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主人公視点に戻ります
☆視点戻ります☆
「お義母様っ、どこか変じゃないかしら?」
「エリエッタ、大丈夫よ。学園の制服良く似合っているわ」
今日は王立学園の入学式だ。
黒を基調としたワンピース。大きな白い襟に、赤い大きなリボンの制服だ。ふわぁっと広がるスカートの裾にはぐるりと2本の白いラインが入っている。
白っぽい色じゃないのは、汚れが目立たなくていいわね……っと、考えて首を横に振る。
小さな子供が掴み食べした手やどろんこ遊びした手で服を触るわけじゃないんだから!発想がおかしいわよね。うん、我ながらおかしなこと考えた。
「なんて素敵なんだ」
食堂で私とエリエッタの到着を待っていたリードルが、姿を目にしたとたんに声を上げた。
「そうでしょう!エリエッタはいつものドレス姿も素敵だけれど、こうして黒い色の制服もとても似合うのよ!」
うちの子可愛い。うちの子最高。でへへ。
「お義母様……可愛い」
リードルが私のところに歩いてきてぎゅっと抱きしめた。
いやいやいや、普通は親が、子供が入学するときって立派に成長したわねってぎゅってするところだと思うんですが……!
あれれ?
……遺伝子の差なのか。
リードルおよそ180㎝、エリエッタ165センチ、私150㎝……。
そう言えば義弟や義妹もリードルやエリエッタくらい身長あったなぁ。なぜ、私だけちびっこ?
で、でも、実年齢だけは負けませんよ!うぉっほん!
「ちょっとお兄様、私のお義母様を独り占めしないでよっ!もう!」
エリエッタが、私の体を包んでいたリードルの腕をべりっとはがす。
ふふ。もう、二人とも5歳に戻ったみたい。可愛いなぁ。
可愛い。可愛い。
でも、そうしていつまでも可愛い子供だと思っているから……私ってば、うっかり、二人は大人になって私の手を巣立っていくということを後回しにしてしまったのかもしれない。
婚約者を探さないと!
私のように行き遅れなんて誰にも言わせないんだから!
義娘のエリエッタと同級生として学園へ通うなんてちょっとどころかかなり恥ずかしくはあるんだけれど。
若い貴族の令息令嬢が集まる、婚約者探しにはもってこいの場を逃すわけにはいかないのです!
ちょっと会った程度では分からない人となりが、学園生活では丸裸になると思うんですよ。さすがに、顔合わせやお茶会や舞踏会などの短時間の接触じゃ、猫をかぶりとおすこともできるでしょうが、毎日何時間も過ごす学園生活ではぼろが出るはず。
ん?
「そうだわ、ぼろを出さないようにしないと!エリエッタも、リードルも、私のことをうっかりお義母様と呼ばないように注意してね!」
エリエッタが頷いた。
「リアって呼ぶわね。それともリアちゃん?」
ちゃん?
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寒くて指が凍える……。




