拙い文章でございます。
「貴方にとって、正義って何?」
そいつは、俺の目を見てそう言った。
全く持って動じない目。その視線は、ここに立つ俺を永遠と硬直させてしまうように――冷たい目だった。
答えを求めているわけではなく。
自分が正しいと決め付けるための、ただの屁理屈に過ぎないのだろう。
俺は、ゆっくりと口を開いて、答える。それを聞いたそいつは、
「……そう。それも正しいのかもしれない。でも、それは貴方の持つ正義の存在理由であって、他人には関係のないこと」
ニヒルな笑いを示しては、そいつは俺から視線を外した。
「結局、正義ってそんなものなんじゃない? 誰かが語れば正義は変わる。誰かが持つことによって正義は変わる。正義って 、変幻自在の弱弱しいもの。貴方がそう言うなら、それで正義は確立している。でも――」
そいつは、俺に向かって続きを話す。
全く。なんてつまらないへ理屈なんだろうか。
正義だの何だの、そんなものを口にすれば自分は正当化するとでも思っているのだろうか。
とんだ間違いだ。
俺は今すぐにでも、それを指摘したかった。
したかったけども、できないのだ。
「……」
俺は沈黙を続けながら、そいつを睨む。
動けない。
そんな状況に置かれている俺が、今果たしてどれほどの我慢をしているのかと考えると、それはきっと限界突破寸前のライン の上を踏み込みそうな感じ。後一歩でも踏み込んでみろ、俺の限界は爆発するぞ、みたいな。そんな感じで。
俺は、そんな感じで、怒りを示していた。
「怖い顔。貴方もそんな顔するんだ。……まるで人殺しね。その目つき。そして震えている拳。何? そんな顔して、何になる の? そう。何の変わりもない。貴方はただ、そこでじっと――哀れな悲劇を見つめておくだけ。いいえ。悲劇じゃない……」
そいつは、もう一度、俺を見た。
そして言った。
ふざけた冗談を。
「《ヒーロータイム》、をね」
いや。そいつにとっては――本気なのだろう。