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皇太子殿下 カイン視点
★皇太子カイン視点★
やっと、リードルの妹たちに会うことができた。
一人は、リードルによく似た美しいエリエッタ。
気の強そうな、物事をはっきり言うタイプの女性だ。あれだけ美人なら美しさを鼻にかけていてもよさそうなところだが。
まるっきりそんな感じはなかったな。
王都にいる女性たちとは良くも悪くも違うといったところだろう。
嫉妬と欲望にまみれた社交界……。あれほどの美人なら当然モテる。モテる女性に嫉妬する女性は多い。
……あることないことやっかまれて囁かれるだろうし、小さな嫌がらせなど日常茶飯事だろう。
だが、辺境伯令嬢ということで表立った嫌がらせはないだろう。
それに、兄は何と言っても女生徒に大人気のリードルだ。リードルに取り入ろうとする令嬢たちは、嫌がらせして嫌われるようなことはしないだろう。
むしろ、リードルに好かれようと妹と仲良くしようと近づくはずだ。
……うん、エリエッタであれば、そんなことはすぐに見抜いて相手にしないだろうなぁ。
まぁ、つまり。
嫌がらせにも屈しず、取り入ろうとする令嬢も相手にせず、無事に学園生活を終えることはできるだろう。
……権力を振りかざすこともなく、それでいて筋を通すべきところは通せるのであれば。
皇太子妃候補に名前を連ねるのもいいだろう。
リードルの妹だからな。あのリードルが口うるさい妹がということはあっても、妹の素行が悪いなどというようなことは何一つとして口にはしたことがない。
人物的に問題ないことは間違いない。
俺のリードルが言うんだ。間違いない。
……問題は……だ。
リードルに似たあの顔だな。
恋愛対象として見るには、リードルの顔がちらつきすぎて目を瞑らないとキスもしにくそうだぞ……。
もう一人の妹。いや、義理の妹だったか。
ずっと何の話もリードルから出たことはなかった。義妹なんていたか?と思ったら、最近義妹になったらしい。
最近ということは……だ。
リードルは2年ずっと王都に暮らしていたのだぞ?1年半前にほんの数日領地に戻っただけだ。
最近義妹になったにしては、やけに親し気な態度だったぞ?……いや、すでに義妹として一緒に長く暮らしていたのか?
確か、父親の亡くなった弟が作った子供が見つかっただとかなんとかで、引き取ったという話だったが……。
しかし、そもそもリードルの父親が亡くなったのもずいぶん前だろう?
なぜ、ここにきて義妹の存在が突然出てくる?
リードルの父親が亡くなる前にはすでに養女にしていたはずだ。亡くなってから養女になどできるはずもない。
と言うことは、少なくともその時点ではすでに義妹の存在を認知していた?
あの親しい感じからすれば、一緒に長く暮らしていたのは間違いないだろう。
……リードルに似ずに、ずいぶん小さくてかわいい子だったな。
辺境伯の養女とはいえ、血筋的には辺境伯の弟の血を引いているとなれば皇太子妃候補とするのもいいだろう。
だが、母親は誰なんだ?
さすがに、平民であるとなると、皇太子妃になれば各方面から色々と辛く当たられるだろう。彼女のためにも皇太子妃にするのは諦めた方がいいとは思う。
だが……。
一つの可能性が頭をかすめる。
一応、確認だけはしてみるか……。
もしかすると、母親は、リードルの義母となった者なのではないか……。
リードルの父親は病に倒れ子供を成せない状態で後妻をもった。伯爵令嬢シャリアだ。
……リードルの義妹。
名前はリア。
シャリアの名前からもらったリアと名付けられていたとしたら……。
辺境伯邸で暮らすシャリアと辺境伯の弟が恋に落ちていたとしたら……。
だが伯爵令嬢シャリアが辺境伯に嫁いだのは、12年前だったはずだ。それまでは実家で義弟妹のと暮らしていた。当時出産した記録はない。だから、辺境伯に嫁いだ後に産んだ子がいたとしても、15歳になっていることはない。
すぐに妊娠出産したとしても12歳だろう。
……12歳……。
リードルの義妹リアが年齢を偽っているのだとしたら?
12歳だと言われれば、なるほどと思うような姿を思い出す。
……だとすれば、だ。
主人公……12歳だと思われてるww




