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「……お義母様、こんなに剣術の腕が……」
「ふふ、まだなまっているけれどね。昔は女騎士になりたかったの。まぁ、これで安心した?私は簡単には死なないわ。リードルとエリエッタの子供を子の腕に抱くまでは絶対死なないからね?」
義孫の顔を見るんだ。出来れば孫が成人するまでは生きていたい。
「やだよ、子供を産んでも死なないで。子供は欲しいけど……リアが子供の顔を見て満足して死ぬくらいなら子供はいらない」
はい?
「いやいや、死なない、死なない。リードルの子供が成人するまで死なない」
リードルがぎゅっと私を抱きしめる。
「僕たちの子供が成人して子供を産むまで死なないで」
ん?僕たちの子供?リードルと奥さんになる人のってことかな。
もしかして、もう誰かを思い浮かべながら話をしてる?ええ?
リードルにそんな人が?!
それにしても、リードルの子供が子供を産むまで?それって、孫じゃなくてひ孫!うわー、そこまで私、生きていられるかな?
いや、現状、15歳(仮)なんだから、問題ないのか!
そっか、私……義ひ孫の顔も見られるかもしれないのね?
すごい!幸せ者だわ。
「早くリードルの子供の顔が見たいわね」
「じゃぁ、部屋に戻ろう」
にこっとリードルが笑って私の手を取った。
「ああ、ごめんなさい、リードル。鍛錬初日だというのにちょっと体を動かしすぎて疲れたのね?早く部屋に戻りましょうか」
「いや、全然元気だよ、むしろやばいくらい元気」
アドレナリンでも出てるのかしらね?
「お義母様ぁ、おはようございます。朝食の時間ですわ!」
エリエッタが小走りにかけてきた。
かわいいわ。エリエッタ朝から。いえ、美人さんと言わないとだめかしらね。朝日を浴びてキラキラと輝いてる。天使というより女神ね。
エリエッタが、リードルの手から私の手を奪うようにして握る。
「行きましょう、お義母様!」
「くっ、エリエッタ……」
「お兄様と何の話をしていたの?お義母様」
「ああ、子供の話を」
「はぁ?こ、子供?いったい誰の、誰の子供の話ですか?まさか、お義母様……私とリードル以外に子供を持とうなどと……いえ、まさか、子持ちの男と再婚するとか、むきー、誰ですか!ゆ、る、さ、な、い!」
あら。本当にエリエッタは嬉しいことを言ってくれるけれど……。親離れ子離れしていかないと駄目よね。
「エリエッタの子供の顔が見たいという話よ。私にとっては義孫になるでしょう?孫の顔を見るのが私の夢。そうしたらね、リードルが、僕たちの子供の子供の顔も見てくれって」
エリエッタが真っ青になった。
「は?」
あら?真っ青な顔をするというのは……。




