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★視点戻ります★
「あら?なんだか今日はちょっとざわついていますね?」
ざわつくというより、ソワソワした感じがあるというか。
「リア様、今日の剣術の授業の指導に、騎士団長様がいらっしゃるんですわ」
情報通のクラスメイトが教えてくれる。
「へぇー。……って、何故剣術の授業を受けない女子までソワソワ?」
「それは、もう、騎士団長様の麗しいお姿が拝見できるかと思うと……」
「ええそうなんです。今日は1日学園でお過ごしになりますから、どこかでお姿を眺めることができるかもしれません。食堂にいらっしゃることもあるでしょうし」
きゃあきゃあと嬉しそうに話をする女生徒たち。
そして、男子生徒も雲の上の騎士団長から直接指導が受けられるということで緊張するやら嬉しいやらでソワソワしているようだ。
「エリエッタ、騎士団長ってどんな人なんだろうね。男女共に人気があるのってすごいわね」
「え……っと、おか……リアは知らないの?だって、えっと、……名前とか……」
エリエッタがびっくりした顔をしている。
あれ?こんなに人気があるのに、知らないのっておかしい?
……まさか……若い子の話題についていけない状態になってます?
「エリエッタ、こっそり見に行きますか?どんな方か」
そう言えば、騎士団長は独身で、少し年が離れているけれども結婚相手として素敵だみたいなことを青薔薇会メンバーが言っていたような……。とすると、エリエッタのお婿さん候補ってことに?
騎士団長というくらいですから、もちろん剣の腕前はすごくて強いはず。
と、いうことは、もし悪い人が来ても守ってもらえる。
私の可愛いエリエッタを守ってもらえる……理想の旦那様?
うお、これは是非どんな人か見てみたいところです。
「おか……リアまでソワソワして、まさか、騎士団長に興味を持ったんですか?いやです。見ない方がいいです。会っちゃだめです。やめておいた方がいいですって。お義母様……なるべく教室から出ないように今日は過ごしましょう、ね?」
エリエッタがなぜか騎士団長を避けようと提案してくる。
「何?エリエッタは他の人と違う嫌な噂を知っているの?」
「お義母様が取られちゃうっ」
「は?」
エリエッタがちょっと考えてから、私の目を見た。
取られる?どういうこと……?
「あ、もしかして、リードルと毎朝鍛錬しているからって、騎士団長とも剣の稽古始めてエリエッタと一緒にいる時間が無くなると思ったの?さすがに、騎士団長に剣の稽古を頼むようなことはないわよ」
まぁ、でも、もし、エリエッタが騎士団長と結婚したりしたら、私の義息子になるわけだから一緒に鍛錬することも……。
あ、やっぱりエリエッタだけ一人にしちゃうかもしれない。




