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「そうですわよね!私は仕事熱心で寝食を忘れてしまうような方をサポートできればと思っております」
1人が声を上げると、他の子が口を開いた。
「まぁ!でしたら、手広く商売をしている商家に嫁いでも幸せかもしれませんわね」
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「ええ。貴族社会よりもそちらの方が私には向いているかもしれません。元々私は貴族と言っても男爵ですから……商人へ嫁ぐ可能性も大きいのです。無理に貴族であり続けるために……嫁の来てがない何か問題のあるところに嫁ぐよりは……」
ぽんっと手を叩く。
「親としては、貴族であり続けられた方が幸せだと……庶民になるのはかわいそうだと思っているかもしれませんわね。だとしたらやはり、この方よりはこちらの方がよいというようなことは主張してもいいかもしれませんわ。この方は女性にだらしなく、暴力も振るうという方に嫁がせたい親なんて居ませんもの!」
いや、現実はいないとは言い切れませんけれど……。
私の父は……どちらだったのでしょうね。私の幸せを願って持って来た縁談なのか……。単に辺境伯とのつながりが持ちたいだけで持って来た縁談なのか……。寡黙なうえに、忙しくあまり家にいなかったため、父とはあまり話をすることはなかったので分からないんですよね。
伯爵家としては……。実子は私だけでした。女性に継承権はないため、直系男子に伯爵家を継がせるためには……。義弟も継ぐことはできない。父の兄弟かその子供……誰が継ぐことになるかは分かりません。どちらにしても私とは親しい立場の人ではないため、もし父が早くに亡くなり、行き遅れの私がずっと家にいた場合……。親切な方ならいいですが、そうでなければどんな扱いを受けていたか分かりません。伯爵家を継ぐ予定の人の人となりを父が知っていて、私が後に酷い扱いを受けると想像できたから、私をそれよりはマシな環境だろうと辺境伯に嫁がせたのかもしれません。
うーん。
「出入りの商家にも探りを入れれば情報は集まりますわね。どこそこの跡取りはどうとか、新しく力をつけてきた商家はどうとか……」
「そうですわね!私の姉は公爵家で侍女をしておりますので、上位貴族の集まりなどもあります。その方々の情報は姉に聞いてみます」
「私の兄は騎士です。騎士の情報なら得られると思います」
皆の目が輝きだした。
「他の女生徒にも声をかけて情報を集めましょう!すでに婚約者がいる方には、婚約者の交友関係等からも情報が集まるかもしれません」




