20
★視点戻ります★
「そう……ですよね?」
不安になって来た。レーゼレーラ様以外はそうじゃないのだろうか。あ!もしかしたら他に婚約者がいる可能性もあるわ。
「リア、見のがしているというのは、どういうことですか?」
「いや、だからね、皇太子殿下が好きすぎて、リードル……お義兄様のことは目に入ってなかったと思うのです。まったくもって眼中外。興味がないのですわ。見えてなかったんです。だから気が付かなかった」
「そんなわけある?」
エリエッタがぼそりとつぶやいてレーゼレーラ様を見ました。
なぜか小さくフルフルと首を横に振るレーゼレーラ様。
ええええ?そうなの?
「発言をお許しください」
レーゼレーラ様が小さな声で呟いた。
あれ?あ、そういえば、まだ発言を許します適なやりとりをしていなかったわね。
「あら、レーゼレーラ様の方から私たちが許されるのではなかったのかしら?」
ちらりと、エリエッタがレーゼレーラ様の横に立つ先輩に目を向けた。
「も、も、申し訳ありません」
ブルブル震えながら先輩が頭を下げる。
「まだ、発言を許していませんわ。それとも、田舎から出てきた私たちが知らない王都のルールでも新しくできたのかしら?学園では侯爵令嬢が一番偉いとか?教えていただける?なんせ、私たちは王都から離れた辺境の地に住まう田舎者の辺境伯令嬢ですもの」
ああ、あるあるですね。
辺境伯なんて名前がついているから、ド田舎の領地を治める田舎者だと思われるというやつ……。
でも実際は、国境を守る大切な土地を治める領主なのです。隣国との国境に位置するということで、貿易の拠点となっていますから、王都に接ぐ大きな都市もあったりしますし……。戦争が起きた時に、有利な国側に寝返る可能性もある土地であり豊かとなれば……国内での扱いも想像できるというもの。
まぁつまりかなりの……上位貴族でして。
王族の次なんですよね、辺境伯。公爵家より上ということではなく、公爵家と辺境伯家は同等なんです。
まぁつまり……王族の女性がいないとなると……。
「でぇ、誰か女性で一番偉いのか、発言を許してあげるから、言ってもらえる?ねぇ、そこのあなた。リアが名前を尋ねたというのに、答えもしなかったあなた。自分の方が偉いとでも思っていらっしゃる?」
ブルブルとのっぽ先輩が震える。
「隣のあなたは?ちんちくりんなどと、どの口がおっしゃったのかしら?ああそれとも、侯爵令嬢レーゼレーラ様に言いなさいと命じられてでもいるの?」
その言葉にレーゼレーラ様が声を上げる。




