三球目、異世界野球事情
説明回、色々と簡潔にしたかったのですが、
上手く書けてませんね。
※一部話の流れで抜けてるとこがあったので修正しました。2016/10/1
※再度おかしいところがあったので修正しました。見切り発車で書くとこうなる典型ですね。2016/10/2
どれくらい気を失っていただろうか分からないが、意識を取り戻した俺は心配そうに俺を見つめるジョージの胸倉を掴み、捲し立てるように根掘り葉掘り情報を聞き出した。
ジョージは胸倉を掴まれ揺すっている俺に少しも不機嫌になることもなく、一つ一つ丁寧に答えてくれた。
その答えは正直、俺には理解できないことばかりだったが、ジョージの周りのやつらの姿を見て、今ここに置かれる状況を考えると無理やりにでも納得するしかなかった。
人型なのに顔だけ動物みたいなやつとか、背中に蝙蝠みたいな羽根の生えたやつ、それにうにょうにょと蠢く明らかに人間と違ったやつもいた。この際あんまり考えないようにしよう。
「つまり、俺は試合中に倒れてそのままお亡くなりになった。それを見たお前たちは俺の魂とかやらをここに呼びだした。そういうことか?」
「ええ、その通りですショータさん。あなたは投球直後に身体に異常をきたし、そのまま亡くなられたのです。」
まぁ確かにあのとき俺はマウンドに立って得意の決め球を投げた。と思ったら身体の自由が利かなくなって倒れた。そうしたらここにいた。
なんだかよくわからないがそれほど時間が経ってないし、今でもはっきりと倒れたのは覚えているから納得するしかない。それにしても、俺死んだのかぁ。
「でだ、俺がそうなったのはそれとしてだ、お前たちはどうやってそれを知ったんだ?」
ひとつ疑問を口にしてみる。ジョージはよくぞ聞いてくれましたとニコリとし、黒い板のようなものを俺にみせた。ってかこれって…。
「はい、この魔法道具テレビであなたたちのことは知っていましたよショータさん。」
「おいちょっと待て、なんでテレビがここにあるんだよ。説明しろジョージ。」
またもヤツの胸倉を掴むはめになった。ってかジョージお前、やっぱ深夜の通販番組から抜け出して来たんじゃないのか。
テレビというこの場にはあり得ない物を介して、俺の脳みそにもようやくジョージ達の言う世界というものが分かってきた。端的に言えば、まぁうん、ファンタジーな世界だな。
こいつらの言葉を借りると、この世界…。イヴハストゥールというらしいが、なんでも数十年前まで血で血を洗う戦いに明け暮れていたそうだ。
多くの部族や種族が離散集合した結果、聖王軍と魔王軍に分かれ、一大決戦に及んだという。小学生の頃RPGゲームしてたからな、理解できているぞ、うん。
今まさに決戦の火蓋が切られようとしたその時、どちらの勢力にも属さなかった四人の賢者が二人の王の元へテレビを携えやってきたというのだ…。
四賢者は二王にテレビを見せ平和を、そして血の流れる争いに対し滔々と論じたとされる。そのとき画面に映っていたのが野球中継だったらしい。
聖魔の二王はその光景と賢者の論に恥じ、そして亜人や獣人、魔物と和を成す光景に感じ入り、鉾を収め和平に至ったという話だ。
……ごめん後半訳わかんない。ってか魔物とかって、それ球団マスコットのことか?まぁいいや。
ちなみに聖王様とやらは球団チアに大興奮だったらしい…。スケベだなジジィ、いや若かったのかもしれないけどさ。
魔王は魔王で野球にハマッて、別の中継に出てたメスのミノタウロスに恋をしたらしい。……何も言うまい。
どうやらこのときの試合は、奇跡的にも引き分けに終わったようだ。そこで二人の王は、決戦の結果を野球で決めようと話をした。四賢者も血の流れない戦いに同意し、どうせなら毎年行えばこの戦いと和平が長く語り継がれるだろうと助言した。二王は大いに喜び、野球と日本語を研究させ、ついにはプロ野球リーグを組織し現在に至った。
「と、いうことでいいのか?」
額に手を当てながら、俺はジョージの同意を求めた。
「はい、その通りです!」
ジョージ達は答えを反芻するかのように説明する俺を見ながら、終始笑顔が絶えなかった。というか獣人は兎も角、さっきから蠢いている物体はどこに顔があるんだろうか。でも時々、同意するかのようにくにくにと動いていたし、意思の疎通はできるみたいだ。
ようやく今の状況を理解した俺は本題へと話を進める。
「それでお前たちの歴史がどう俺に繋がるんだ?さっきドラフトとか言ってたし。」
そこへ蝙蝠羽根の生えたやつが割り込んできた。
「ここはわたしが説明しますね。先ず、イヴハストゥールのプロリーグは聖王リーグの6球団と魔王リーグの6球団に分かれます。各リーグの球団がおよそ、ええと…ショータさんの世界では五ヶ月くらいですね。総当たり形式複数回を戦います。その中で最も勝利した球団がイヴハストゥール覇者戦で戦います。そこで勝った球団がイヴハストゥール覇者球団としての栄誉を手にするの。ついてはショータさんには球団に所属してもらって、私達をリーグ優勝に導いて欲しいの。」
なんとなく似てるなぁと思いつつ質問を重ねる。
「なるほど、この世界でもこっちのプロ野球みたいなことをしてるってことか。それだったらなんでリーグ優勝なんて言わずに覇者になろうって言わないんだ?それに今気がついたけど、あんた女性か?」
それに対して、説明してくれた蝙蝠羽根の女口調が答える。
「ええそうよ。やっと聞いてくれたのね。私、南島バッツでスコアラーをやってるイビタっていうの、よろしくね。なんで覇者を目指さないかって話だけど、覇者戦は白黒付けすぎちゃうとまた戦争になるかもしれないから。なんて言うか、シーズン戦の余興って感じね。」
なんとなく分かった。まぁ、平和の象徴が戦争の引き金になったらたまらんわな。それにもし、戦争になっちまったら折角の野球もできなくなる。決着とか言いながら意図してタブー視してるのか。
まぁなんにせよ、そうやって平和が続いているのはいいことだ。
そんなことを考えていると、意を決したようにジョージがずいと割りこんで顔を覗かせた。
「で、ですねショータさん。本場の野球を知るあなたがですね。私たちにとっては運のいいことに目の前で命を落とされました。そこで急遽ですがあなたの魂をこちらにお呼びしたわけで。もし同意してもらえるのでしたら蘇生を施して私達の球団に所属して頂けないかなと思ったものでして。」
ああ、そういうことか。合点がいった。要はここにいる12人(と言ってもいいのだろうか…)は俺という選手を獲得したいのだ。将来有望な若手として。
というかノリがなんとなく助っ人外国人みたいな気もするが。
現実の世界では俺はそこそこの高校のそこそこのピッチャー、どう夢を見てもプロの舞台に立てそうにはない。そこに異世界とはいえ、全球団が俺を指名してくれているのだ。こんなにうれしいことはないし、ある意味俺の夢の一つが叶うのだ。あの一球のぷつりと途絶え、燻っていた俺の球児魂に火が付き始めた。
「よし、わかった。プロに入るぜ俺は。目指すはリーグ優勝だ。」
ここにいる皆が羨望の眼差しを俺に向ける。そして、おれは気がついていなかった。異世界の野球がどのようなものであるかを。
次回、ようやくドラフト会議になる予定です。