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愛する姉妹を取り戻す  作者: 安藤昌益


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左腕を失い、左足を失い、顔の半分が 2

 最初に気がついたのは、やはりジャメロだった。

「オブリナ姉さんが戦っている。」

 続いてティティアが気がついた。ティティアは、攻撃魔法では超一流以上の使い手だが、それをより強力にする魔法も超一流以上だ。探知魔法はジャメロの方が、攻撃魔法では劣るが、彼女より上だった。超一流以上の剣士であるイメアも、戦いの気配を感じた。3人はその方向に馬を走らせた。ジャメロは、ティティアが加わっていたことを、神に感謝した。初めこそ遅れがちだったとはいえ、完全復活のイメアに加え、彼女が加わっていたことで、魔獣達との戦いがはるかに楽になり、結果として、歩みが速くなったからだ。彼女を失っていたら、より遅くなってオブリナも失っていただろう、その前に自分とイメアも死んでいたかもしれないと思った。オブリナは、矢が尽きているのか、礫を投げて戦っていた。ジャメロが大弓を、引き絞って矢を放ち、ティティアが長距離攻撃魔法を放つ。その援護の中に剣を振りかざしたイメアが突入した。コボルト型の魔獣の群れだったが、3人の攻撃で瞬く間に半分以下になってしまい慌てて逃げ去った。ホッとして駈け寄ろうとしたジャメロだったが、そう簡単にはいかなかった。 

「近づくな!勇者様に害する輩の情けなどはいらない。」 

 オブリナはそう言いながら、礫をジャメロ達に投げつけてきた。この時、彼女自身は彼がわたしていた軟膏を使い、飲み薬も飲み尽くしていた。彼女の場合は、呪い又は魔法は、絶対絶命の時に発動するタイプのものだったらしい。3人は、防御結界を強化して接近した。彼女が本気で、体調万全であり、左脚がないことに慣れていたら、そうは簡単にはいかなかっただろう。十分近づいてから、ジャメロとイメアが飛び出し、オブリナに躍りかかった。激しい闘いになったが、その時のオブリナでは2人相手ではどうしようもなく、瞬く間に押さえつけられた。ジャメロが上から除去の魔法をかけ、ティティアが直ぐにそれに加わる。イメアは、二人がそれに集中出来るように、オブリナを必死に、両腕、両腕脚でがっしりと押さえつける。何とかなった、と二人は思った時、オブリナはぐったりとなって力が抜けた状態になった。力なく目を開け、

「ジャメロ?どうしたの?ああ、来てくれたのね、遅いわよ、本当に。でも、嬉しいわ。」

 そこまで言うと、また目を閉じた。急いで彼女を担いで、彼女の、誰も居なくなって久しい砦に戻り、まず、彼が持参した薬を与えて、看病を始めた。着替えさせ、体を拭き、食事の準備を急いだ。“2人のおかげで早いな。”何となく、希望が持てるような気持がしてきたが、目の前のオブリナへの不安が強くなった。今までとは、イメアとティティアの場合とは異なるため、対処方が分からなくなったからである。

 目を覚ましたオブリナは、夢うつつというところだった。兎に角、空腹ではと考えられる顔色、肌色だった。スープを差し出すと黙って受けとって、黙々とスプーンで口に運ぶ。

「私、どうなっていたの?」

 少しぼかして説明することとした。一人でコボックの群れと戦っていたこと、助けに入った3人に攻撃したこと、砦まで連れて来て看病していたことを説明した。

「何故、一人でいたの?」

「やっぱり部下達が出ていってね、ここ2週間は私一人だったわ。」

 まずは、丸薬を飲ませた。体の回復にもなる。飲み終わってしばらくして、ようやく自分が足を失っていることに気がついた。鏡も手に取り、

「足がなくなって、顔にも傷が。こんなに醜なって。ジャメロ、こんな私なんか嫌よね?見たくもないわよね?」

 すがりつく彼女を抱きしめるしか彼には思いつかなかった。彼女は、本当は叔母にあたる。一番5人の中では、血縁的に離れた存在である。だから、一番控え目だった。あくまでも、他の3人と比較してではあるが。しかし、すっかり傷心していた彼女を見ると、彼女の望みを拒否することは、とうてい出来ることではなかった。

「ずっと好きだった。どうして、こうなったの?やっぱりあのエルフ女がいいの?そうよね、私、酷いことばかりしたものね。いいの、私が悪いのだから。」

 涙をたたえて見上げる彼女に抵抗できなかった。そのまま唇を重ね、互いの唾液がこぼれる中、そのまま一体となって、何度も彼女が達するまで動き続けた。

 オブリナの場合は、彼女の砦を出てから、自殺、殺すという衝動が何度も出た、自分自身で何とか押さえられる程度ではあったが。3人でそれぞれ異なることにジャメロは少し恐ろしくなっていたが、自分とティティアが二人がかりで除去魔法を度々かけていることも多少とも効果をあげているのではないかとも希望的観測もしていた。ティティアは、自分自身でも、瞑想でもするように自分の中に残っている呪い、魔法を探した。時々、それにジャメロも手伝った。イメアにも、ジャメロは除去、探索を試みた。何処までやれば完璧なのか、イマイチ不安だった。

 それでも、オブリナが加わって速度が上がった。彼女用の義足、兎に角何とか体を支えるだけの粗末なもので、ないよりましといったものだが、一日がかりだったが、その遅れも取り戻した。三人が4人になる分だけ戦闘力が上がるのではなく、総合力ははるかに上昇していた。

「やっぱりみんなで食べる食事は美味しいね、本当に。」

 4人で、焚き火を囲んで、あり合わせの材料で作った料理で食事をしている中で誰ともなしに、そんなことをぽつりと口にした。“あと一人が足りない。”と誰の頭にも浮かんでいた。

 そして、先を急いでいた彼らの目の前に、フラフラとおぼつかない足取りで歩くマナイアの姿があった。彼女の後方に様子を窺うように、距離を取って窺う蟻人間の一軍が見えた。彼らはマナイアが彼らに救われるとみるや、彼らに攻撃してきた。ティティアとオブリナの長距離からの攻撃、その支援を受けて斬り込んだイメアとジャメロにより、早々に後退した。それを呆然として、黙って見ていたマナイアはほとんど意識がなかった。その彼女を4人は彼女の砦まて運び込んだ。砦には、やはり誰もいなかった。

「皆、来てくれたのか?ジャメロ、お前が連れてきてくれたのだな?ああ、あのエルフ女はいないのだな?」

 目を覚ました姉はそれだけを言って目を閉じた。



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