表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

憑依って意外と簡単

「ひっ」

 花蓮の口から、ひきつったような悲鳴が漏れる。

 仕方が無いだろう。誰が自分の血濡れの死体を見て、何の反応 も示さずにいられるだろうか。いたとしても、少数派だろう。



「どうしよう。」


 漸く落ち着いてきた頭で考える。

 多分、私は刺されて死んだんだろう。そして、幽霊になったってところかな?

 この惨状から、あれが夢じゃ無かったことはわかる。もしかすると、これも夢かも知れないけれど、それならそれでやることは変わらない。と言うことで、その可能性は考えないことにする。今やるべきことは、自分の状態の確認かな?

 まず、足は…うん、ある。自分の足(死体の方)、すり抜け貫通してるけど。

 体は特に透けてたりはしてない。服も変わってなかった。

 物に触れるかどうかは、とりあえず包丁ぐらいは持ち上げられる。すり抜けるのも実体化するのも自由自在。

 息は、いくら止めても苦しくならなかった。多分限界はない。

 後、なんか変な”靄“が出せた。使い道は、今のところわからない。

 まあ、とりあえずこれで自分の体のことはだいたいわかったと思う。


 後は、”これ“かな。

 どうしよっか、この血濡れの死体。

 放置するのもなんだかなぁ。

 持ち上げるのは…あ、けっこう余裕だった。なにこの体。生きてた時より、絶対力強いよね!?

 まあ、ひ弱なのよりは良いけど、なんか釈然としない。

 とりあえず、持ち上げるのは簡単。後、何かできないかなぁ?

 う~~ん。

 そういえば、憑依ってできないかな?

 ほら、よく幽霊とかって、人に取り憑いたりしてるし。

 意識の無い死体、それも自分の体なら、けっこう簡単にできたりしないかな?やってみよう。



 結論から言うと、出来た。

 何て言うの?こう、入ろうと思ったら、つるんて。こう、つるんて入れたのよ。出るときも、出ようとしたら、にゅるんて。こう、にゅるんて出れたの。これも自由自在に出入りできる。

 そして憑依状態だと、自分の体(死体)を生きてた時と同じくらい、いやもしかするとそれ以上に動かせる。

 でもなぁ、私、お腹に穴空いちゃってるのよねぇ。

 血もだばだば出てたし、服とか血まみれなのよね。

 後、この地面の血溜り。これもどうにかしたい。絶対騒ぎになる。

 これもどうにかできないかな?

 あ、あの変なよくわからない”靄“って使えないかな?

 念力みたいに。まあ、やってみようか。

 えっと、とりあえず手から出して、これで血だけ掬うようにして……って意外と簡単にできるんだ。

 じゃあ、次は一気に全部掬って、どうにかして体に入れられないかな?えっと、入れ~~ってできた!?

 なんか拍子抜け。もっと難しいかと思った。

 あっ、ついでにお腹の穴治らないかな?

 こう、傷のところに靄を集めて……う~ん。なんか治りそうで治らない。何が足りないのかな?そうだ!靄を全身に満遍なく行き渡らせて、細胞とか色々動けーー!、そして治れーー!

 お、今度は上手くいった。どんどん傷が塞がっていって…うわぁ。

 もう治っちゃったよ。これで殆ど元通りじゃない?

 あ、そうでもないや。服とか破れてるし、血が染み込んでるし。包丁もまだ血まみれでそこにあるし、よく見ると、そこらの草とか小石とかにも血がついてる。これもなんとかできないかな?

 例えば、この靄をスポンジみたいにして吸収したり、とか。


 …出来た。

 なにこの靄!めちゃくちゃ万能じゃん!

 血って、染み込んだら洗濯してもなかなか落ちないのに。

 服の穴も、完全には塞がって無いけど、接着剤みたいにして、目立たなくは出来た。帰ったら縫おう。

 さて、包丁はどうしよう。なんとなく、放置しときたく無いんだよなぁ。でも、家で使いたくもないし、適当に置いといたら危ないし、なんかいい収納場所、無いかな?


 これ、靄に入ったりしないかな?靄に呑み込ませて…うわ、マジで消えた。取り出すのも…出来た。

 この靄スッゴイ便利。なんか死んだこととか、どうでもよくなってくるぐらいこの靄便利。

 これが何なのか、よくわからないのが少し怖いけど、まあ、便利だし、いいかな。危なくなったら、そのときはそのときだね。


 よし、そろそろ帰ろうかな。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ