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霊体と肉体

 家に帰ってきた。

 アパートの前で、掃き掃除してるおばさんがいたけど、死んでることはばれなかった。

 しいて言うなら、帰りがいつもより遅くなったことを心配されたぐらい。

 さて、いつもなら、これから夕食の準備をするところだけれど…私、多分食べる必要、無いよね?

 食欲もわいてこない。でも、味覚がどうなってるか知りたいし、試しに何か食べてみよう。

 なんかあったかなぁ。お、バナナはっけーん。

 食べてみる。うん、大丈夫。普通にバナナの味がする。死んでも五感は機能してるのかな?

 いや、多分これは感じてるのは、肉体じゃなくて霊体の方かな。なんとなく、そんな感じがする。一回肉体から出てみて、それで味を感じられるか試してみようか。よし、そうと決まれば出よう。おっと、肉体の方が倒れるところだった。

 優しく寝かせて。よし、実験だ。


 それから霊体と肉体の感覚がどんなのか確かめてみた。

 まず霊体。こっちはめちゃくちゃ優秀。どうやら私は、今まで無意識にこの体に制限をかけてたみたいで、「こんなのできないかな~。」と思ってやってみたら、かなりのことができた。そしてなんとなく、鍵を開けるイメージをしてみたら、一気に全部の制限が取っ払われた。なんか、すごく体が軽くなった気分。もうね、すごいよこの体。全方位見れるの。前後左右上下一度に見れるの。

 それに視力もすごく良いの。良いって言うか、これもう透視とか千里眼レベル。壁とかも透けて見えるし、遠くにいる人が読んでる本の字も読めるぐらい。他の感覚もそんな感じ。暑さ寒さは、感じられるけど、熱いとかは、わかるけど感じ無いね。火のついたガスコンロに手を突っ込んでも、熱いとはわかるんだけど、「熱っ」てなったりはしなかった。痛覚も似たようなもの。

 平衡感覚は、あるのか無いのかわからない。壁とか天井とかに足向けても特に違和感も無いし、試しに空中で滅茶滅茶に回転してみたけど、全然目が回らなかった。

 後、そのときに髪の毛は重力の影響を受けないことと、自由に動かせることがわかった。

 次に肉体。こっちははもう機能が殆ど死んでるってことがわかった。霊体の方の感覚を切って、肉体に入って感覚を繋げてみたけど、全くってわけじゃないけど殆ど何も感じなかった。

 針を刺したり、マッチの火を近づけると、そこそこ感じるけどね。靄で一時的に蘇生すると、殆ど生前と変わらない感覚を得られるけど、霊体の方が優秀だしなぁ。

 後、さっき食べたバナナは、胃が仕事しないから、霊体でも食べられ無いか試してみたら、できちゃった。

 いや、食べたというよりは、生気?みたいなのを吸いとった感じ。バナナの味がした。砂みたいな残がいが残ったから、腸にたまってたぶつといっしょに靄で回収して、外に捨てといた。…便秘じゃないよ。

 他にも、ペンライトで瞳孔の確認とかやったけど、見事に反応が無かったね。顔も青白くなってるし、心臓も動いてない。

 こんなとこかな?


 後は、腐らないようにしないと。まあこれは、なんとかなるはず。やり方は簡単。あの靄を体全体に満遍なく行き渡らせて、「腐るなー。」て思いを込めるだけ。しばらくすると、靄が定着するから、これでいいはず。なんかこの靄、思いを込めると、その通りの働きをしてくれるっぽい。制服の穴を塞ぐ時に気づいた。

 あっそうだ。この穴ちゃんと縫って塞いどかないと。

 裁縫道具どこいったかな~。



 よし、これでいいかな?靄で補強もしたし、もともとよりかなり破れ難く、汚れ難くなったはず。

 それじゃあ次は、宿題だね。え?幽霊なのにやるのかって?そんなの、やるに決まってるじゃない。

 それじゃあ始めますか。




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