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愛する姉妹を取り戻す  作者: 安藤昌益


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魔王の力

「ここでまぐあい、力を求めない、面白い人間の男よ。」

 玉石が語り語りかけてきたのは、二人の動きが止まり、ジャメロが力が抜けかけながらも、マラニアを抱き抱えて、床に何とか座りこんだ時だった。二人は玉石を見ると、光に包まれていた。驚いて、言葉が出なかったというより、マラニアは満足しきって、涎を流し放心状態だったし、ジャメロも頭が空っぽに近い状態だった。

「人間、ジャメロと言ったか、お前に魔王としての力を与えてやる。」

「魔族の、この女の方が適しているのではないか?」

 ようやく頭の回線がつながった彼が指摘すると、

「その者はお前に敗れたし、そうやって今も征服されているではないか。もはや資格はない。」

「複数の魔王候補なぞ嫌だよ、魔王の座をかけて戦うなんて願い下げだが。」

「お前以外に、お前に与える力は、与えない。お前が唯一無二の魔王の力を持った者となる。」

「それでは、私が勇者の討伐を受けることになるが。」

「お前が勇者に倒されようが、お前が勇者を返り討ちにしようが、我らの関知することではない。」

「俺は魔王にはならんぞ、それに人間達と戦うつもりはないぞ。」

「お前が力を得てから、どう行動しようとどう得た力を使おうが、それも我らの関知することではない。とりあえず、6人の者にお前に次ぐ力を与えることを承認してやろう。追加を望むなら、願うことだ、承認するかどうかはわからぬがな。以上だ。」

 その声はこれ以上は、問答無用と謂うように、それでいておもしろがっているように、終わり、玉石を包む光は消えて、一面の固まりかけた血と死体、それから発する異臭が二人の周囲にあるばかりだった。

 如何するか、ジャメロは少し悩んだ。すると、少し期待を込めて見上げているマラニアに気がついた。彼女のことを考えると、当面のやるべきというか、やったほうがいいことが頭にに浮かんだ。

「まず、マライアに力を与えよう。次に。」

 嬉しそうな顔になった彼女は、

「次は?」

「反乱軍と謀反人達を、一掃しようか。」

「魔王と副魔王が揃えば、楽なことだ。」

「そうだな。あ~、そうだな、この死体をどうにかしないとな、一応神殿なんだし。」

「外に飛ばせばよい。外に待っている奴らがいたら、それを見ただけで四散するやもしれん。」

“外にこいつの部下がいたのなら、のんびりと。”と思ったが、神殿はそれ程人数が入ることを許さない、という知識が頭に浮かんだ。“与えられる力は、知識も含まれるというわけか。”死体を外に飛ばし、こびりついたら血痕も魔法で跡形もなく消し去った。外を見る、自然にそんな魔法も使えた。外には、100人ばかりの将兵がいた。突然現れた死体に驚き、それが何者か分かると呆然とし、そしてパニックに襲われ、半ば以上が逃げ去った。残った者の半ばも逃げる機会を探し、残りの者の考えれはまちまちだった。純粋に仇を討とうと考えるのは僅かであった。彼は、ふっと笑った。

「魔族も人間達と変わらんな。」

「そうか?行こうか、魔王様?」

 悪戯っぽい表情を見せた彼女に、彼は頷いて見せた。

 彼らが神殿から出ると、もう既に翌日の夜明け前だった。姿を現すと、直ぐに襲われた。瞬殺だった。中には、とって替わろうという野心家もいたが。逃げ出した者達も全て殺した、無造作に出来た。残った連中、半ばは恐怖で腰を抜かしたように地面に座り込んでいた。一部は様々な表情で二人を見つめていた。その半ばが、炭となった。恐怖で誰もが凍りついた。マラニアだけが、わくわくして次を期待していた。

「お前達は、マラニア大公への忠誠心から、謀反人の討伐に協力したのだ。その功績への褒美も約束されたのだ。そして、これからも謀反人の討伐の先頭に立つ。いいな?」

 彼らは力無く頷いた。

「嫌なら死んでいった連中の後を追うか?それともマラニア大公の下で、高い地位を得るか、働きしだいでだが。どちらを選ぶ?私はどちらでもよいが。」

 厳かにジャメロは問うた。

「はい。存分に働きます。」

 一人が叫ぶと、次々に力を込めて叫ぶように答えがかえってきた。それを満足そうにみて、二人は頷いた。

「反乱軍も謀反人も一掃するか。」

 彼らに、知っている謀反人達の情報を言わせると、周辺に散り散りになっていた、マラニアの親衛隊を呼び集め、次々に攻めたて、壊滅させていった。時には、二人だけで瞬間移動して、壊滅させた。戦いの前、間に、後に、

「お前達は、マラニア大公への忠誠心のために、謀反人達を裏切り、奇襲して壊滅させたのだ」

と認めさせ、次の討伐から使った。それを繰り返した。謀反人達の情報から、彼らが反乱軍とつながっていたため、反乱軍の情報も入り、その拠点の位置が判明し、次々に潰すことが出来た。反乱軍の中から、適当に一部の命を助け、

「お前達は、反乱軍の大義名分に疑問を持ち、マラニア大公の下に来て、反乱の罪を許され、取り立てられる約束を受けて内通し、攻撃の手引きをしたのだ。いいな!そして、反乱軍の残党の摘発に励め。幹部以外は、抵抗を止めれば許してやっていいぞ。」

と命じた。

「我こそ、新しき魔王だ!」

 そう叫んで、挑んできた女魔族がいた。彼女の軍で最後だった。

「その力を見せてみるがいい。」

 彼女は、渾身の力をため、長い詠唱を唱えて、黒色の電撃を放った。

「こんなものか?」

 渾身の魔法を簡単に弾かれ、力が抜けて腰砕けのようになって地面の上に、しゃがみ込んだ魔族の女に、歩み寄ったジャメロは、見下ろしながら、

「お前が、反乱軍の壊滅の先頭に立って奮戦し、残党の討伐に、活躍したものとして取り立ててやる。これから、マラニア大公に忠誠を尽くせ。」

「は、はい。」

 失禁しながら、呆然として答えた。

「よし。いったん、マラニア大公の城に戻る。それから、人間達に使者を送れ、反乱軍はマラニア大公が一掃したと、反乱軍、謀反人達から造反者が出たことも勝因の一つだ、と付け加えろ。あっと、お前とお前と、そこの、お前らは反乱軍の残党の掃討をしてから、マラニア大公の城に来い、ある程度終わったと思った段階でいいぞ。」

 次々に指示をだすのが、大公ではなくジャメロであることに、誰も矛盾すら感じなかった。マラニア大公もそうだった。

「しかし、何でまた、反乱軍、謀反人討伐の立役者を作ったのだ?新たな魔王のお前がやったと言うことでいいだろうが?」

 その疑問に、

「私は魔王にはならないし、勇者に討伐されたくないのでね。」

「ふ~ん、そうか。」

 可でも不可でもないという表情だったが、反論はしなかった。

「で、我とともに帰って、我との甘い、甘~い新婚生活を始めて、その外には?」

 ジャメロが少し言いよどんでいると、

「お前の姉妹達のことだな。」

「そうだ。」 


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