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……そう言えば……。
「そうよ、おか……私の大切なリアはすごぉーくかわいいの。虐めたくなるほどかわいいって思うわよね?かわいすぎて誘拐して閉じ込めちゃいましょうって思う悪い人もいるかもしれませんわよね?」
いやいや、確かに、会ったばかりのころのエリエッタはまさにそうだった!
天使のようで、かわいくて仕方がなくて、誰かに連れ去られやしないかと屋敷の外に出すまでに5年かかりましたね。貴族令嬢ということで護衛付きで外出するにもかかわらず、心配はつきませんでした。
……あら?
エリエッタったら、もしかして私の義姉設定ということで、義妹を心配する演技をしているのかしら?その演技の元となるのが私の姿なら……悪い人間がいるかもと心配しすぎるとなっても仕方がありませんね……。
でも、ここはちゃんと指導しないといけませんわね。
「いいですか、かわいくても虐めてはいけませんよ?それからかわいい子には旅をさせろともいいます。あまり過保護にしすぎても駄目なのです。かわいいと思ったら、陰から見守りながら、必要な時に手を貸してあげればいいのです。難しいですができますか?」
5人プラスエリエッタがぴしっと背筋を伸ばした。
「はいっ、必ずや守らせていただきます!」
ん?私の言いつけを守るってこと?
しかし、なんだかとても素直に私の言うことを聞くのでびっくりしました。……って、あれ?
確か、のっぽ先輩かその隣の先輩か忘れましたが……。何も知らない新入生を指導してさしあげるとか言ってましたよね……。
もしかして、学園トップの地位にある女性には、そういう生徒たちを指導するという役割があるんでしょうか?
だとしたら……エリエッタが自分ではなく一番偉いのはお義母様というのも分かります。荷が重いですよね。
私にも荷が重いですが……。まだ、22年間子育てで培った経験がある分何とかなるかもしれません。生徒全員がリードルやエリエッタのようなもの……自分の子供だと思って、悪いことをしたらメッってすればいいんですよね。
あら?
子供が一度にたくさん増えたと思うと、それはそれでちょっと嬉しいかもしれません。
ふふふふ。ふふふ。
と、それでも私はリードルとエリエッタの義母ですから。どうしても全員平等と言うわけにはいきませんが……。そうして、二人の婚約者を探すという目的もありますし。
あ、そうだ。目的目的。
「えーっと、私は本当に色々知らないことばかりだから、名前を教えていただける?」
もう一度尋ねると、今度は素直に教えてくれた。
のっぽはアン。男爵令嬢。その隣が……うおう、私の脳みそだと覚えていられないかも……。取りあえずでも、欲しい情報を手に入れて必要なところだけしっかり覚えていればいいわよね。
一通り名前を聞いたところで本題。




