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「僕たちの子供?」
「ええ、やっぱりエリエッタもそう思うわよね。リードルは誰か思い人がいるんじゃないかと……。お兄様を誰かに取られるような気がして寂しいのね。でも、応援しなくちゃね。……それにしても、誰かしらね、リードルが僕たちと思わず言ってしまう……将来結婚まで考えている女性って……」
首を傾げると、エリエッタが私の手を握る手に力が入った。
ぎゅっと痛いほど握りしめている。
「糞兄貴……なぁにが、僕たちの子供だ……ああ、そうだわ……良いことを考えた」
ぶつぶつとエリエッタがつぶやいている。それから何か思いを吹っ切ったように、笑顔になった。
「もしかしたら、王女様かもしれませんわ。ほら、お兄様と皇太子殿下って、怪しいほど仲がいいでしょう?それって、もしかしたら皇太子殿下が王女とお兄様が恋仲であるのを手助けしていらっしゃるのかも」
「え?王女様……?確か、まだ学園に入学前の10歳だったのでは?」
「だから、言いだせないのでしょう。そう、お兄様はきっと、お父様とお義母様が年が離れていても幸せそうな様子を見て育ったから、年の離れた結婚にあこがれているんですわ。ええ、だからね、王女様とは少し年が離れていますし、仲のよい皇太子殿下に似ていると噂ですから、将来を考えているんじゃないかしら?」
えええええ!
そうなの?そういえば、殿下も、リードルに似た女性が好きみたいなこと言っていたし、そうなると、リードルだって、大好きな殿下に似た女性が好みという可能性は大いに考えられる……。
ひゃー。もしかして、大本命は実は殿下で、でもお互い家を背負う責任のある立場だから男同志でどうにもならず……。
「と、いうことは、エリエッタ、あなた皇太子妃に一番近い女性じゃないのっ!」
リードルに似た女性の筆頭といえば、エリエッタです。
「はぁ?ちょっと、お義母様、ありえませんよ?」
いやいや。ありえなくない。
やだ、どうしよう。エリエッタが王妃になって、リードルは王女を奥様にもらって……ってなったら、孫がみんな王家の血を引く高貴な人間になる。
となると、ちゃんとした乳母に面倒を見てもらうとなって、お義祖母ちゃんの出番が……。
「エリエッタ……子供の幸せを願うのは親としては当たり前なのに……。私、我儘を言ってしまいそうだわ……。リードルに王女様が嫁いできてほしくない……」
エリエッタが驚いたように立ち止まった。
「まさか、お義母様……お兄様のこと……」




