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「まさか!私はそんなことを命じてはいませんわ!この者たちが失礼なことを言ったことはお詫びいたします」
「も、申し訳ございませんでした」
「どうかお許しくださいっ」
頭を深々と下げる5人を前にエリエッタが声をはった。
「私が発言を許したのは、誰がこの学園で女性で一番偉いのか言うためです。謝罪の言葉を聞くためではありません。さぁ、さっさと答えなさい!」
エリエッタは怒らせると怖いんだよね。でも、何でそんなに怒ってるのかなぁ。
皇太子に近づくなと言われたことに?いやいや、それはないわよね。
リードルと兄妹だとすぐに気が付いてもらえなかったことに?田舎者だと言われたこと?
「エリエッタ様です」
ぼそりと小さな声で5人のうち誰かが答えた。顔を下げているので口の動きが見えなくて声では誰か分からない。
「聞こえませんは、もう一度」
「エリエッタ様です」
「エリエッタ様が今年からは学園で一番位が高い女性となります」
「皇太子殿下、リードル辺境伯についで偉いのはエリエッタ様です」
今度はしっかり聞こえる声で5人が口々に言いましたが、エリエッタの不機嫌が増していく。
「違うわ。あなた方はまだ間違えている……」
エリエッタの怒りをにじませた声に、5人が身を縮めた。
え?間違ってる?もしかして、王女様が入学するなんて聞いてないから……実は王妃様が若返って同級生に?!
って、そんなわけありませんね。ということは、公爵令嬢が入学してくる?あ、もしかしたら隣国の姫が留学してくるというパターンも?でも、そんな話全然リードルから聞いてないし。さすがに、敬うべき相手……自分より立場が上で失礼に当たる人物の情報は事前に頭に入れるべきだもの。リードルが何も言っていなかったからエリエッタより偉い人なんていないんじゃない?
「しっかりと覚えておきなさい!一番偉いのはお義母様……じゃない、このリアよ!私の大切なかわいい義妹のリア!分かったわね!」
エリエッタの叫びに、5人がひょいと顔を上げて、私の顔を見てから、再び頭を下げた。
「はいっ。辺境伯ご令嬢リア様がこの学園の女性のトップでございます!」
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ええええええっ!なんで、私ぃ?いちおう、年功序列なら義姉設定のエリエッタよね?そもそも私は辺境伯の実の娘ではないのだし。立場的にも設定の年齢的にもエリエッタでしょう?
「で、そのリアをちんちくりんと言ったのは、どこの誰かしら?」
「ひぃーっ。申し訳ありません。あの、大変小柄で、可愛らしく……皇太子殿下とも親し気にお話ししていらっしゃったので、嫉妬して心にも無いことを言ってしまいましたわ」
「そ、そうなのです。在校生にこれほど可愛らしい女性は居ませんし新入生にもいないでしょう。男子生徒の視線を今後釘付けにするのかと思うと、羨ましくて思わず……」
「か、かわいいものを見ると虐めたくなるんです、あまりにかわいくて泣いた顔が見たくなっちゃいました。申し訳ありませんっ」
ん?なんかやばいことを言いだしている人が混じっています。




