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父親が前辺境伯弟で、母親は伯爵令嬢ということになり、血筋的に全く問題なくなる。
リアも十分皇太子妃候補に名前を連ねることができるわけだ。
……これは、確認してみる必要がありそうな案件だな。
伯爵家の特徴が……母親に似たところがあるのか。伯爵や義弟妹にリアを見て確認してもらうか。……いや、彼らに確認してもらえば何かしらの問題が起きかねないな。あの家も相続問題を抱えていたはずだ。
となると、伯爵家に勤めていた侍女にでも尋ねるか。
……もし、リアがシャリアの娘であった場合、年齢を偽っていることが問題になってくるが……。
まぁ、よくあることだ。貴族の子供なんて、二つ三つ年齢を誤魔化していることなどよくある話。
まぁ、あれだよ。皇太子と同級生にするために、やたらと年上っぽいやつや年下っぽいやつが同学年にはわんさといる。3年生だけやけに生徒が多い……。もちろん、黙認案件。そもそも父の側近の一人も、同級生だったけれど本当は2つ年下らしい。年下なのにずけずけと遠慮なく物を言うと、愚痴るふりして楽しそうに話をしているからな。
……まぁ、辺境伯が俺が在学中に学園に通わせたくて年を偽ったとは思わない。
むしろ、弟と後妻にはいった伯爵令嬢との不貞を隠すため……。そう考えれば何もかもがすとんと腑に落ちる。
隠そうとしている事実を暴くのは酷いやつだろうか。
……だが、不貞だと言えば非難されるが。これが純愛だのなんだのロマンスに仕立て上げてしまえば問題ない。
うむ。何か話を盛るのがうまい母に相談してみるか。
いや、まぁ、リアの容姿を伯爵家の者に確認してもらってから……だな。
と。
ここまで考えて首をかしげる。
いや、わざわざ多方面に確認して、話をでっちあげようとしてるのは何でなのか?
リアを皇太子妃にするための問題をクリアしていこうと考えてるのはどうしてなんだ?
別に、問題がある女性を皇太子妃にするよりも、何の問題もない……そう、エリエッタを皇太子妃にしようとした方が楽なのに?
ま、いいや。
どちらにしたって、彼女の秘密はリードルの秘密でもある。
エリエッタにとっても秘密なのだろう。
とすれば、秘密をリードルと共有するのもいいだろう。
ふふふ、貸しを作れるぞ。
エリエッタに対しても貸しになるのか。
ああ、リア本人に対しても……いや。待て待て。
リアは知っているのか?
リードルやエリエッタも知っているのか?
義母が妊娠出産しているのを見れば流石に分かるだろう。一緒に暮らしていたのか?
ならバレバレだよな。別邸などで暮らしていたのなら分からないだろう。
弟の子供を引き取ったと言って赤ちゃんを連れてきただけなら。
面倒を見るためにシャリアと結婚したとでも言えば……。
いや、流石にリードルやエリエッタも気が付くだろう。二人ともそれほど愚かではない。もし義母と義妹の容姿が似ていれば……すぐに気が付く。
……うーん。まぁ。調査の結果が出たとしても、秘密は黙っておいてやる。貸しだからななんて口走らない方がよさそうだな。
リードルたちが知らなかった場合は傷つけるだけだ。
知っていたとしても、わざわざ余計なことを言って嫌われても損なだけだもんな。
まぁ、あれだ。
もし、リアがどこの誰とも分からない下賤な血が流れていると馬鹿にされるようなことがあった場合に庇うための手段として知っておく。それでいい。
……いや、そうか。12歳……。
俺が17歳だから、5歳年下か……。5歳なぁ。
5歳くらいどってことないが、今現在の5歳は大きいな。
って、俺は何を考えている。べ、別にリアを好きになるとかそんなことじゃないからなっ




