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入学式には在校生も出席している。
3年生が圧倒的に多い。特に男子。
2年生は半々くらい。総数としては3年生の8割くらい。1年生も総数は8割くらいだけれど、こんどは女子の数が多い。
……あれ?私と同じくらい背の低い子も何人かいるじゃない?というか、15歳には見えないような子もいるわね。これなら特に私が悪目立ちすることはなさそうですよ。
壇上に、生徒会メンバーが現れた。
皇太子殿下の登場に、会場割れんばかりの黄色い声。
次にリードルが現れ、再び会場が黄色い声に包まれる。
皇太子殿下よりも大きな声だった気がする。
のこり3人が現れる時にはほとんど黄色い声も野太い声もない。うん、うちの子が一番だった。満足満足。
入学式が終わると、生徒会主催の新入生歓迎パーティーが始まる。
立食形式のパーティーで、ダンスフロアもある。皆制服を着ているけれど、楽団も準備されていてちょっとした舞踏会だ。
……生の音楽演奏を聞くなんていつぶりだろう。
もちろん、エリエッタとリードルのダンスのレッスンはピアノ演奏者を御願いしていたけれど……。ピアノ以外の楽器もある音楽。
「お義母様、ダンスを」
リードルが、私とエリエッタの元に来て手を差し出した。
「え?私?」
首をかしげる。
リードルを見ている女生徒は多い。
他の人と踊ったらいいんじゃない?
「ああ、いた。聞いたよ、リアちゃん。今年から、リアちゃんがこの学園のトップなんだって?」
リードルの手を取るのを戸惑っていると皇太子が現れた。
「ええ、そうですわ。この学園の女子生徒の中で、一番はおか……リアです!」
エリエッタが胸を皇太子に胸を張った。
「そうですわよね、お兄様」
エリエッタの言葉にリードルも頷いた。
「もちろん。エリエッタよりもリアが一番だ。一番……大切」
これこれ、リードル。大切だと言ってもらえるのは嬉しいけれど、実の妹の方が大切でしょう。血のつながった唯一の家族なのですから。まぁ、逆に、血がつながっている大切な家族だからこそ、気を使うことなくずけずけと物が言えるというのもあるんでしょうね。
「じゃぁ、ファーストダンスよろしく」
「「「え?」」」
殿下がすっと手を伸ばして片方の手で私の手を握り、もう片方の手を私の腰に回した。
「殿下っ!」
リードルの焦った声。
「ちょっと、お兄様、どういうこと?」
エリエッタがリードルに詰め寄っている。
そう、本当にどういうことなのっ!
きょとんとして皇太子にエスコートされてダンスフロアに連れて行かれる私に殿下がにこやかに笑いました。




