼女は、その時までは彼に纏わり付いていた。彼もそれが嫌ではなかったが。それが彼の言葉が終わる前にピクリと体を震わせ、彼から腕を外して、彼から距離をとった。そして、彼女は受け入れるとは言わず、

「実家の両親に伝えなければならないの。ダメと言われても、私の意志を通すから、大丈夫。すぐ戻ってくるから…、一ヶ月後には戻ってくるから。」

 その直前、何度も刹那的に見せた嫌悪の表情が瞬間現れたのをジャメロは見のがさなかった。

“しばらく見なかったが、やはりか。”

 エスパは、それっきりだった。戦いの中でお互いが幻想を見た、というところだろう。そう思っていたが、苦楽をともにする中で、異なるものが本当に生まれたかもしれないと信じたかったのも、事実だった。彼女が頷いていたら、

「俺は、あいつとささやかな幸福を、小さな領地で味わうことを選んでいたろう。姉さんたちや妹達を裏切っていたんだ。」

 それでも、一ヶ月後が過ぎても、彼女を待つ思いが彼にはあった。約束の日から、16日後全て準備が整ったので、

「明日、出発するよ、姉さん達の所に。」

 懇意にしていた教会の司祭長を通じて、姉妹達の手助けをしたいという申し出を勇者あてに出していたが、その許可も出たのだ。許可を受けなければならないという決まりがあるわけではなかったし、勇者へもそのことの手紙を書いていた。念のためである。勇者からは、意外なことに、彼女らを助けてほしい、大変であれば任を降りてもよいので、もし、限界だと思えたら、彼からも説得してほしい旨さえ記されていた。彼は、その真意に首をひねった。

「やっぱり、あのエルフ女は帰ってこなかったねえ。」

 さし向かえで座っている母のブリカがしんみりと言った。

「あいつは、勇者の命令で、半分は私に対するスバイ、監視役で、半分は私の世話役として送られた女だったから。本音がたまにでていたから、分かっていたよ。」

「それでも、求婚に頷いていたら、一緒になるつもりだったんだらう?そして、みんなのことは忘れて。何のかんのと言って、あのエルフ女との日々は楽しかったのだろう?」

 少し責めるようなきつい目つきで、質問するように行った

 ジャメロは、ギクリとして反論できなかった。うなだれるしかなかった。確かに、彼女と二人きりで野営し、食事をしたこと、皆で飲み食い、野営であろうと、居酒屋であろうと。宮殿の大広間であろうと隣り合せで、肩を抱き合っては杯を重ねたこと、ふと二人で並んで美しい景色にうっとりしたこと、苦しい戦いでお互い疲労困憊で互いに支え合った日々は、悪くなかったと思っていた。そして、この時ですら、彼女の体の感触も体臭もすべて覚えていたし、懐かしく思えていた。

 彼が1人居酒屋で飲んでいると、王宮の宴にいたはずのエスパがやってきて、勝手に隣の席に座り、ビールを注文し、彼と並んで煽るように呑み始めた。

「どうしてここに来たんだ?」

「いいじゃない。こっちの方が楽しいからに決まっているでしょ!」

 この時、王宮でハイエルフの他部族の貴族から、ハーフエルフ扱いされて、怒って、落ち込んでいたらしい。この場合は、ハイエルフのいうハーフエルフ、ハイエルフと他のエルフのハーフというのではなく、人間が言うハーフエルフのことである。すなわち、彼らにとってのダークエルフである。ハイエルフにとって、ハーフエルフ視されるのですら屈辱である。まして、ダークエルフとされるのは、侮辱、存在の否定以外の何物でもない。彼も毎度のこととは言え、姉妹達から、特に酷い扱い、態度を取られて落ち込んでいた。兎に角、二人は互いの心の中の深い傷を癒すように、痴話げんかに見える会話、やり取りやらで2人だけで、酒の杯を重ね、盛り上がった。そのうち、他の王宮の宴に招かれなかった勇者チームのメンバーがやってきた。その彼らに見つかり、

「相変わらず、お仲がおよろしいこと…。」

「お前らのそばは、暑苦しくてたまらんよ。」

「少しは恥ずかしいと思わないの?いつもベタベタしてさあ。」

「そんなに羨ましがるなよ。」

と散々冷やかされる中、

「私達二人は、最高のコンビだもんね。」

「ああ、二人で一体さ。」

と言い返し、皆の見ている前で肩を抱き合って、彼らとともに、さらに杯を重ねたものだった。それがとても楽しかったのは、事実だった。

 しばらくして、

「そろそろ行くか?」

「そうね。」

と二人は、手を握り、立ち上がった。

「まだ、夜は長いぜ。」

「よせよ。野暮なことは言いっこなしだ。」

「まあ、仲良く、頑張ってね。」

「街中を寝不足にしないでくれよ、お二人さん。」

「いや、子だくさんになって良いんじゃないか?」

「じゃあ、10カ月後には、街中おめでただな。」

「そうなるかもね、本当に。」

「うん、街のために頑張れ!私からも応援するわ。」

という声援(?)を背に二人は、肩を抱き合って居酒屋をあとにした。そして、彼の宿にそのまま彼女を連れ立って行き、そのままベットに。抱きながら見えた彼女は可愛かった。

 また、貴族の館の、市の公会堂のバルコニーから見た月や星は綺麗だった、彼女と肩を抱き合って、明日死ぬかもしれない戦いのことへの思いが互いに共鳴したせいだろう、星と同様に彼女も綺麗に見えた。互いに唇を自然に近づけた。そして、互いにの舌を絡ませて、互いにの唾液を互いに注ぎ込んだ。どこかのロマンスのヒロインと主人公のようにすら感じた。

「互いに、多分、ママゴトを楽しんでいたんだ。」

「責めて悪かったよ。本当なら、お前は、お前で幸せになってくれと言うべきなのに、言ってやれない。お前にだけに、苦しい思いばかり押しつけてしまって。」

 彼女もうなだれてしまった。そのまま、長い時間無言のままだった。

 彼女が、エルフ女と会ったのは二度だった。最初は、魔王との決戦に赴く直前、二度目は凱旋式の後である。姉妹達を母に合わせようと説得して連れて来た時に、エスパもくっついてきたのである。彼女のいる前では和やかにしていたものの、彼女が席を一瞬でも立つと、露骨に不快な表情をして見せた。

 決戦に赴く直前に、姉妹達に無理はしないように、凱旋式の直後、危険な使命を断ることを訴えた時に、彼が死んでもいいというふうに突き飛ばした姉妹達に、彼女が必死に抗議したことを聞いた上ですら母は、不快そうな表情を隠さなかった。勿論エスパのいないところでである。それでも、2人が決戦に赴くため出発する時には、

「2人で帰ってくるんだよ。」

 彼女が彼と荘園を物色に出かける時には、

「ジャメロを幸せにして。」

と彼女の耳元で囁いたのだが。心の底では、その方がいい、それを母として望むべきだと思っていた。自分自身同意できなかったが、彼女は。

 翌日、11歳の双子の子供とともに手を振って、彼女はジャメロを見送った。彼が、魔王討伐で得た恩賞で購入した荘園の管理は、彼女に任せていた。

 そして、彼に送られた荷には、彼女の短い手紙が添えられていた。

「あのエルフ女は来なかったよ。手紙も連絡もなかったよ。」

 当然だ、やっぱりな、分かっていたと思いながら、彼女と抱き合った時の感触を、ことが終わったあと涎を流しながら満足そうにしている顔、幸せそうにうっとりした顔が思い出された。

 ハイエルフは、若いまま長く生きると言われている。ある程度は事実だが、彼らをよく知る者達は、

「20に見えるようになる期間は人間と同じか、もしかしたら若干早いかもしれない。20になったばかりに見える60のハイエルフはよく見る。80で20代半ば、100で30代後半、その後は人間と同様か、やや早いペースで老化して、150のエルフは大抵100の人間より老化しているし、150のハイエルフは100の人間より少ない。確実に300のハイエルフは少数存在しているが、ほとんどが寝たきりだ。ただし、400で若々しいハイエルフが一人だけいる。」

 エスパが何歳なのかは分からないし、ハイエルフの貞操概念についても彼もよく知らない。手練手管の60歳のハイエルフだったかもしれないし、見た目とあまり変わらない経験がそんなにないエルフだったのかもしれない。それは、ジャメロには分からなかった。それでも、この時になっても、ジャメロは小柄な彼女を抱いた時の感触を覚えていた。

「俺は、皆を裏切り続けていたんだ。いや、今も、裏切りかけている。あいつへの未練が残っているんだから。」

 

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