1話 お前おんな?
「ん・・・」
気がつくと寝ていたらしい。
視界は寝起きのせいかまだ霞んでてよく見えない
あぁなんだ、夢だったんかな〜るへろ、納得。
さて、んじゃ夕飯の支度そろそろしよっかな!
「よいしょっと。」
「あ、起きたのかよ。」
・・・上半身を起こしたままフリーズするあたし
腹筋がプルプルいってるけどそれすら気になんないってゆう
え、誰よあんた。
なんか金髪だし、なんかメッシュしてるし、なんか不良っぽいし、
そして何より、、、
「なんで、スカートまくってんのよーーーーーー!!!!」
「うわうっせえ。黙っとけよ今ちょうど柄が見e「ざけんじゃんねぇこの腐れチンピラ!」ドスッ
チンピラの顔にあたしの拳を叩き込む
しかしこのチンピラ意外とタフなのか怯んだ様子もないびっくりはしてるけど
「いてぇじゃねえかくそ暴力女め。見た目も下着も可愛くねえけど中身も相当だな」
「んなっ!?」
ブッチィン!!
こめかみの神経がブチ切れた
「・・・っ黙って聞いてればこの変態が!!叩きのめして警察にブチ込んでやる!」
そういいながら振り上げた右拳がなんなく受け止められる
こいつっ何者!?
「落ち着けって可愛くない女。・・・てかお前改めて女?」パーン!
左手で平手打ちをキメる今のは結構効いたらしい
もみじの形がくっきり付いたほっぺになってる
「分かった分ーかったよホンット可愛くねぇ女!マジで助けて損したぜ!」
チンピラがケッと吐き捨てる様に言った言葉の中に、すんごく違和感を感じるフレーズを聞いた気がした
「・・・助け、た??」
「ふんっ信じてねぇなおま「当然だろこの変態チンピラ!たった今あたしを襲おうとしてたくせに!」
奴の言葉を遮って叫ぶ。
こちとら生娘だぞおい!
「はぁ!?襲おうとなんかしてねえ!下着見ただけだろ!?あ・り・え・ね・え・よお前なんか!
まだファイブといちゃつく方が可能性あるわい!」
「んだとてめえ!!!」(ここでなんですって!という言葉が浮かばないのが勝子流…)
またムカついてきて反論しようと口を開いた瞬間。
斜め上から声がした
「セブン、、、きみ夜中に、、、なんて大声で叫んでんの、、、」
続いてもぞっと動く様な音がして
始めてそこに二段ベットがあったのかと気づいた。
上の段から、男の人が覗いてきて、バチリと目が合う
「え、、、、なに?その子、、、女の、子?がなんで?
なんで女の子?なんだよ。なんでハテナなんだよ。
「俺が森で拾ってきたんだよ能天気な馬鹿面さらして眠ってたもんだから」
「なっ馬鹿面って!あんたに言われたくない!!」
イーッと噛み付く勝子をフンッと無視するセブンという変態チンピラ
ホンットさいてい!!
「森でって、また、、、脱獄したのセブン。よくもまぁ体力もつね、、、眠くないの、、、」
「人生の2分の1が睡眠のファイブからしたらそりゃあ驚きもんだろうよ。」
どうやら上の段の男がファイブらしい、、、
あれ?つまりあたしは男に比べられて負けたのか?あ?
不意にむかっ腹がたつが、
いや!この変態に見初められるのも嫌だろ!
ダメだ、一旦冷静になれそんで、
今の状況を把握しよう。
この変態の話からして、あたしは森にいて、そしてここは、、、
【また、、、脱獄したのセブン。】
ファイブの言葉を思い返し、よく、咀嚼する。
脱獄?・・・脱獄。つまり、獄を脱する。
獄っていうのは牢屋のことである。
そしてその中にいる人は、法を犯しちゃったぜ★って人で、
つまり、、つまり、こ、こいつらは、、、
「ん?どうしたんだよ可愛くねえ女。黙りこくって、震えてるし」
聞いても答えがない。
ただその瞳が潤ってくる。ふるふると、先ほどまで強気に満ちた瞳が余りにも儚く涙をためていく。
薄く桃色に色付いた厚くぽてっとした唇がキュッと引き結ばれた
それを見た瞬間セブンは自身のなかにゾクゾクッと熱い痺れがほとばしるのを感じた。
訳も分からず、その愛らしく見える唇に触れたくなる
その涙を止めてやりたいとさえ思っていた。
「おい、、、女。」
戸惑いがちに呼びかける
「だ、、、、だ、、だ」
「……だ?」
予想外の言葉にセブンはみるみると冷静になっていく
なん、て事考えちまってんだ俺は!コレに口づけとかアホか!キショ過ぎだっつーの!(汗
自ツッコミを散々にして、勝子を再び伺う。
「おい、とりあえず泣かれたらウゼェから、
俯く勝子の様様子を伺う為にセブンは勝子の肩にそっと触れようとした
しかしその手は激しく弾かれる
「黙れこの変態チンピラ性犯罪者ぁぁあああ!!!!」
勝子、記念すべき第一回めの精神ブレイクであった。
一息にそう叫ぶと糸が切れたように勝子の身体がゆっくりと傾いて行く
ポッカーンとしていたセブンがハッと気づき倒れこむ前に片腕で受け止める
「あっぶねぇ、、、て、ぅおい!性犯罪ってなんだこら!勝手に罪状決めてんじゃねよ!」
「、、、、セブンうっさい、、、その子もだけど、、、なんも説明してない、、、の?」
上の段の柵からジトリと俺を睨みつけてくるファイブ。
「ああ?説明ってさっき目ぇ覚めたばっかだぞ?しかもキーキー騒いでてうっせえし、説明の暇がどこにある?」
キーキー騒ぐ根源となった男がよく言う、、、とファイブは呆れる。
「まあ、まだ、、、日はあるし。ゆっくりと、、、仲良くしてけば、、、?」
途端、セブンの顔に動揺が走る
「な!仲良く…だと!?バカか!誰がこんな女と!」
「拾ってきたって、、、事は、興味は、、、あるんだろ?」
「ね、ねぇよ!あったけど失せたわ!あ、明日には森に捨ててくんよ!もういい!てめえも眠ぃならとっとと寝ちまえ!」
「は~い、、、よ。」
ファイブは友人をからかうのを諦めると、大きな欠伸を一つして瞼を閉じた。
そう言いつつも、女の子の身体を自分のベッドに横たえてやる友人に少し驚きながら。