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操ってはいませんよ?
「普通は、敵対するような相手……でしょうに……」
はい?敵対?誰と?
?
「はっ。エリエッタ、いくらお兄様より皇太子殿下が好きという相手がいても、お兄様の方が素敵なのに、失礼よ!って敵対なんかしてはだめですよ?いくら、本当に、事実、お兄様のほうが……リードルのほうが皇太子殿下よりも何百倍もむぐぐぐぐぐ」
エリエッタに口を押えられました。
「お義母様、事実だとしても、不敬です。不敬。大きな声で言っていい言葉ではありませんっ」
エリエッタが耳元でささやきます。
はっ!そうでした。いくらうちの子が一番だと思っていても、表向きは一番は皇太子殿下と言うことにしておくべきなんですよね……。
「くすくす。兄妹仲がよろしいのですわね。問題ありませんわよ。学園の中での、誰が一番という話は問題になりません。剣術の授業で誰が一番になるかといった話などいつものことですわ。もちろん殿下に忖度して一番を取らせるような生ぬるい授業をするわけもありませんので……」
「そうですわ!特に月に1度指導に来てくださる騎士団長様は手を抜かれている生徒に対しては容赦いたしませんもの」
「ああ、騎士団長様もまだ独身でいらしたわね。リストに書いて置かなければいけませんわ」
「騎士団長様!10も年が離れていますし、騎士爵と格下ではありますが騎士団長様のところにならぜひ嫁ぎたいですわね!」
「本当ですわ!確かに!ほかにもちょっと年が離れていても素敵な方もいますわよね!」
きゃあきゃあと
「秘密結社、よりよき婚約者探しのための情報収集隊活動、皆様で頑張りましょうね!」
「おか……リア、人聞きの悪い名前はやめてください。なんだかとても結婚にガツガツしている人の集まりみたいです」
あら?そうかしら?
「そうですわ、青い薔薇の花ことばは、神の祝福と言いますわ。私たちに神の祝福があるように『青薔薇会』と呼ぶのはどうでしょうか?」
レーゼレーラ様が目を輝かせている。
「あら、秘密結社っぽくどんな活動をしているのか分からない名前になっていいですわね。安易にピンクや赤の薔薇じゃないところが気に入りましたわ」
エリエッタが満足げに微笑んだ。
二人が楽しそうならそれでいいか。
「では、秘密結社青薔薇会に神の祝福があり、より良き伴侶を見つけられますように!」
私の言葉に、皆がしっかり頷いたところで、入学式開始までまもなくとアナウンスがあり急いで講堂へ向かった。




